柄本時生さん出演の『泣くロミオと怒るジュリエット2025』は6月8日チケット一般発売
【柄本時生さんインタビュー】「舞台で人前に立つ“怖さ”を再確認。その怖さも嫌いじゃない」
2025.06.07
Culture Navi
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舞台で人前に立つ“怖さ”を再確認。その怖さも嫌いじゃない
柄本時生さん

出演者は全員男性。セリフは全編関西弁。シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』の舞台を戦後の関西の港町に大胆にも翻案した『泣くロミオと怒るジュリエット』。2020年に初演された作品が、2025年版として再演が決定した。ジュリエット役は、初演と同じく柄本時生さん。一度経験した演目、役柄を再びやるのだから、初演よりも気持ちはラクなのかと思えば、そうではないようで……。
「再演のお話をいただいて、最初はちょっと悩みましたね。初演と同じ役で再演というのは以前も経験があるんですけど、正直“苦手”と言える分野かもしれません」
苦手と感じる理由は、「自分の中で初演を美化しすぎてしまう」ところにあるのだとか。
「頭の中では実際にやったことの1・5倍くらいになっていて。役者としてそれを超えようとすると、必要以上にやりすぎてしまって観客も僕らも違和感を感じることになる。だからこそ今回は、再演への新しい向き合い方を見つけられる機会じゃないかと思っていて。楽しみですね」
挑む仕事に対して、目標設定されているとは社会人の鏡! 柄本さんは、「オファーがあった仕事は基本的に断らない」のだそう。
「いただいた仕事を断るってどうなんだ?という気持ちが圧倒的に大きくて。悩むこともありますが、“ここで断ったら俳優としてダメになるんじゃないか?”と考えて引き受けるのを繰り返しています」
時には「受けなければよかった!」と後悔することも。
「『泣くロミオ~』の初演の稽古がまさにそれ。試行錯誤して自分で正解を探し出したい僕に対して、演出の鄭さんはすぐに“こうやってほしい”と答えを出すんです。稽古場ではずっと“悩ませろよ!”とムカついていました(笑)。でも初日のラストで暗転して、お客さんの拍手を浴びた瞬間、この舞台の正解がわかったような今までにない感覚を味わえました。だからやっぱり、どの仕事も終わってみるまではどうなるかわからないなって思うんです」
両親はともに俳優。ランドセルのまま劇場に“帰宅”し、そこで遊んでいた記憶を持つほど生活と舞台が密着していた柄本さん。そんな柄本さんが考える舞台の魅力とは?
「人から見られる怖さを再確認できることですね。初めて出会うお客さんがその場にいて、どんな人たちなのか、何を期待して来たのかもわからない。その人たちの目の前で演じるってなかなか怖いことじゃないですか? でも、その怖さを味わうのも嫌いではないし、“人から見られる”という感覚を再確認して、どうしたら怖さがなくなるのかを考える過程も好きなんだと思います」
観客として劇場に足を運ぶことも。“観る”際にも独特の視点が。
「すごく面倒くさい観客だと思うんですけど、僕は“欲”を観ていますね。演出家や俳優がどこを“観せたい”と考えているのかに注目してるんです。場面やセリフ回しで、“ここって何度も稽古したんだろうな”って部分がわかるとうれしい。楽屋挨拶は苦手なので訪ねて答え合わせすることはないんですが、別の機会に会ったときは“あの場面の稽古ってどうでした?”と聞きますね。正解だとわかると、自分の中だけで“やった!”って喜んでます(笑)」
PROFILE
1989年10月17日、東京都出身。2003年映画 Jam Films S『すべり台』のオーディションに合格しデビュー。以降、舞台、映画、ドラマと出演作はとどまることなく、2024年のドラマ『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』では出演のほかプロデューサーも務めるなど活動の幅を広げている。
公式サイト:https://www.knockoutinc.net/artists/?id=1423254652-025728
Bunkamura Production 2025
『泣くロミオと怒るジュリエット2025』

名作『ロミオとジュリエット』を劇作家・演出家の鄭義信が大胆に翻案。2020年の初演に続き、吃音症に悩む奥手で泣き虫のロミオを桐山照史が、すぐダメ男に引っかかる気が強いジュリエットを柄本時生が演じる。●7月6日~28日 THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階) 6月8日チケット一般発売 問い合わせ=☎03・3477・3244(Bunkamura) 8月には大阪公演も。
Bunkamura Production 2025『泣くロミオと怒るジュリエット2025』公式サイト
Staff Credit
撮影/山口こすも ヘア&メイク/稲月聖菜(マービィ) スタイリスト/矢野恵美子 取材・文/古川はる香
こちらは2025年LEE7月号(6/6発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。
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