主演映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』は5月23日公開!
【高橋一生さんインタビュー】「“運”など不確定要素を許さない露伴が僕にはとても心強かった」
2025.05.22
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“運”など不確定要素を許さない露伴が僕にはとても心強かった
高橋一生さん

’20年の放送開始前は、実写映像化に懐疑的な原作ファンも多かった『岸辺露伴は動かない』ですが、今やすっかり人気シリーズに。その成功は、露伴役の高橋一生さんの存在なくしてはあり得なかったでしょう。 ’23年には映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』も大ヒット! ファンの熱い期待を受け、ついに伝説のエピソードを元にした『岸辺露伴は動かない 懺悔室』が映画化されました。
「本作はあくまで露伴が物語の外にいて、飛んできた火の粉を払おうとする物語。その原作のフォーマットを崩さず、よくぞオリジナルな展開を膨らませたな、と。とても正しい方法で作られ、かつ非常におもしろい脚本だと思いました。自ら出向いたのに、巻き込まれて逆ギレする露伴の性質や価値観、漫画家としての誇りも含め、どう奥行きのある、より愛らしい人間に仕上げられるか。それを考えるのが楽しかったです」
舞台は、水の都・ヴェネツィア。石畳の街が独特の雰囲気を放ちます。露伴が図らずも耳にした“ある男が25年前に犯した罪とその呪い”が、さもありなんと思えるほどに。
「露伴も“死の影が落ちている”と言いますが、街の持つ本質的な暗さを感じました。懺悔室を撮影した教会も、とても空気が重くて。過去にそこでいろんなことが起きたという歴史の堆積――生と死、光と闇が混然一体となって詰め込まれた、だからこそ懐の深い街でもある。それが作品に映っていると思います」
呪いを避けようと“幸せ”から逃げる男の告解に、果たして幸せとは何かと考えずにいられません。
「幸せって、人によってその定義自体が異なる曖昧な言葉でもあります。それなのに人は自覚がないまま、幸せになろうと必死になる。ただ露伴にとっての幸せは、誰かにもらうものではないということはハッキリわかる。“運”など不確定な要素が入り込むことを絶対に許さず、純粋に腕を磨いてきた。そんな露伴であることが、ひとりの俳優である僕にとって、とても心強かったです。見方によっては子どもっぽく映るかもしれませんが、露伴のそうした頑ななまでの拒絶を表現した場面があるので、そこもおもしろく観てもらえたら」
前作ではパリ、本作ではヴェネツィアの長期ロケに参加した高橋さん。長期滞在を心地よく過ごす、高橋さん流の工夫やこだわりは?
「できる限り服を厳選して、下着以外の衣類を最小限に留めること。今回は約1カ月のロケに、小さなトランク一つで向かいました。冬場を同じセーター1枚で通す海外の方も少なくないですし、少し清潔すぎる日本人は、反対に自分を窮屈にしている気がして。荷物が少なくて軽ければ移動も楽だし、身軽にいろんなことが大らかに楽しめる。思い返せば20代の頃から、常に生活も身軽でありたいと思っていました。モノが多いことが豊かとは思えないので、家の中にもモノが増えてくると、どんどん気持ち悪くなってしまうんです」
近年ますますやわらかな余裕と、渋さと甘さが混じり合った“まろやかな魅力”を漂わせる高橋さん。
「この10年、物理的には忙しかったのに、なぜか余裕も感じていて。それが年齢を重ねていくおもしろみなのかな、と。むしろインプットできる器が大きくなったのか、無理に詰め込んでいた頃とは違うフェーズに入り始めたと、僕自身もどこかで感じています」
PROFILE
1980年12月9日、東京都出身。映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍。近年の主な出演作に、映画『スパイの妻』(’20年)、ドラマ『6秒間の軌跡 ~花火師・望月星太郎の憂鬱』シリーズ(’23~’24年)、『ブラック・ジャック』(’24年)ほか多数。主演する連続ドラマW『1972 渚の螢火』が今秋放送予定。
公式サイト:http://www.my-pro.co.jp/aa/takahashi.html
『岸辺露伴は動かない 懺悔室』

相手を本にして記憶を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力〝ヘブンズ・ドアー〞を持つ人気漫画家・岸辺露伴(高橋一生)が、取材でヴェネツィアへ。ある教会の懺悔室に入り込んだ露伴は、偶然やってきた田宮(井浦新)から恐ろしい呪いの告白を聞いてしまう。荒木飛呂彦の『岸辺露伴は動かない』シリーズの1作目『懺悔室』の映画化。5月23日より全国ロードショー。
映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』公式サイト
Staff Credit
撮影/川﨑一貴(Ajoite) ヘア&メイク/田中真維(MARVEE) スタイリスト/秋山貴紀(A Inc.) 取材・文/折田千鶴子
こちらは2025年LEE6月号(5/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。
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