マルチタスク時代の頭の中は忙しい!
私の脳内図
描くそばから次々に代表作が更新される大人気漫画家・東村アキコさん。複数の連載をかけ持ちしながら、芸能プロダクションまで率いている東村さんの頭の中はどうなっているのかお聞きしました!
東村アキコさん〈漫画家〉
子育ては大変だと言いながら振り返るとあっという間! 時々、あの頃に戻りたくなる

ひがしむら・あきこ●宮崎県出身。1999年に漫画家デビュー。2007年に連載を開始した『ママはテンパリスト』が100万部を超える大ヒット。『主に泣いてます』『海月姫』『東京タラレバ娘』『偽装不倫』ほか映像化された作品も多数。現在『銀太郎さんお頼み申す』(集英社『ココハナ』にて)などを連載中。
Instagram:higashimuraakiko_official
x:higashimura_a
漫画&映画『かくかくしかじか』


漫画家になる夢を持つ宮崎の高校生・明子は、美大を目指し地元の絵画教室に通い始める。竹刀を片手に教えるスパルタの日高先生のおかげで、明子は無事合格。地元を離れる明子に先生は「描け!」と言い続けるが、漫画家になりたいとは言いだせず……。映画は5月16日より全国ロードショー。
東村アキコさんの脳内図
毎日の執筆時間が終わったら、瞬時にスイッチして仕事を完全に忘れる。その切り替えの潔さは私の長所ですかね

「大きく分けると仕事と遊びが半分ずつ。そこに息子の心配が入ってくる感じ。ファッションも大事で、特に着物のことはよく考えてます。映画が授賞式の着物姿で始まるのも私の提案。その着物も私物で、人間国宝の方による刺繍。清水の舞台から飛び降りるつもりで買いました。睡眠も削りたくないので手っ取り早く酔えるテキーラに今ハマってます」

その時々のリアルな体験や感情を物語に注ぎ込み、圧倒的な共感とともに読者を虜にする漫画家・東村アキコさん。ヒット作を次々生み出す東村さんの脳内は、仕事のことで占められているかと思いきや、多種多様な要素がいっぱい! マルチタスクをこなす達人であることがうかがえます。
「普段は夜7時に仕事を終えた瞬間、すぐ配信作品をスイッチオン。完全に仕事のことを忘れて頭を切り替えられるところが、私の長所ですかね。睡眠時間も欲しいし、友達と飲みにも行きたいし、やりたいことが多いので、仕事は“やる!”と決めたらスタートダッシュで走り抜ける。3日かかる仕事がくれば、2日で終わらせて残り1日は好きなことをしたいんです。異常なほどせっかちなのか、何事も“巻き”で進めずにいられません」
そんな効率的な時間の使い方に加え、好きなことができる“ありがたみ”の実感は、子育てを通してより育まれたと振り返ります。
「掃除が嫌いでも料理が苦手でも、そんなことは言っていられない子育ては、大変なことも多いですよね。私は特に、乳児期に睡眠時間が取れないのがつらかった。あの修業みたいな数年を乗り越えたからこそ、時間を好きに使えるありがたみが実感できる。だから仕事や締め切りに追われるしんどさなんて全然、楽に頑張れちゃう」
とはいえ子育てが一段落したときは、喪失感でいっぱいになったそう。一世を風靡した育児漫画『ママはテンパリスト』の主人公ごっちゃんがすでに大学生とは驚きです!
「昨年春に海外留学のため息子が家を出た後1年弱は、本当に寂しくて泣き暮らしました。振り返ると子育てなんて本当にあっという間。あんなに大変だったのに、『1日でいいからあの頃に戻りたい』と泣くママ友に共感して。今はそんな寂しさも乗り越えて、自分の時間を楽しんでいますが。これからの人生を考えたとき、あらためて友達の大切さを感じてますね。旅行に行ってもごはんを食べに行っても、爆笑し合えるのは、私の場合やっぱり女友達で。それが本当にストレス解消になっています」
もちろん、ごっちゃんへの深い愛も変わりません。
「たまに一緒にカラオケに行くと、息子が歌う姿をこっそり撮影して、後で何度も見返しています(笑)。私にとって息子は、推しのアイドルみたいな存在なんです」
’15年にマンガ大賞や文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞するなど高い評価を得た、自伝漫画『かくかくしかじか』が映画化されました。恩師・日高先生との出会いから別れまでの9年間を綴った笑いと涙の感動作です。
「映画を観てあらためて、日高先生に出会えて本当にラッキーだったと思いました。今こうして仕事ができているのも、私のようなお調子者の性格をぐっと抑えて、地道に描くことを教えてくれた先生のおかげだなと。でも若い頃って自分のことしか考えられずに不義理をしてしまって、ずっと悔やんできたんです。描くことでそれを自ら可視化する作業は、やっぱりつらかった。でも映画を観たら、きっと天国の先生も懐かしがって、喜んでくれるんじゃないかな」
思い入れが強いだけに、映像化は躊躇したそう。でも明子を永野芽郁さんが演じると聞いた途端、不安は吹き飛んだと語ります。
「もともと大好きだし、めちゃくちゃお芝居が上手で。椅子の上でひざを立てて描く私の姿勢を、そっくりに演じていたりして……本当にすごい女優さんでした!」
監督の協力もあって、今回は脚本をはじめ、登場する絵画や衣装に至るまで全面的にかかわり、こだわり尽くすことができたそう。
「監督との話し合いで、漫画のラストのままではなく、最後にもう一発ドンとくるラストシーンになってます。ひとつの妥協も後悔もない映画です。実は日高先生役の大泉洋さんも、私からのリクエスト。原作コミックよりも、むしろ本物の再現度が高いんですよ!」
Staff Credit
撮影/森脇裕介 イラストレーション/オザキエミ 取材・文/折田千鶴子
こちらは2025年LEE6月号(5/7発売)「私の脳内図」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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