「気象病」どうなったら受診がおすすめ？薬の上手な使い方は？

「雨だとなんか調子が出ない」「頭が痛くて仕事にならない」……天気による不調は仕方のないこと？　いいえ、そんなことありません！　天気は変えられないけれど、自分の体は変えられる。「雨の日不調」の原因と対策を正しく知れば、自分で治すこともできるんです！
▶あなたも「気象病」かも！その主な症状と３つの原因

日本初の気象病の専門家

佐藤 純さん

天気痛ドクター・医学博士

中部大学教授、愛知医科大学客員教授。2005年に愛知医科大学病院で日本初の「気象病・天気痛外来」を開設。天気痛研究・診療の第一人者として多方面で活躍。著書多数。

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不調が出たら「まず薬」という人も多いけれど、自己流の服用はリスクも。医療機関で診察を受け、処方されたものを適切に服用しましょう。

「気象病を根本的に治すには、自律神経を整えることが第一選択。でも、薬を上手に服用してコントロールすることも可能です。内耳の過敏さが引き起こす頭痛やめまい、倦怠感などに効くのは抗めまい薬。また、漢方の五苓散は全身の水分代謝を整える働きがあるため、私は患者さんにはこの2つの組み合わせで処方することが多いです。ただ、抗めまい薬はどの診療科でも処方してくれるものではないため、市販薬で代用するなら酔い止め薬も有効。めまいや倦怠感など、車酔いと気象病の症状は似通っているものが多く、症状緩和が期待できます。薬剤師さんに相談して、一緒に選んでもらいましょう。
一方、頭痛や関節痛などで市版の鎮痛薬に頼っている人は注意が必要。適切な服用で痛みをコントロールできていればいいですが、飲みすぎると徐々に効かなくなってしまいます。月3回以上気象病の症状がある人は、市販薬でやり過ごさず、気象病外来か自律神経外来、近くになければまずは耳鼻科を受診しましょう」

薬は一時的に症状をやわらげるためのもの。特に市販薬の常用は避けて。月に3度以上天気で体調を崩したら病院へ

水分代謝を促し内耳の血行を促進
漢方では体のむくみは水分の滞りからくるとされ、五苓散は余分な水分を体の外に出す働きが。むくみを解消して内耳の血行を助け、過敏さをやわらげてくれるため、めまいや頭痛などの気象病症状の緩和に効果的。

内耳のむくみと脳の興奮を抑制
抗めまい薬は、むくみによる内耳の過敏さをやわらげつつ、内耳からの情報を受け取る脳の前庭神経の興奮を抑制する働きも。この2つの効果で気圧の変化からくる症状をコントロール。気象病外来のほか、耳鼻科で処方してくれる場合も。

Column

急激な気圧の変化があるところ、気象病症状のリスクあり！

気象病の人は、天候以外に、気圧が急激に変化する場所やシチュエーションにも注意したい。特に気をつけたいのは、新幹線や飛行機のような高速で移動する乗り物。新幹線は対向車とすれ違う瞬間やトンネルに入るとき、飛行機は離着陸の15～30分間が気圧が大きく変わりやすい。客室乗務員でもホットタオルで対応している人も多いとか。また、高層マンションやビルなどで地上と高層階を行き来する場合も同様。耳マッサージや、耳栓（下記参照）などで対策を。

気圧の変化を軽減できるアイテムも

気圧調整で不快な症状を予防＆緩和
佐藤先生が開発した気圧調整機能付きの「天気痛耳栓」。音は遮らないため、着用しながら日常生活が可能。ふつうサイズと小さめサイズがあり。