12冊目の本はなんと日本のポップ・ミュージックがテーマ!
【西寺郷太さんインタビュー】時に葛藤も抱えながら、昭和から令和の日本の名曲を考察しました
2025.04.30
Culture Navi
カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報
時に葛藤も抱えながら、昭和から令和の日本の名曲を考察しました
西寺郷太さん

「マイケル・ジャクソン、プリンス、そして『ワム!』のジョージ・マイケル。3人は僕の神様です」。音楽作りの原点であるミュージシャンへのリスペクトを語り、マイケルをはじめとした洋楽の考察本も多い西寺さん。12冊目の本はなんと日本のポップ・ミュージックがテーマ!
「宇多田ヒカルさんの『First Love』、モーニング娘。の『LOVEマシーン』など、多くのアーティストやグループの楽曲の話を書いています。本著で取り上げたのはどれも歴史的な名曲だと思うし、思い入れもたっぷり。でも最初にWEBメディアから『日本の音楽について書いてみませんか』と依頼をいただいたときは、困ったなあと(笑)。洋楽はファンタジーのような気持ちで綴れるものの、日本でミュージシャンをしている僕が、同業の方々の曲について書くのは、自分の中にある矛盾や葛藤とも向き合わざるを得ない。だけど僕の音楽は“研究と実践”がセット。そして僕のように、プレイヤーであって音楽の考察もしている人も珍しい。だから書ける話もあると、やりがいも感じられました」
いしだあゆみさんの『ブルー・ライト・ヨコハマ』(1968年)といった昭和の歌から、Vaundyの『不可幸力』(2020年)など令和の曲まで時代を追いながら、自身の幼い頃や青春期の体験談も交え、時には制作者本人に直接話を聞いて書き上げたコラムも。唯一無二の文章に加えて、ミュージシャンたちとの音楽対談もまとめたこの一冊。
「伝説的なグループ、ピチカート・ファイヴの主軸だった小西康陽さんとのお話も実現しました! 先見の明にあふれて大尊敬する方ですが、’90 年代に打ち込み音楽で時代をけん引した彼が、『ギターの弾き語りにハマっている』『弾き語りは途中で曲を止め、話したいことをしゃべれるのがいい』という話をしてくださって。大先輩の今の感性に触れられました」
日本のポップスが好きだったり興味がある人に、特に読んでもらいたいコラムや対談はありますか?
「ASKAさんとのトークかな。僕は光GENJIの『STAR LIGHT』という曲が発売当初から大好きで。この曲は、作詞が飛鳥涼、作曲がチャゲ&飛鳥の名義なんですね。Chageさんはアメリカンポップスの雰囲気が漂う明るい曲作りが得意で、ASKAさんはマイナー調の力強い楽曲が持ち味。そんなお二人の共作となると『どの部分がChageさんで、どこをASKAさんが作った?』というのを聴きながらず~っと考えてしまうのが、僕という人間なんです。対談では、ASKAさんの曲作りの背景も聞いているし、ミュージシャン同士だから話してもらえたこともたくさんありました」
ところで今回の取材場所は、本でも紹介され、公式YouTubeの配信スタジオとしても使っている“FACTORY”と呼ぶ空間。室内には自身の著作や、過去に楽曲提供を手がけたSMAPのサイン入りCD、西寺さんが愛聴するレコードなどお宝がいっぱい。
「自分の好きなものをぎゅっと集めたスペースにしてるんです。この部屋には自然と仲間が集まってきて。語ったり、お酒を飲んだり、ギターを弾いたり。本の追い込み作業も、ここで半徹夜状態でした(笑)。そんな日々のすべてが、僕の音楽家としての活動につながっています」
PROFILE
1973年生まれ、京都府出身。早稲田大学在学中に結成したバンド「ノーナ・リーヴス」のシンガー、メイン・ソングライターとして’97年にデビュー。4枚目のソロアルバム『HEARTBREAK』が4月16日に発売。昨年から始めた、公式YouTube『NGC』での音楽トークや対談企画、楽曲解説も好評。
『J-POP丸かじり』

ニュースサイト『音楽ナタリー』での日本のポップ・ミュージックを考察する連載「POP FOCUS」を中心に、佐野元春さん、ASKAさんなど日本の音楽シーンを動かしてきたミュージシャンとの過去の対談も収録した、コラム&インタビュー集。本著のオリジナルコンテンツとして小西康陽さん、ライムスターの宇多丸さん、A.B.C-Zの戸塚祥太さんとのスペシャル対談も新たに収録。¥2970(ソウ・スウィート・パブリッシング)
Staff Credit
撮影/鈴木大喜 取材・文/石井絵里
こちらは2025年LEE5月号(4/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。
LIFEの新着記事
-
【今月の注目音楽&ステージ情報】星野 源、シンディ・ローパー、奇妙礼太郎、歌心りえ…
2025.05.13
-
【有村架純さんと、8つの秘密の話】美しさ、穏やかさの秘密からお休み、日常の秘密まで教えてもらいました!
2025.05.11
-
【勅使川原真衣さん】コンサルタントとして多忙を極めるも、乳腺炎に悩み整体師に依存。コロナ禍で通院時間ができ乳がん発覚、目が覚めるまで
2025.05.11
-
「雨だとなんか調子が出ない」そんなあなたは【気象病】かも?その主な症状と3つの原因
2025.05.11
-
【横浜・元町の「おいしいパン屋さん」2選!】神奈川県民の食通読者がリアルにおすすめするお店を拝見♪【2025】
2025.05.10
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。