SPECIAL INTERVIEW WITH Yoshitake Shinsuke
ヨシタケシンスケさんとちょっとひと息
「かもしれない」で毎日がちょっとラクになる…かもしれない

3月20日から始まる「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」は、まるでヨシタケさんの頭をのぞいているかのような楽しさ!
最近なんとなくうまくいかないなあという人も、「かもしれない」の視点でちょっとひと息。世界の見え方が変わる、かもしれません。

お話しを伺ったのは?
ヨシタケシンスケさん
Yoshitake Shinsuke
1973年生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。2013年に初の絵本『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)を出版。『つまんない つまんない』(白泉社)の英語版『The Boring Book』で2019年ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞受賞。
「かもしれない」の視点が、心を軽くしてくれる
「かもしれない」は、ヨシタケさんを知る人なら、おなじみの言葉。
絵本第1作のタイトルは、『りんごかもしれない』。凝り固まった視点をちょっとずらしてくれる「かもしれない」の気持ちを、ヨシタケさんはいつも、心の端っこに持っているようです。
公園とか行くと、銅像があちこちにありますよね。よく、うちの子どもと『あの銅像、なんて言ってると思う?』なんて大喜利大会みたいなことをやっていました。
『裸で寒い!』とか『切符が見つかんない!』とか
多くの人が立派だと思い込んでいるもの、あるいはユニークな要素などないと感じているもの。それらは確固としてそこにあるけれど、それを“どう見るか”は自由。

いろんな視点があったほうが生きやすくなるよね、ってことです。現実に起きること自体はひとつだし、変わらない。それが思いどおりにならないこともままあるわけですが、それをどう受け止めるかというのは、自分で選べるんですね。
こう考えてもいいよね、こんなとらえ方もできるよね、と選択肢をたくさん持っておくことは、自分のためにも周りのためにもいいんじゃないかな。とらえ方がひとつしかないと、つらくなる一方になることもあるので。
あと、僕は、すごくネガティブで心配性。いつもあれやこれやと視点を変えながら最悪の事態を想定していますが、そうしておくと大体、現実はそれよりは少し上向きになる(笑)。なんか、ネガティブを突き詰めると、わりとポジティブになっちゃうっていう
「楽しく前向き」でなくても、自分が嫌いでもかまわない
そこまで考え、ヨシタケさんはもう一度立ち止まります。ポジティブ=○、ネガティブ=×?
世の中、『楽しんでこそ人生だ』的な価値観になっているけれど、そのルールだけで生きていくのは、なかなかつらい。
楽しくなくても生きていけるし、生きていていいわけです。なんか、そこらへんの設定みたいなものって、もうちょっと変えてもいいんじゃないでしょうか。
『自己肯定感は高いほどいい』とされがちだけれど、自分なんてなかなか好きになれるもんじゃないし、“そもそも好きにならないとダメなのか問題”っていうのも出てくる。自己肯定感…自分を認めるその方法って、好きになることだけじゃないはず。
自分を嫌いなことに慣れるっていうか、『俺は自分と相性悪いなあ』ってこともあるだろうし。それでもどう、世の中をおもしろがっていけるか。自分の好きなものを集めて、自分自身は嫌いだけどこの世の中が好きだ! でも、いいはずで
次回は、「ヨシタケシンスケさんインタビュー後編」をご紹介します。
Staff Credit
撮影/砂原 文 取材・文/福山雅美
こちらは2025年LEE4月号(3/7発売)「ヨシタケシンスケさんとちょっとひと息『かもしれない』で毎日がちょっとラクになる…かもしれない」に掲載の記事です。
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