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駐妻ライター佐々木はる菜の海外で見つけた「暮らしのヒント」

駐妻ライター佐々木はる菜の海外で見つけた「暮らしのヒント」番外編

南米から2年ぶりに帰国後びっくりした3つのこと/世界中の人が旅したい「日本」のすごさって?

  • 佐々木はる菜

2024.12.08

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駐妻ライター佐々木はる菜の海外で見つけた「暮らしのヒント」

世界中の人から言われた「日本に行ってみたい!」

渋谷スクランブル交差点を眺める子ども達
久しぶりに眺めた渋谷スクランブル交差点は新鮮!

海外転勤でブラジルとアルゼンチンに住んだこの2年、南米だけでなく欧米やアジアなどさまざまな国の方々と話す機会がありましたが、ほとんど全員から「いつか日本に行ってみたいと思っている」と言われました。特に若い世代は、SNSや漫画・アニメなどを通して知った「今の日本の日常」に興味を持ってくれていることが印象的でした。

たった2年とはいえ海外で暮らし戻って来ると、確かに日本では当たり前の光景がとても新鮮に映ります。その中でも特に驚いたことが3つありました。

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日本に帰国後びっくりしたこと①

店員さんがいない!自動化した店に戸惑う…

帰国後すぐ、コンビニやファミレスを訪れるたびに我が子たちは大興奮!2日連続でチェーン店の回転寿司屋さんに行ったり、懐かしのお菓子やジュースを買ったりと、家族揃って「日本の日常」を満喫していました。

そんな私たちが少し戸惑ったのが、チェーン店系のお店に入るとタッチパネルに迎えられ、番号表示に従って席に着くと注文用のタッチパネルがあり、時には料理をロボットが運んでくること。会計までセルフの場合は店員さんと全く会話せず完結することもあり、未来に来たのかと思いました。

私たちが住んでいたアルゼンチンでも、新しもの好きの中華料理屋さんで一度見かけたネコ型配膳ロボット。ただその店では後ろから店員さんが付いてきて、結局料理をサーブしてくれました。「ロボットの意味ないじゃん!」と心の中で突っ込みつつ、確かにテーブルでサービスしないとチップがもらえなくなってしまうよね…という妙な納得感もありました。

ブエノスアイレスでみかけた猫型配膳ロボット
ブエノスアイレスの中華街にある人気店で見かけたロボット

またこの2年で非常に増えたと感じたのがセルフレジ。特に大きめの100円ショップに行くと5~6台設置されていることもあり、整然と並んだお客さんたちが順番にレジで会計を済ませ、その様子を見守る店員さんはなんだか試験監督のようにも見えます。

自分で支払い方法を選ぶコンビニのレジでは、カードや現金を店員さんに直接渡す間違いを何度も繰り返しました。そしてそのたび教えてくれるのは外国の方ばかり…そう、外国人観光客の多さだけでなく、コンビニなどに外国籍の店員さんが増えたことにもびっくりしました。

南米メキシコのコンビニエンスストア
こちらは旅先メキシコのコンビニ。カラフル!コンビニに限らず南米は、お店の規模に対して店員さんが多いな~、そして店員さん同士で本当によくしゃべってるよな~と楽しく眺めていました

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日本に帰国後びっくりしたこと②

食べ物、服、日用品…世界屈指の高品質

帰国してすぐ12歳の息子が、冷凍食品売り場の写真をいっぱい撮っていました。
理由を聞くと「海外の友達に写真を送る。日本の冷凍食品はこんなに美味しいんだって教えてあげたい。びっくりすると思う!」とのこと。
う~む…お寿司や富士山みたいな伝統的な日本っぽい写真も見せてあげてね~などとフォロー(?)を入れつつも、「その気持ち、わかる!」と強く共感しました。

コンビニやスーパーのお弁当、惣菜、調理パンやデザート、冷凍食品などなど、味のレベルの高さとバラエティの豊かさといったら!市販品ばかり食べると偏りが出てしまうとは思いますが、24時間いつでも、ここまで美味しく安全なものが手に入る国は他にはないと確信しています。南米生活中の、毎日早朝から始まるお弁当作りは慣れるまで本当に大変だっただけに、感動もひとしおでした…。

ブエノスアイレスのカフェの様子
ブラジルもアルゼンチンも、例えばパン屋さんお菓子屋さん、サンドイッチのような軽食を売っているスタンドなどはたくさんあり、美味しい。ただ、お弁当的にバランス良く食べ物が入っているものや、日本ほど手軽にレンジ調理できる便利な製品は見かけませんでした。

また服や日用品も同様で、前述の食料品も含めてクオリティの高さは世界一!それに対して価格は非常にリーズナブルだと感じ、海外からの旅行客の方々がユニクロ、無印良品、100円ショップやドラッグストアなどで大量に商品を購入する気持ちはよくわかります。

ブラジルのダイソー、DAISO
ブラジルでもダイソーは大人気でした。値段は日本の3倍ですが、いつ足を運んでも混み合っていました

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日本に帰国後びっくりしたこと③

抜群の暮らしやすさ!ホスピタリティの高さと清潔さ

よく言われることですが、日本は全てのサービスが丁寧で正確、やはりホスピタリティが高いと感心します。
そして街がとても清潔!特にトイレのきれいさは格別で、日本の空港に降り立った時に娘と「まずは日本のトイレにいこう!」と駆け込みました。商業施設などはほとんど温水洗浄便座が設置されていることや行き届いた掃除には今でも感激しますし、利用者側もきれいに使う意識が高いと感じます。

他にも例えば南米で工事や修理を頼むと、約束の時間に現れず1日中待った挙句、夕方に「明日でもいい?」と連絡が来るなんて日常茶飯事。作業が終わるとそのままの状態で笑顔で帰っていくため、散らかったものや汚れを掃除するのは自分です。

海外の家の工事の様子
とにかく家の不具合が多かった南米生活。修理を頼んでも来なかったり、アポなしで突然来たり…慣れると、彼らが一所懸命やってくれていることがわかりました(笑)

日本の新居へ工事に来た業者の方々は、時間も正確だし、シートなどを引いて作業をし、終了後はきれいに片づけてくれました。以前は普通に受け止めていましたが、その仕事ぶりの丁寧さに毎回熱く感謝を伝えています。

また公的手続きや病院も、特に説明なく半日以上待たされることも多かった南米。
免許証のような重要な証明書なのにミスで発行がひと月以上遅れ、やっと手に入ったと思ったら記載が間違っていたから再度手続きに来いと言われ、またもや半日待たされる。

ブエノスアイレスの移民局
家族で朝から待たされ、誰もいなくなってしまった午後15時の移民局。すっかり飽きて走り回る我が子たち…←一方で、こういうことは全く怒られない大らかさも!

健康診断のレントゲン撮影の際に技師さんがサンドイッチを食べながら笑顔で出迎え、食事をしながら撮影を進める。子どもが診察を受けた際、よく見えないからスマートフォンのライトで患部を照らせと言われ私が照明係(?)をしたなど、日本では考えられないことがたくさんありました。

ブエノスアイレスの電車の様子
バスも電車も時間通りということはなく、バスなんて乗り降りしている途中で出発してしまうこともあるある。ちなみにブエノスアイレスを走る電車は日本の車両が使われている路線もあり、乗るたびちょっと懐かしい気がしました

日本は全てが正確で管理も行き届いているため予定が立てやすいし、品質が良いため故障や不具合も少ないし、何よりやっぱり安全。日本にいるとメディアなどで日本の現状に対して否定的な意見を聞くことが多く、もちろん課題もたくさんあるとは思いますが、すごく暮らしやすい国だなと改めて実感しています。

海外で感じた、「ゆとり」の良さ

ただブラジルとアルゼンチンで過ごした2年間の毎日が辛く苦しいものだったかというと、そんなことはありません。明るくフレンドリーな国民性で子どもに優しく、みんなおしゃべりが大好き!日々の暮らしの中で目の前の人とコミュニケーションを取る時間を大切にしていると感じ、外国人の私でも街に仲良しの店員さんがたくさんできました。
また知り合いでなくても目が合うと微笑んだり気軽に挨拶してくれたりするところや、街で困っていると声をかけてくれる人が多いことにも助けられてきました。

久々に日本へ帰ってきて街を歩いていると、繁華街の賑やかさなどはあるものの街もお店も電車内も静かだし、急ぎ足で歩く人たちはみんな忙しそうだなと感じます。私も帰国してからまた歩く速度が速くなりました(笑)

南米と日本では国民性や文化も全く違い、向こうは貧富の差や治安悪化などさらに深刻な問題も抱えています。単純に比較できるような話ではないですが、街なかの人に笑顔が多く楽しそうに見え、適当さと裏表ではあるものの寛容さや「ゆとり」を感じたことは今でも心に残っています。 

一方、日々の中で改めて触れる日本人の真面目さや勤勉さはやはり素晴らしく、だからこそ海外からも注目される「日本ならではの日常」があるのだと思います。これまでの海外連載でも書かせていただいた通り、地球の反対側で日本があんなに人気だということを目の当たりにして本当にびっくりしました。

この数年で日本はさらに便利なサービスが増えたと感じます。もしそれで少しでも負担が減り「ゆとり」ができたとしたら、日々がんばる忙しい方こそ、自分へのご褒美やリラックスにつながる時間に使ってほしいな、なんて感じる今日この頃です。



佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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