私のウェルネスを探して/昼田祥子さんインタビュー後編
【昼田祥子さん】3年で服を1000枚減らした、私自身が日々実験。何を捨てても大丈夫、良いことしか起こらないと知ってほしい
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LEE編集部
2024.10.13
引き続き、昼田祥子さんに話を聞きます。昼田さんの取材は、クレヨンハウス東京店(吉祥寺)で行われました。クレヨンハウスは子どもと絵本を見に行ったり、オーガニックレストラン「広場」でランチを食べたりと、ふだんからよく訪れている場所です。
「レストランでいただくランチは、オーガニックの美味しさを存分に感じられます。豊かで味わい深く、満足感もたっぷり。私の中でのオーガニックのイメージを変えてくれました。毎月10日、20日、30日はグルテンフリーの日。ブッフェスタイルで食べたいものを好きなだけいただけるのも嬉しいです」
後半では、昼田さんの幼少期のエピソードから、“服捨て”をして自分らしい生き方を見つけるまでをたどります。また移住先から東京に戻ったきっかけや毎日続けている瞑想について、シンプルなワードローブで気をつけているおしゃれのポイントを聞きます。(この記事は全2回の第2回目です。第1回目を読む)
捨てるのが苦手な母親が反面教師に? だから「捨てる」ことを生業にしているのかもしれない
昼田さんは、1980年広島県生まれ。会社員の父と教師の母、姉の4人家族に育ちます。幼少期は活発なタイプで運動も一番、学芸会の演目では主役を演じるような積極的なタイプでした。しかし小学生になると、キャラクターが激変します。
「教師だった母の教育方針で“波風を立てないで”“横道にそれないでほしい”と言われ、真面目で目立たない子になってしまって。小学校低学年までは作文を書くことが好きでした。文章を書くというより、人と違った視点を持っていることがアピールできるのが嬉しかったんです。だけど親からは“家のことを書きすぎ”“あまり目立たないでほしい”と言われて。すっかり大人しい子になりました」
本や絵本は大好きで、家にたくさんありました。ただ親が忙しかったため、読み聞かせはテープを流していたそうです。母親は捨てるのが苦手なタイプで、家はすぐに物だらけに。「こうなりたくない」と姉と話していました。
「だからこそ反面教師のように私は捨てることを生業にしているのかもしれません。絵本は好きですが、今も娘に読み聞かせる絵本は一度図書館で借りて、気に入ってリピートしたものだけ購入するようにしています。『とこちゃんはどこ』(福音館書店、松岡享子・作、加古里子・イラスト)、『大ピンチずかん』(小学館、鈴木のりたけ)、『パンダ銭湯』(絵本館、tupera tupera)、『バムとケロ』シリーズ(文渓堂、島田ゆか)。親子で何度読んだか分からないほど大好きな絵本です」
子どもの頃はお気に入りの服をずっと着ていたかった。服を捨てていくことで、幼少期に戻っていく感覚も
服はずっと好きで、3歳ごろには「これを着たい!」という意思があったそう。お気に入りの赤いパンツをずっと履きたい、好きなものをずっと着ていたい、という思いは幼少期から強かったそうです。
「振り返ると、昔も好きな服をずっと着ていたいタイプだったんです。それなのにファッションエディターという仕事もあってか、あんなにたくさんの服を持つようになって。服を捨てていくことで、幼少期に戻っていく感覚もありました。そもそも好きだった自分の本質はこれだった、と気づかされた経験でした」
小中高は広島で過ごし、大学進学のため京都に。単位を3年で取り終えて、ファッションの仕事がしたいと東京へ。ファッションエディターとしてのキャリアがスタートします。
「ファッション雑誌にスタッフの募集の記事があり、応募しました。雑誌を編集している編集プロダクションの募集だったのですが、すぐに採用され、担当ページを持つように。大学卒業後は、そのまま編プロで働く流れになりました。その後、出版社をいくつか経て、2013年にフリーランスになりました」
服を捨て、本を出版したことで、封印していた「本来の積極的な自分」を解き放てた
目立たない・表に出ない裏方の仕事を望んで編集者になったけれど、本音は自分の視点を表に出したい、アピールしたい思いがあったことに気づかされたと言います。
「本を出したことで、やっと自分の思いを解放できた、傷ついた自分の思いを癒すことができた、という感覚です。思えば30年以上親から言われた言いつけを守って自分を隠して生きてきたようなもの。服を捨てたことで、本来の自分、積極的な自分に戻ったと思います。封印していた自分を解き放ったというか。だから今が生きてきた中で一番楽、人生ってこんなに楽しいんだなと毎日思います」
移住先の山形から東京に戻ったのは2023年4月。この時も「そろそろ戻らなきゃ」と直感的に思ったのがきっかけでした。引っ越し先の周辺には大きな公園があり自然が豊か、お子さんのいい幼稚園にも巡り会いました。そこから本を出すことが決まり、『1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話』を11月に出版することに。
「行動を起こす前に不安に感じる人は多いかもしれませんが、私は服を捨てたおかげでそう思わなくなりました。3年かけて服を1000枚減らす作業をやってきているので、自分の中で“大丈夫”という確信があった。だから迷いのない決断ができました。どうせ何とかなるんです。どんな時も、自分の本音・気持ちを大事にしていけばいい。私自身が日々実験なんです。何を捨てたら、どう変わっていくのか。私がそれを証明していきたいです。何を捨てても大丈夫、良いことしか起こらないことを知って欲しいです」
子どもの原因不明の病気に動揺、感情をコントロールすべく瞑想を毎日のルーティンに
昼田さんが服捨ての後に始めたのが瞑想です。始めた理由は、2019年の娘さんの体調不良でした。
「娘が2歳の頃、原因不明の病気になり、私がかなり参ってしまったんです。服を捨ててモノに振り回されないようにしたのに、家族や周りの出来事に振り回されている自分がいました。子どもの病気って、すごく動揺するし疲れます。そんな自分が嫌で感情をコントロールしたいと思って始めたのが瞑想でした」
瞑想は毎日のルーティンとして、アーシングは時間があるときに続けています。アーシングとは、芝生や砂浜を素足で歩いたり寝転がったり、木に触れるなどし、自然とつながることで心と体を整える健康法です。
「カウンセリングや人と会ったりすると、知らずにその人からいろいろなものをもらっています。そんな日は、公園の芝生をしばらく裸足で歩いたり、寝転がったりしてから家に帰ります。それをすることで本来の自分にリセットできます」
理想はブッダの生き方。人生後半戦、やりたいことが100個以上あるので、片っ端からやっていきたい
昼田さんのおしゃれのルールは、とてもシンプルです。ポイントはバストから上に集中。ヘアスタイルはきちんと整え、イヤリングやネックレス、リップなどでひとつインパクトを作ることでおしゃれに見えるそうです。
「おしゃれって、“違和感”なんです。違和感をどう作るかが大事で、普通じゃないことをひとつだけ取り入れたらいい。私で言えば、個性的なメガネを掛ける、赤いリップをつける、ヘアスタイルに艶を出す。この違和感がおしゃれに見えるポイントです。私の髪はくせ毛でパーマではないのですが、これも長年コンプレックスでした。それをそのままでいいと受け入れた時に世界が変わりました。自分が持っているものにOKを出す、コンプレックスを認めてあげることも大事だと思います」
昼田さんが理想とする生き方はブッダ。何にも振り回されない、何にも寄りかからない自分でいることを大切にしています。現在44歳、50代そしてこれからの生き方を聞いてみました。
「やりたいことが100個以上あるので、それを片っ端からやっていこうと思います。やりたいことをやるために生きてきたんですから、全部やりたいです。その中のひとつが“100人の人生を動かしてみよう”というプロジェクトです。今音声配信をやっていて、100人のチームで人生に小さな変化を起こしてどんな変化があるのか試しています。本を出してから、読者の方でも“なかなか進められなかった”という声を聞くのですが、みんなで挑戦することで少しでも背中が押されれば、と思っています」
My wellness journey
昼田祥子さんに聞きました
心のウェルネスのためにしていること
「瞑想です。1日2回やるのですが、まず朝起きたら、どの時間に2回目の瞑想をするか決めます。できれば静かな場所が理想ですが、忙しい時は公園や電車に乗る前、ホームのベンチでやることも。ワイヤレスイヤホンとアプリ『究極の瞑想』を使っています」
体のウェルネスのためにしていること
「時間が空いた時にヨガをしています。ヨガ歴はフリーランスになってから10年と長いのですが、時々によって頻度は異なりますが、2022年ごろにスイッチが入りハマっていましたが、最近は落ち着いています」
インタビュー前編はこちらからお読みいただけます
Staff Credit
撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子
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