もしも“不登校”になったら…
【行き渋り・不登校】学校は学ぶ場の選択肢の一つ。子どもに合った学校以外の居場所とは?
2024.09.21
もしも“不登校”になったら…知っておきたい選択肢
こんな学校以外の居場所があります
学校に行かなくてもさまざまな学びの場所があり、そのかたちも多様化。教育ジャーナリストのおおたとしまささんに教えてもらいました。
学校は学ぶ場の選択肢の一つ。よりわが子に合った方法を探して
おおたさんは、著書『不登校でも学べる』で、多数の学校以外の学びの場所を取材。どんな施設があるのでしょうか?
「自治体が運営する教育支援センター、民間ならフリースクールや塾、オルタナティブスクール、通信制高校などが(以下の居場所リストを参照)。特徴は異なりますが、学校教育法第一条にもとづく正式な学校である“一条校”かどうかは知っておくべき。一条校であれば、基本的には学習指導要領にのっとり職員も教員免許が必要で、教育の質が担保されます。そうでなければ、どんなカリキュラムで誰が運営しているかは施設によるので、事前のリサーチや見学は必須。また、民間の施設は、公営に比べると学費が高くなりがちなのでよく確認を」
条件や環境のチェックは必要になるものの、こういった場所を活用することで、よりわが子に合った学びを選択できることも。
「学校は勉強も運動もオールインワンでできるので便利ですが、実は学ぶ手段の一つにすぎない。代わりになる場はいくらでもあります。最近は学校の代わりの居場所を一つの施設に絞らないケースも増加。例えば、4教科の基礎学力は塾でつけて、体育や図工の代わりにサッカーや水泳教室、絵画教室へ。さらに、フリースクールや地域のボーイスカウトで集団生活を経験する、といったわが子に合ったゴールデンプランも組めるわけです。学校という閉ざされた空間にいるより、精神的に落ち着く子どももいるかもしれません」
選択肢がこんなに増えています。
学校以外の居場所リスト
a place outside of school
01
自治体の教育支援センター
不登校の子どもの支援や教育相談などを行う公的機関
各自治体には、不登校の子どもを支援する教育支援センターが。内容は自治体によりさまざまで、少人数制の居場所として機能していたり、進学の際に教育相談ができたりするケースも。公的機関なので教員免許や臨床心理士などの資格を持つ職員が多く、子どもだけでなく保護者の相談先としても助けに。在籍する学校と連携がとりやすいのもメリット。ただし、設置が義務づけられてはいないので、4割近くの自治体では教育支援センターがないという現状も。
a place outside of school
02
学びの多様化学校
不登校の子どものための特別なプログラムを行う学校
これまでの「不登校特例校」が、今年の4月から「学びの多様化学校」という名称に。学びの多様化学校とは、不登校の児童や生徒に配慮し、文部科学省の学習指導要領にとらわれず特別な教育プログラムを編成している学校のこと。現在、公立・私立を合わせて全国に35校が。学年に関係なく、本人の理解度に合わせた学習ができるケースが多く、不登校の子どもの学び直しを後押し。文科省が認定する教育施設のため、進学に必要な書類の発行もできます。
a place outside of school
03
フリースクール
勉強中心、居場所として開放するなど中身は多種多様
ひと口にフリースクールといってもその中身は多様で、時間割があって勉強を中心に行うところもあれば、場所を開放してスタッフとおしゃべりをしたりゲームをしたりする施設も。ただ、いわゆる一条校でないことが大半で、教員免許などの資格がない一般人が運営するケースもあるのが現状。どういう職員やスタッフが在籍しているかは、よく確認を。また、在籍校の校長先生の判断で、出席認定がされることもあります。
例えばこんなフリースクールが
「星槎フリースクール」
幼稚園から大学まである星槎グループのフリースクール。現在、全国に30以上あります。星槎フリースクールから系列の高校に進学するケースも多いそう。写真は北斗校で毎年行う水耕田活動の様子。https://seisa.ed.jp/freeschool/
a place outside of school
04
塾
不登校対策にも活用できる塾。実情はよく確認を
学校は難しくても塾なら通えるという子どもは一定数いて、不登校対策として塾を活用するケースは今後も増えていきそう。勉強を教える塾だけでなく、自然教室のような外での活動を行う塾や、スタッフや塾生同士のコミュニケーションがメインの塾など形態はさまざま。中には、不登校支援をかたった悪質な塾もあるので、フリースクール同様、どんな職員やスタッフがいるか、利用前に見学に行きしっかり確認しましょう。
例えばこんな塾が
「学習支援塾ビーンズ」
不登校や進路に悩む10代のための塾。悩める10代を元気にするために体系化された“ビーンズメソッド”に裏付けられたサポートで、心のケア・青春経験、進路選び・受験対策まで行う。
https://study-support-beans.com
a place outside of school
05
オルタナティブスクール
不登校対策のためではないがオルタナティブスクールなら通える子も
文部科学省が定めたものではない、独自の教育方針を持つ学校のこと。シュタイナー学校などは、世界的に広まっているオルタナティブスクールの一つ。理想の教育を追求して運営されており、不登校支援のためにあるわけではないので注意が必要です。ただ、文科省の規定のもとに運営される既存の学校に合わない子どもが、オルタナティブスクールなら通学できるようになるケースも。一条校になっている学校もあり、その場合は卒業認定されます。
a place outside of school
06
通信制高校
自分のペースで学べる通信制高校。最近では通学する学校も増加
オンラインなどの通信教育で、場所を選ばずに学べる通信制高校。基本的に自由に時間割を組み、自分のペースで学ぶことができて、課題の添削、面接、試験などで規定の単位を取得すれば卒業できます。小中学校で不登校だった場合の進路として、選択肢の一つに。ただ、最近では通学して授業を受けるスタイルの通信制高校も増加。フレキシブルに通えるので子どもへの負担が少なく、学校行事なども積極的に行われています。
Column
「ホームスクール」とは?
家庭を拠点にした学習スタイル。サイトを活用して情報収集を
家庭を拠点にした教育を“ホームスクール”といいます。ホームスクールを行う保護者が運営する“ホームスクール&ホームエデュケーション家族会”のサイトには必要な情報が満載。保護者同士のZoomおしゃべり会も開催しています。
オンラインの居場所も増えています
ICT教材にフリースクール…オンラインでのメタバース空間も
不登校で外出が難しい子どもには、オンラインだと参加しやすいメリットが。タブレットなどを使ったICT教材、オンラインフリースクールなどが増えています。認定NPO法人カタリバが運営する「room-K」のような、子どもが自身のアバターを動かして活動するオンラインでのメタバース空間も。
Staff Credit
イラストレーション/pum 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE10月号(9/6発売)「「行き渋り」「不登校」その後の選択」に掲載の記事です。
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