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私のウェルネスを探して/辛酸なめ子さんインタビュー後編

辛酸なめ子さん伝授!LINEの「おじさん構文」「おばさん構文」認定を防ぐコツ

  • LEE編集部

2024.08.11

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辛酸なめ子さん Tools御茶ノ水店

引き続き、辛酸なめ子さんのインタビューをお届けします。取材中、気になった話や雑談をノートにメモしている辛酸さん。「あとでネタになったりヒントになるかもしれないので残しています。自分にしか読めない字なんですけどね」。辛酸さんらしい独自の視点は、細やかな情報収集や人間観察から生まれているのかもしれないと感じた瞬間でした。

後半では、辛酸さんの幼少期のエピソードをはじめ、コロナ禍以降の「今度会おうね」と言っている友人の誘い方のコツ、気になるLINE構文やアラフィフの等身大のファッション選びについて聞きます。イエベ・ブルベで単純に分けられない、自分に合うファッションやメイクのポイントを教えてもらいます。(この記事は全2回の第2回目です。第1回目を読む

厳しい両親の反対を押し切って美大に入学、アルバイトして画材代などを稼ぐ

辛酸さんは東京・御茶ノ水生まれ、埼玉県育ち。両親ともに教師で、辛酸さんと妹の4人家族で育ちます。教育者である両親はとても厳しく、「テレビを見ない」「漫画を読まない」「雑誌は性的な部分は黒く塗りつぶして渡される」など、家庭内で独自のルールがあったといいます。

辛酸なめ子さん Tools御茶ノ水店
なめ子さんが「ゆかりの場所」として挙げてくれたTools御茶ノ水店にて。コピックは最もよく使う画材の一つだとか。(撮影は2024年7月に行われました)

「娯楽をあまり知らない両親だったので、家では厳しかったと思います。オレンジジュースも家族旅行の時しか飲めなくて、今なんて毎日コーヒーショップでドリンクを買ってるんですからその反動ですよね。幼少期は体育がとても苦手でした。男子がいるといじめられるのでは? 女子校に行けば体育が楽になるのでは?とより厳しくない世界を求めて、進学先は女子校を選びました」

中高は一貫校の女子校へ。自由な校風でのびのびと過ごせたものの進学校だったため、周りと少し合わないと感じることもありました。

「男子の目もなく自由、個性をそれぞれ認め合っていて友達同士も仲が良くて、居心地が良かったです。とはいえ、同級生たちは勉強を極めていくようなタイプが多く、小説ではなく論文を読んでいるような子もいましたから、途中から何を言っているのか分からなかったりもして。勉強面で劣等感に苛まれつつ、文化祭でポスターを描いたり、遠足や修学旅行のしおりに絵を描いたりして活路を見出しながら、美術大学に進学しました」

大学では、デザイン科グラフィックデザイン専攻へ。憧れていたのは、美術家でグラフィックデザイナーの横尾忠則さんでした。ただし両親は美大への進学に反対していたため、画材代などは自分でアルバイトをして稼ぐようになります。

「両親の反対を押し切って美大に入ったので、自分でバイトをして小遣いを稼ぎました。美大の予備校でのバイトで、石膏像のセッティングや教室の掃除などをしていました。そのお金で画材を買ってました。高校時代は美術予備校、すいどーばた美術学院の併設店で。仕事を始めてからは御茶ノ水の『Tools』などです。仕事をし始めてからも、原稿用紙やGペン、スクリーントーン、コピックなどを買いに来ていました。デジタルに移行した今でも画材は好きで、新しい画材を見つけると使う機会があまりないのに、つい買ってしまいます」

辛酸なめ子さん Tools御茶ノ水店
Tools御茶ノ水店でよく使っていた品番のスクリーントーンを発見! 思わず笑みがこぼれたなめ子さん。

スピリチュアル好きの辛酸なめ子さんが伝授! スピリチュアルとの付き合い方・注意点

2020年に出版した『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)は、スピリチュアル好きの辛酸さんが、現代のスピリチュアルを占い系、心霊系、オーラ系などにカテゴライズしながら、パワーストーン、手相、風水といった身近なものからディープ系までを丁寧に解説しています。辛酸さんに聞きたかったのは、身近にある危険なスピリチュアルについて。「勧誘された」「〇〇を買わされそうになった」など、まわりでもそういった話がよくあり、ぜひスピリチュアルのプロから注意点を聞きたいところ。

「勧めてくれた人から愛や平和を感じる、ポジティブになれそう、参考にできそうならいいと思いますが、恐怖や不安をあおるようにして、セミナーやイベントを勧誘してくるのはよくないと思います。本の中でも、イベントに体験取材的に参加しましたが、最近のスピリチュアル系のイベントではハグが流行っていて最後にハグすることが多かったんですけど、私はちょっとそれが苦手でしたね。

辛酸なめ子さん

他にもネットワークビジネス系、陰謀論系などいろいろあります。ナチュラル系のコスメセレクトショップが販売するような商品は問題ないと思うので、その範囲内で楽しむのは良いのかもしれません」



友人は「ドタキャン前提」で誘う、LINEは相手の文章の長さやリズムに合わせるように返す

2023年に出版した『大人のマナー術』(光文社新書)は、コロナ以降の新たなコミュニケーション術、人間関係のヒントが学べる良書です。「コロナが明けたら会おうね」とそれきりになっている友人が、みなさんもいるのではないでしょうか。誘うタイミングを見計らい、どうやって誘おうか迷っている人も多いかもしれません。

『大人のマナー術』

「私もそうやって何年も会っていない友人がいます。だけど計画があるのがいいなと思って、そのままにしています。縁があれば偶然会う時もありますから。実際に会ってみても意外と盛り上がらないこともありますし、昔と話題が変わっていることもありますからね。もし自分から誘うとしたら、『明日イベントがあって私は行く予定なんだけど、もし良かったら行かない?』と直前に誘ってみる。直前なら予定が入っていてもいなくても断りやすい。逆に2ヶ月先の予定になると、会うまでずっとプレッシャーになるじゃないですか。直近にドタキャン前提で声をかけてみるのは、誘いやすい&断りやすいのでおすすめです」

もうひとつ気になるのが、LINEの「おじさん構文」「おばさん構文」について。絵文字、マルハラスメント、読点が多い、長文など、無意識に使っているLINEが迷惑な構文になっていないか不安に。辛酸さんは「相手の文章の長さやリズムに合わせるように返すといいですよ」と教えてくれました。

「年齢が若めの方だと、一つの文が短くて分けて送られていることが多いです。長い文章なら3つに分けて送り、逆に長めの文章や写真OKの人には、文章は長めのまま写真も送るようにします。マルハラスメントについては、20年くらい前から不思議と句点を使っていなかったんです。マルを使うと体力を吸い取られている気がしたので、どこか圧を感じていたのかもしれません。絵文字については、老眼で見づらくなってきているので、涙なのか笑いなのか表情が見づらくなっているのであまり使わなくなっていました。もしかしたら泣いてる顔と笑っている顔を間違えて送っていたかもしれませんね」

洋服選びは試着がマスト。年齢を重ねると「イエベ・ブルベ」だけで分類はされないし、その日の体調で顔色が変わる

取材当日、マキシ丈の素敵なワンピースを着ていた辛酸さん。ファッションへの考え方も、私たちが改めて参考にしたいポイントが詰まっています。

辛酸なめ子さん

「今の時代は、自分の好きな服を割と自由に着られるようになったと思います。つい楽な服、自分を甘やかしてしまう格好をしてしまうのですが、もっさりした服を着ていると、どこか相手から軽んじられるような気がして。以前あるセレブ系の方のホームパーティに行った時、背中ががっつり開いた、それこそ“びんぼっちゃま”みたいなニットを着ていらして、20歳30歳下の男性にもきちんと女性として扱われいたのが素敵だったんです。私は寒がりなのでつい中にヒートテックを着られる服ばかり選んでいたのですが、暖かさ重視でつい同じようなもっさりした服ばかりになってしまう。相手にどう扱われたいかを考えて、見せ方・シルエットにも気遣って洋服選びをするのも大事だと思いました」

洋服は、実際に試着をして買うことが多いそう。自分の肌色に合う色かどうかをチェックし、店員さんに着方を教えてもらいながら決めていくと言います。

辛酸なめ子さん

「自分の肌色に合わない、顔色が悪く見える服があるので洋服は試着してから買います。トップスはインがいいのかアウトがいいのか、何を合わせたらいいのか店員さんに相談してから買うようにしています。最近パーソナルカラーのイエベ・ブルベとか言われますが、年齢を重ねるとそれだけで分類はされないし、その日の体調で顔色が変わるんです。ブルベっぽい日もあるし、イエベっぽい日もある。コスメのプロの方が“イエベだからと言って、メイクも服もイエベ仕様にすると垢抜けない。どこかしらブルベを入れると洗練して見える”とおっしゃっていたのが印象的でした。私たち世代は個人差もあるので、そこまで振り回されなくていいのかなと思います」

憧れは友人でもある、イラストレーターの田村セツコさん。AIに負けない、AIにはできないことを続けていきたい

今年50歳を迎える辛酸さん。50代60代に向けて考えていることややりたいこと、目標とする女性像について聞きました。

「仕事を中心にずっと生きてきたので、自炊をあまりせずにここまできました。江戸時代の人を習って自炊をしたりとか、生活環境をよくしたりとか、もう少し自分のためになることができたらいいですね。生成AIブームがきているので、AIに負けない、AIにはできないことを続けていきたいです。憧れているのは、友人でもあるイラストレーターの田村セツコさん。80代ですが、とても若々しくて考え方も柔軟で頭脳明晰。ずっと素敵な絵を描きながら活躍もされています。田村さんのように魅力的に歳を重ねたいですね」

My wellness journey

辛酸なめ子さんに聞きました

心と体のウェルネスのためにしていること

「シトリンやサンストーン、ハーキマークリスタルなどの石を集めています。モチーフとしてはガネーシャも好きですね。石は人間より先輩で何億年前から地球に存在しているもので、不安な時に握って安心感をもらいます。いつもはデスクに置いてあり、コロナ禍の家からあまり出られない時は、石を握ったり会話したりもしていました。パワースポットに行く時は持ち歩いて、そこの水で洗ったりもします。

瞑想とヨガの太陽礼拝のポーズも毎日しています。瞑想は、睡眠の代わりになるとも言われていて、疲れをリセットしたり、集中力を高めたい時に。参考にしている本は『ヒマラヤ大聖者が教える瞑想のすすめ 心から空っぽにすれば、人生はうまくいく』(相川圭子著、SBクリエイティブ)。太陽礼拝は朝2回、足腰を鍛えられるように続けています」

インタビュー前編はこちらからお読みいただけます

辛酸なめ子さん

Staff Credit

撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子

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LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
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