“規則正しい生活”が大事っていうけれど…
自律神経が本当に整う食事・睡眠・運動とは?
気候などの外的要因やストレスなどの内的要因に負けない、自律神経の土台を育む具体的なポイントを姫野先生に教わります。
教えてくれたのは
姫野友美先生
TOMOMI HIMENO
⼼療内科医・医学博⼠
ひめのともみクリニック(東京・品川)院長。日本薬科大学教授。女性の立場に立った診療が多くの女性患者に支持される。『心療内科に行く前に食事を変えなさい』(青春出版社)ほか著書多数。
食事
自律神経を乱す大きな要因は栄養素不足! たんぱく質、ビタミン、ミネラルを十分にとって
まずは朝食でたんぱく質20gをとることを心がけて。ビタミンやミネラルはサプリでも
「神経をスムーズに働かせるには、情報の受け渡し役である神経伝達物質がきちんと作られることがカギ。神経伝達物質の合成には鉄やマグネシウム、カルシウムなどのミネラルが不可欠で、これらはたんぱく質と結びついて体に吸収されるため、たんぱく質を十分にとることが重要です。特に朝食で十分なたんぱく質をとることで神経伝達物質がきちんと作られ、神経がスムーズに働き、意思決定が早くなる、パフォーマンスが上がるなどの研究報告も。体重×0.4gが理想で、50㎏の人ならたんぱく質20g(卵1個で約6.5g)を目標に。食事から十分な量をとるのが難しい場合は、サプリメントを活用するのも手です」(姫野友美先生)
肥満は自律神経の大敵! 甘いものや夜の炭水化物は控えめに
「内臓に脂肪がつくと、そこから血圧を上げたり糖代謝を悪くしたりするさまざまな“悪玉ホルモン”が出て、自律神経の働きも乱します。また、スイーツや炭水化物など糖質の多いものは血糖値を急上昇・急降下させ、交感神経を優位にしてアドレナリンを放出。これも交感神経を乱す一因です。おやつはできるだけ甘くないものを選び、夜の炭水化物は量を控えるといいですね」(姫野友美先生)
神経伝達を助けるのはDHAを含む油! 卵や大豆を食べよう
「神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンは、大豆や卵などに含まれるレシチンという油を原料にして作られます。また、スムーズに情報伝達するには神経をくるむ鞘(さや)が健やかであることが大事で、鞘の原料となるのも油。レシチンを多く含む大豆や卵を積極的に食べ、DHAを含むアマニ油などをこまめにとれるよう、テーブルオイルなどで取り入れてみるのもおすすめです」(姫野友美先生)
睡眠
「質」も大事だけれど、私たちに今必要なのは、「量」=睡眠時間の長さ!
いつもの睡眠に1時間プラスしてみよう。0時までには眠りにつきたい
「『深く質のいい睡眠をとれていれば短時間でもいい』という説も聞きますが、質だけでなく、長さも大事です。ある海外の研究では8.5時間の睡眠時間がベストという実験結果が。忙しい30代・40代にとっては現実的ではないので、せめて今の睡眠時間+1時間を目標にしてみましょう。交感神経から副交感神経へスムーズにスイッチできるよう、ベッドでのスマホはやめ、部屋は真っ暗に。夏場はエアコンを27℃くらいにして寝苦しくない環境づくりを。また生体の時計遺伝子を整えるには、深夜0時より前に眠りにつくのがベスト。睡眠時間がなかなかとれない場合、日中の休息時間と睡眠時間の合計が10時間になるようにしてみるのもひとつの手です」(姫野友美先生)
運動
下半身の血流をしっかり促して自律神経が乱れない土台を作る
ラジオ体操の第2までやるのがおすすめ。隙間時間にスクワットをするだけでも効果あり
「特に大事なのは下半身運動。下半身の筋肉は大きいため、運動によって筋肉量を増やして血流を促すと全身の血流もよくなります。夏の戸外は暑すぎるので、室内でラジオ体操もいいですよ。ラジオ体操は有酸素運動とストレッチを兼ね備えており、第1から第2まで通して行えば全身をくまなく使うことができます。朝起きてやれば交感神経へのスイッチングもスムーズになり、シャキッと1日をスタートさせられます。まとまった時間がとれない場合は、食事づくりの合間のスクワットでも十分。ハードな運動をたまにやるのではなく、負担にならない程度の運動をコツコツ続けることで、環境の変化やストレスに耐えられる自律神経を育てます」(姫野友美先生)
LEE100人隊がやってみました!
自律神経が整う生活2週間続けたらどうなった?
だるさや疲れ、めまいなど、夏の不調に毎年悩む100人隊の2人が、食事、運動、睡眠から自律神経の改善にアプローチ!
Before
ちょこっとメンテ程度では、追いつかない予感
No.060 みぃみさん
36歳。6歳&2歳わんぱく盛りの息子のママ。食べ物や化粧品、体にいいことの情報を集めて実践するのが好き。でも最近は酷暑のせいか年齢のせいか、夏のしんどさが年々増加傾向に。
子どもと公園で遊んでいるときなど、立った瞬間にめまいを感じたり、朝起きても体がだるかったり。むくみや便秘も、毎夏恒例になりつつあります。家事の合間や家族が起き出す前にストレッチをしたり、心を整えるためにセルフケアをしているけれど、暑くなると結局いつも、体調が下降ぎみに。
Day
4
不足しがちなビタミンCを、グミやサプリで
「グミやサプリメントでビタミンCを積極的にとることを意識するように。2日前から生理が開始、いつもはPMSやむくみがひどいけれど、栄養を意識して、かつしっかり寝るようにしてみたらいつもほどのつらさはなかったような」
Day
8
たんぱく質たっぷりの、朝ごはんを意識
「朝食はスクランブルエッグのせ全粒粉パントースト、グラノーラを入れた豆乳ヨーグルト。今までは炭水化物中心でしたが、たんぱく質を多めに。睡眠時間も今までより1時間多くしたら朝がスッキリ、日中も疲れにくくなってきました」
Day
12
朝ピラティスで、仕事効率が上がる!
「仕事の前にピラティスのレッスンに参加。朝食にたんぱく質をしっかりとったためか、昼までおなかも空かず間食なしで過ごせたことに驚きました。その後もおなかの調子がいいので、昼まで集中して仕事に取り組めました」
2weeks later
生活習慣を見直すだけで、こんなに体調がいいとは
朝のたんぱく質は間食が減る効果もあるようで、体が常に軽くて調子がいい! 食べる、寝る、動く、お風呂で温め。生活の基本を見直すだけで、体調に差が出ることを感じた2週間でした。これから夏本番を迎えても、特別なことをしなくても乗り切れそうだと自信がつきました。
Before
自律神経の乱れかも?とケアしていますが、改善までは遠い……
No.084 たわさん
40歳。10歳娘、8歳息子のママ。頑張りすぎずに暮らしを楽しむのがモットー。冷えやすい体質なので真夏の夜でもネックウォーマーと、アームウォーマー、レッグウォーマーは欠かせない。
冷房の効いた部屋の中に長くいると頭痛やだるさ、のどの違和感から、あっという間に夏風邪に。冷房にはかなり警戒しているので、飲み物も氷なしが標準です。こんなに気をつけていても仕事中や外出先で立ちくらみが起きることはしょっちゅう。自律神経が整う生活で、どうにか改善したい!
Day
1
朝ごはんのたんぱく質量を、アプリで管理
「今までの朝ごはんはパンにコーヒー、ヨーグルト程度。でもたんぱく質が大事とのことで、ゆで卵やチーズ、大豆、豆乳などで、たんぱく質量を増やすことを意識。栄養管理アプリを活用して、20gを超えることを目指しました」
Day
6
ヨガマットを、リビングに常備して筋トレ
「ヨガマットはしまい込まずにリビングの目につく場所に置いておき、運動をしやすい環境づくり。以前から朝10分のヨガは習慣にしていましたが、より下半身の筋肉を強化することを意識して、夜の下半身トレーニングも追加することに」
Day
13
行動と体の変化を記録し「見える化」
「朝ごはんのたんぱく質量、運動の有無、睡眠時間を毎日ノートにメモ。健康には気をつけていたつもりだったけれど、実際に記録をつけて見える化すると、『今まではここまでやってなかったな』と実感。できることってまだまだあるんだな~」
2weeks later
寝つきがよくなり、夕方のだる重さが激減!
運動を増やしたおかげか寝つきがとてもよくなりました。以前よりスムーズに寝られるため体力が増し、夕方の充電切れがなくなったのが大きな変化。副産物ではありますが、髪と肌のツヤもよくなり、実はいちばんうれしいのがこれかも(笑)。内側から土台を整えることの大切さがわかりました。
Staff Credit
イラストレーション/Aikoberry 取材・原文/遊佐信子
こちらは2024年LEE8・9月合併号(7/5発売)「夏こそ「自律神経」の整えどきです」に掲載の記事です。
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