ワインや音楽をパートナーと共に
【猫沢エミさんのパリのキッチン】インテリアから夏のアペロまで。ご機嫌に暮らす秘訣は?
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@homeLEE 私らしく建てる、心地よく暮らす
2024.08.01
Paris Small Kitchen 海外インテリアスペシャル
夏のアペロ、愛用の器、調味料も
そこに立つ時間が楽しくなる
パリの日本人の「小さなキッチン」
パリのキッチンは日本とさほど変わらないコンパクトさなのに、個性やセンスが感じられ、なんだか楽しげなのはなぜ?
調理道具や器など愛着のあるものと料理の時間をごきげんに過ごす工夫があふれた、パリ在住・猫沢エミさんの空間作りには、あなたのキッチンをより快適にするヒントがいっぱい!
教えてくれたのは?
猫沢エミさん
Emi Nekozawa
ミュージシャン、文筆家
超実践型フランス語教室「にゃんフラ」も主宰。近著に、翻訳を担当した『お菓子づくりは子どもの遊びです』(河出書房新社)。
ワインや音楽をおともにパートナーと会話が弾む独立型キッチン
30代で初のパリ暮らし。日本へ戻り、再移住3年目。ミュージシャンであり文筆家としての顔も持つ猫沢さんがパートナーと暮らす家は ’70年代築の集合住宅です。
築200年の建物がざらにあるフランスでは、50年前の家なんて〝築浅〟。ちなみにここは家具付きの家なので、とりあえず、すぐに暮らせるようにはなっていて
実は、引っ越し荷物の到着が遅れに遅れたという猫沢さん。渡仏当初はとりあえず、身ひとつで暮らせてはいたけれど、日本から持ってきた道具をひとつずつキッチンに収めたときにようやく、「自分の場所になった」と実感できたそう。
私が料理をするときは、パートナーがキッチン奥のスツールに座って、おしゃべりをしたり、音楽を選曲して流したり。気がつけばアペロの時間がなんとなくここから始まって、テーブルに移り、食事へとつながっていくのが日常です。
フランスのカップルは、日本人から見ると驚くほど密にコミュニケーションをとるし、愛し合っているならできるだけ長く一緒に過ごしたいと考えるのが当然のこと。デザートまで続くその大切な時間。それが始まる場所が、わが家の場合はキッチンなんです
Kitchen
窓から風が通る心地よさも、ここで過ごす時間が長くなる理由です。
「日本からはるばるパリまで持ち込んだのは、一生涯使うと心に決めたものだけ。たとえ場所は変わっても、手になじんだ調理道具で料理をすれば、新しいキッチンも〝自分の居場所〞になる。そして、それらの道具の魅力は、異国に来たからこそ気づけたものもありました」(猫沢エミさん)
吊るしたサラミを、料理中のつまみに
アペロに欠かせないサラミを、風通しのいい窓辺の棚にぶら下げて。
「料理中に少しずつスライスして、ワインのつまみにしています」(猫沢エミさん)。
サラミ用に選んだフックは、猫の形。
カッティングボードはトレイにも
日本からの荷物の到着が遅れたため、取り急ぎ「Pépins&Trognons」で購入した、大中小3サイズのまな板。
「フロマージュやピザ、タルトなどをのせて食卓へ出すのにも活躍」(猫沢エミさん)
特大にんにくの中には、本物が!
30年ほど前にパリの蚤の市で見つけた、陶器製のにんにく入れ。日本に持ち帰り、さらに時を経てパリに戻ってきた。
「割れたところをボンドで修繕しつつ使い続けています」(猫沢エミさん)
冷蔵庫は自己表現の場です
どんどん増えたスカルモチーフのマグネット類やポストカード。
「フランスの人、冷蔵庫にいろいろ貼ってますね。自分らしさをここで表現する感じは、日本と同じだなと思います」(猫沢エミさん)
スツールは、DJ兼話し相手の定位置
「私もパートナーも音楽なしでは過ごせないので、家の中では常にポータブルスピーカーと一緒。料理していないほうが、ここに座りDJ担当に。飲みながらずっと二人で話しています」(猫沢エミさん)
お菓子はいつも、この中に
柏木圭さん・千繪さんご夫婦合作のケーキドームにはお手製のお菓子が。
「日本の作家さんの器は、素晴らしいなとあらためて気づきました。彼らの作品はティーポットなども愛用」(猫沢エミさん)
Apéritif
フランスでは、〝ホストがキッチンにこもりきり〞なんてことはありません。だからアペロで出すのも、切るだけだったり、作りおきできるものが基本です。
「最近よく食べるのが〝タラッリ〞。小麦粉と塩とオリーブオイルしか入っていない素朴なイタリアのかた焼きスナックで、例えるなら小さなドーナツ型のグリッシーニ。そのまま食べたり、簡単なペーストなどをつけて味わいます。フランスの日常の食卓は実に素朴で、素材そのものの味わいを楽しむもの中心なんです」(猫沢エミさん)
タラッリにつけるディップはお手製。ひよこ豆の水煮250g、その缶汁50㎖、にんにく1/2かけ、タヒニ(白ごまペーストで代用可)大さじ2、レモン汁1個分、オリーブオイル大さじ3、塩小さじ1、プレーンヨーグルト大さじ1、アンチョビー4枚、グリーンオリーブ(種抜き)40gをフードプロセッサーにかければOK。器に盛って中央をくぼませて、オリーブオイルを垂らし、ディルとレモンの皮を削ったものをあしらう。
フランスのアペリティフには欠かせない一皿です
「どうぞご自由に」がフランス文化。バターも塩気も自分好みで味わう。
「日本でいうと、きゅうりにみそをつけて食べる感覚かな。葉の部分を残して束で盛るとブーケみたいで可愛い」(猫沢エミさん)
夏の体内の熱を取ってくれるカルダモンウォーター
「フランスはクーラーが基本、ありません。だから体の内側からクールダウンしようと考えるんですね」(猫沢エミさん)。
体を冷やす効果のあるカルダモンに切り込みを入れ、水に浮かせて香りを移せば、爽やかな一杯に。
Dining room
仕事場を兼ねたダイニングながら、食事のときは忙しさを忘れ、味わうことに集中。小ぶりに見えるテーブルはエクステンションタイプで、伸ばせば10人程度まで着席可能。
「キッチン好きの私たちですが、基本的にアペロも食事もデザートも、きちんと食卓について味わいたいと考えています。ちょっとフライングぎみにキッチンでワインを一杯、デザートのためにコーヒーをいれに行って、つい話し込んでデザートをキッチンで立ったまま食べていた…なんてこともあるけれど!」(猫沢エミさん)
テーブルも椅子も、備え付け
このアパルトマンは、パリの熾烈な物件争いの中、一軒目の内見で思いきって即決した部屋。
「この家のオーナーは30代の女性で、備え付けの家具のセンスがよかったのは本当にラッキーでした」(猫沢エミさん)
棚の一角には、大好きなものと思い出を
棚の一角には自身の著書のほか、猫のアートブックやdaisakさんのオブジェを。
「私は彼の作品がとても好きで。スフィンクスは、私の誕生日に友人たちがお金を出し合って買ってくれた宝物です」(猫沢エミさん)
LEEチャンネルでは、パリに暮らす日本人のルームツアー動画も配信中!
LEEチャンネルでは、パリ在住のケータリング会社・PR会社代表 植田紗羅さんの自宅を公開。是非チェックを!
次回は、「パリの日本人の『小さなキッチン』料理研究家 松長絵菜さん編」をご紹介します。
Staff Credit
撮影/篠 あゆみ コーディネーター/Harue Konno 取材・文/福山雅美
こちらは2024年LEE7・8月合併号(7/5発売)「パリの日本人の『小さなキッチン』」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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