小さな習慣を変えることから始めました
“他人軸”から“自分軸”へ変わった40代。不安をエンジンにして、次のステップへ【ライター・編集 一田憲子さん】
2024.05.05
子育て、仕事、体の変化…
次なるフェーズのために
揺れる40代、
小さくて大きな“種まき”ストーリー
結婚して家事、育児、仕事にがむしゃらだった30代を経て、行き詰まり感や新たな悩みが出てくる40代。よりよい50~60代を迎えるために、前向きな“種まき”をしておきたい! 先輩の声から、今できることを考えませんか?
憧れの先輩たちに40代を振り返ってもらいました
\50代以上の先輩が/
40代でやっておいてよかったこと
年を重ねてますます自分らしく生きている先輩は40代特有のモヤモヤとどう付き合ってきたの? 一田さんの経験談には重みと学びが!
40代は“習慣”を変えようと奮闘していた時代。そこから、今につながる仕事も生まれました
一田憲子さん
編集者・ライター
一田憲子さん
いちだ・のりこ●1964年、京都府生まれ。OLを経て編集プロダクションへ転職後、フリーライターに。暮らしまわりを中心に、書籍、雑誌で執筆。ムック『暮らしのおへそ』『大人になったら、着たい服』(ともに主婦と生活社)などでは企画・編集に携わる。著書に『歳をとるのはこわいこと?』(文藝春秋)、『すべて話し方次第』(KADOKAWA)など多数。WEBサイト「外の音、内の香」主宰。
Instagram:ichidanoriko2024
公式サイト:https://ichidanoriko.com
不安をエンジンにして、次のステップを模索していた
フリーランスとしての活動を始めて、無我夢中で駆け抜けた30代。いったん立ち止まったのが40歳頃だと、一田さんは振り返ります。
「依頼があった仕事はすべて引き受けて、考える暇もなくて。ただただ疲弊していくのを感じ、その歩みをゆるめたのが40代に入ってからでした。それと同時に、フットワークが軽い若い世代のライターさんがたくさん出てきて、私はこのまま仕事がなくなって枯れていくのかもしれないという焦りも。何者かにならないと生き残れない、みたいな切迫感もあり、不安をエンジンにして、次のステップを模索していた時代でした。
今思うと、心配なのは全然ダメなことじゃないと思うんですよ。不安でヒリヒリするからこそ、神経がとがってアンテナが張られて、喜んだり落ち込んだりできる。今の私に、その感覚は取り戻せないと思います。ただ、やっぱり何かアクションをしないと不安からは抜け出せないので、あれこれと考えては動いて。年上の素敵な方たちに私の思いをぶつけてお話を聞き、『彼女たちの年齢革命』という本を作ったりもしました」
また、当時は周りに合わせすぎてしまい自分らしさが出せず、悩んだことも。
「私のカメレオン時代と呼んでいるのですが(笑)、フリーで仕事をもらう立場なわけだから、編集者やスタッフに合わせなければいけない、と。自分は特にいいと思わなくても、編集者が好きだと言うものを好きだと思い込もうとしていたんです。でも、続けるうちにめちゃくちゃつらくなってきて。やっぱり心からいいと思えるものを好きだと言いたいと考え直し、“他人軸”から“自分軸”へ移り変わった時期だったかなと思います。
当時一緒に仕事をしていたカメラマンさんに『やりたいような仕事じゃないときも、必ず自分の意見をひとつは言うようにしている』と聞き、私もまねして実践してみたり。自分が苦しくなるようなことを認識して、それを少しずつ変えたり、手放したのが40代でしたね」
40代で身についた“習慣”は、その後の人生を豊かに
一田憲子さん
早起きの習慣も続かない!『暮らしのおへそ』のヒントに
そんな中、一田さんが43歳のときに始まったのが、18年続くムック『暮らしのおへそ』シリーズです。
「ちょうどその頃、今の家に引っ越して、人生を新たにしたような気持ちになって。今までは夜型生活で遅い時間まで仕事をしていたのですが、『朝型にして、早い時間に廊下のぞうきんがけをしよう!』なんて思っていたんです。ところが、引っ越しただけで朝型生活に変われるわけもなく。早起きという習慣をひとつ実践するだけでも、こんなに難しいんだと痛感。
当時、インテリアや料理などではなく、新しい切り口のライフスタイルのテーマができないかなとも考えていて、編集者に何かやりたい企画はないかと聞かれたときに『習慣を切り口にしたい』と話し、『暮らしのおへそ』が生まれたんですね。大きな人生の舵を切ることはいろいろなタイミングが合わないと難しいけれど、小さな習慣を変えることはすぐにでもできる。『習慣には、明日を変える力がある』が『暮らしのおへそ』の副題なんです。引っ越しで環境を変えて、40代でこれに気づけたことは大きな収穫でした。
私自身どんどん習慣をアップデートしていて、苦手な掃除は毎日30分やれば1回が丁寧でなくてもきれいが保てる、と聞いて取り入れたり、日記を書くことは三日坊主でなかなか続かないので、湯船にぼーっとつかる時間を使って書いてみたり。また、最近はテニスにハマっていて、以前は原稿の締切があるのに出かけるなんて考えられなかったのですが、今ではレッスンを優先して必ず行くように。これも大きな習慣の変化ですね」
さらに、40代での気づきから、夫婦関係の見直しもしたそう。
「かつては『忙しいのに、また私だけがごはんを作らなきゃいけない』などと、プリプリ怒っていて。今以上に頭の中が仕事モードで、何かを成し遂げないと、自分の存在意義はないと思っていたんですね。でも、他人からの評価を得ても、幸せは持続しないということがだんだんわかってきた。自分なりの本当の幸せを考えたときに、夫と縁側でお茶をしたり、ごはんを食べておいしいよねと言えることが大切だなと。私の怒りをいつも黙って受け止めてくれていたなと思うと貴重な存在にも感じて(笑)、夫のことをもっと大事にしようと思うようになりました」
先輩はこう振り返る!
不安を原動力に、少しずつアクションを起こしていた
自分が苦しくなる要因を知り、40代ではそれを手放してみる
40代で“習慣”の大切さに気づけたことは大きな収穫
Staff Credit
撮影/メグミ 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE5月号(4/6発売)「揺れる40代、小さくて大きな“種まき”ストーリー」に掲載の記事です。
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