ジャーナリスト大塚玲子さんに教わりました
PTAの活動を無理なく、もっと自由に!「新しい取り組み」にチャレンジしている学校の例ケースをチェック
2024.04.10
ジャーナリスト大塚玲子さんに教わりました
いい形に動き出した「進化しているPTA」ケーススタディ
どんな形のPTAがいいの? 全国の小中学校と保護者たちが模索する中、新しい取り組みにチャレンジしている学校をチェックします!
教えてくれたのは…
大塚玲子さん
ジャーナリスト
PTAなどの保護者組織や、多様な形の家族についての取材、執筆を続ける。新刊は『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』(教育開発研究所)。
“加入率2%”でも、PTA活動継続。「その中でやれることを、やればいい」
千葉県柏市立大津ケ丘第二小学校では、PTAを任意加入とした結果、2%ほどしか会員が集まりませんでした。「残念というより、『98%の人が、強制されていた無理のある組織だったんだなあ』という印象でした」と話すのは、PTA会長の山口晃一郎さん。「現在は、校長と私を含めて会員は5人。その人数で、できることをやればいいだけのことです。活動としては、“体操服リサイクル運動”のみで会費も集めていません。そもそも、PTAは子どもに対しての奉仕団体。そこに金銭が入ってくると、それは“会員サービス”になりかねないと思うんです。奉仕という考えで、保護者が子どもたちにできることをする。それがPTA本来の姿ではないでしょうか」
かかわりたい人がかかわりたいときに! 卒業生の保護者もなれる無料の「準会員」
「学校にかかわる形は、もっと多様でいいのでは?」。そんな発想で生まれた、千葉県習志野市立第七中学校PTAの“準会員制度”。会費は不要で、役員や部員にはなれませんが、ボランティアやイベントには参加可能。PTAメールシステムから連絡を受け、返信によって意見もできます。発案者は、’21年に同校のPTA役員活動を終えた福嶋尚子さん。「現在は私自身も準会員として図書室のボランティアなどをしています。仕事関係以外のどなたかと話したいな、と思うこともありまして。子どもが卒業後も学校にかかわりたい方や、不登校保護者の会で交流を続けたい方などの居場所にも。もちろん、教職員や在校生保護者が準会員を選ぶことも可能です」
4つの小中学校が連携し、地域ともWin-Winな関係を築く「ココスクール」
兵庫県川西市の東谷小学校と近隣の牧の台小学校、北陵小学校がPTAを解散し、独自の団体「ココスクール」を結成。ここに東谷中学校も加わり、4校で活動しています。「PTAの役員って孤独なんですよね。そもそもPTAを続ける必要はある? 4校の定例会で役員が悩みを吐露する機会があり、ならばお互いに情報を共有して、4校でできることをしよう!と意気投合したんです」と東谷中学校の代表、中川直子さん。また、文部科学省が推奨する地域と学校、保護者が三位一体で協力する「コミニュティ・スクール制度」を採用。旗振りは地域の方に依頼する代わりに、地域の行事には中学生ボランティアが参加するなど、街全体での活動が進み出したそう。
ココスクール主催で夏季休暇中に教室を開放する「夏休み宿題道場」を開催。1〜2時間でもと呼びかけたところ、多くの保護者が手伝いに来てくれた東谷小学校。
「夏休みの寺子屋」と称した北陵小学校では、中学生ボランティアが大活躍!
PTAの仕事を外部委託するって、どうですか?
ラクではあるけれど、まず業務の見直しを!
運動会や音楽会の手伝いは、PTAが担う学校も多いようです。その結果、「わが子の競技を見逃した」などの問題点も。そこで一部では、これらの“お手伝い”を外部委託するという学校もあるそうです。「ただ、業者に委託するには、当然費用がかかります。話し合って解決できることはないか、そもそも委託するほど絶対に必要な業務なのか、外部に依頼する前にまだ検討できる余地はあるのでは?と、私は感じています」(大塚さん)
Staff Credit
イラストレーション/pum 取材・原文/福山雅美
こちらは2024年LEE5月号(4/6発売)「令和のPTA、進化しています!」に掲載の記事です。
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