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LIFE

vol.3

【90年代りぼんの編集者・トミー登場!あの頃の裏話、聞かせてください(中編)】

  • 編集やまみ

2024.04.13

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’90年代『りぼん』の読者ページ 
  “くねくね横丁”から、編集者トミー登場!
    中編では大ヒット作『ご近所物語』についてお聞きします

  ’90年代の『りぼん』で多数の連載を抱えていた“編集者・トミー”に、人気作品の制作秘話や当時の編集部の様子、読者ページの裏話を聞きました! 前編と併せてお楽しみください。

前編はこちらから

やまみ(以下や) 当時の『りぼん』といえば、漫画はもちろんですが付録も大人気でしたよね。今思うとすべてに描き下ろしイラストがついていて、なんて豪華だったんだろうと思います。ノートや便箋、トランプなど、キャラクターがデフォルメされた絵が可愛くて大好きだったなぁ。

トミー(以下ト) 当時は12大付録なんて言って数もたくさんついていたから、漫画家さんが大変でしたよね。原稿が終わるのを付録担当者が待ち構えていたりして。皆さん協力的で本当にありがたかったですが、中でも矢沢さん(矢沢あい先生)は付録の仕事も好きで、たくさんアイデアを出してくださっていたんですよ。そうだ、付録の合間に”全プレ”(応募者全員大サービス)の仕事もありました。

 わ~、全プレの響きが懐かしいです。毎回、どの作品のグッズにしようかなとギリギリまで迷っていました。一冊につきひとつしか応募できないから、妹と取り合いしたりして。矢沢さんといえば、『天使なんかじゃない』は私の”人生相棒漫画”。RMC、新装版、電子版、新装再編版と全部持っていて、ことあるごとに読み返して泣いています。余談ですが、LEE編集部の後輩・カゲモンは子どもの頃に『天ない』を読んでわざわざ新設高校に入学したんですよ!「あんな青春をおくれるかと思ったら、校則が厳しくて全然自由じゃなかった」って言ってました(笑)。『ご近所物語』を担当されたのは入社何年目の頃ですか? 

 『天ない』が進路にまで影響しましたか(笑)。『ご近所物語』を担当したのは入社2年目の頃。あの作品は、連載が始まる前からアニメ化されるという話がありました。内容が未定なのにすごいですよね。矢沢さんって、本当にセンスが素晴らしくて。作品の扉となるカラーページを入稿するとき、普通はデザイナーさんが「タイトルを扉絵のどこに入れよう」と迷うこともあるのですが、矢沢さんの場合はすべて計算済み。ここにこう文字を入れるとピタッとはまる、というのがページから伝わるんです。

 かっこいい~!あんなおしゃれな漫画を心の成長期に読めたことは幸せです。服は全く作れませんが、子どもながらにフリマとアトリエに憧れました(笑)。恋愛だけでなく、自分の夢に向かって努力する実果子を見ていて、”自分の足で立つこと”の大切さを学んだり……。アニメやグッズも大ヒットした『ご近所物語』で、特に印象に残っているシーンはどこですか?

 それはもう、RMC6巻収録の、実果子とツトムのベッドシーンではないでしょうか。当時、2人はこの流れでそういう風になるのが自然だと矢沢さんと話していて。ただ、興味本位な描写とならないよう、きちんと避妊具を使っていることがわかるように描くことに。物語的に後悔はないですが、校了紙を見た当時の副編集長からは「今すぐ編集部に来い」と呼び出されました。編集部では、編集長と副編集長が待ち構えていて。そこで言われたのが「これはりぼんでは載せられない。テレビCMで流せないものを、りぼんでできるわけないだろ」と。言われてみればその通りだなと反論できなくて。矢沢さんに謝罪とともにお伝えしたところ、覚悟してくださっていたところもあったようで、上からトーンを貼ってモザイクをかけるということになりました。

 そのコマ、覚えてます。確かにベッドシーンは編集部や読者から驚かれたと思いますが、子どもながらに、こんなにお互いのことが大好きで、大切に想いあう2人がすることなんだなと感じていました。雑誌編集としては「校了紙まで上の人は内容をチェックしないの⁉」という驚きも!

 今となっては信じられないですが、当時は新連載が決まっても、校了紙が出るまで上の人たちは見なかったですね。入社後1ヶ月で担当し始めた読者ページ(くねくね横丁)も、事前にチェックさせてくれなんて一度も言われなかったです。自由にやらせてもらっていた分、あれこれ面白くなる工夫はしていましたよ。

 確かに責任感は育ちそうですね(笑)。後編では『GALS!』『ルナティック雑技団』についてお聞きします!

play back!

服も小物も、全部がおしゃれで憧れた!

再読推奨!『ご近所物語』名シーンプレイバック

恋と同じくらい、夢だって大事だと教えてくれた名作

鍛え抜かれたハッピーマインドはここから!

『ご近所物語』矢沢あい

矢澤芸術学院(通称:ヤザガク)の服飾デザイン科に通う高校1年生の幸田実果子。お隣さんで幼馴染の山口ツトムとの恋愛や、それぞれの夢に向かって努力する友人たちとの人間模様や日々を描く。時々『天使なんかじゃない』ファミリーが登場するのも、ファンにとっては嬉しい限り! 全7巻 各¥408 集英社

『ご近所物語』と併せて読みたい!

こんな青春憧れた! 色褪せないときめきをもう一度

『天使なんかじゃない』矢沢あい

明るく元気な翠と、ちょっとコワモテだけど心優しい晃。りぼんっ子が夢中になった”天ない”は、大人になった今読み返してもときめきが止まらない! 登場人物全員を愛さずにいられない名作を、描き下ろしカバーの新装再編版で楽しんで。全5巻 ¥748〜 集英社

後編は4月下旬頃アップ予定です。

編集やまみ

LEE編集部

ファッション担当ですが、子どもの頃から漫画好き。90年代りぼん・なかよし・ちゃお・るんるん・別マ・花ゆめ・少コミ・デザート・ジャンプ・マガジン・コロコロコミック・ガンガンなどを読んで育ってきました。
写真フォルダには、子どもと猫と日本酒の写真が多数。オススメ漫画があればぜひ教えてください。

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