最新事情を専門家に聞きました!
「不妊治療でぶつかる問題」保険適用が始まり約2年、見えてきたメリット・デメリットは?
2024.07.14
Journal
専門家が解説
不妊治療の最新事情は?
不妊治療の保険適用、夫婦関係や仕事との両立など、経験者がぶつかりがちな問題についての最新事情を聞きました。
教えてくれたのは
松本亜樹子さん
NPO法人 Fineファウンダー・理事
不妊体験者のセルフサポートグループ「Fine」理事。相談や不妊で悩む人たちの交流支援などを行う。詳細はhttps://j-fine.jp/
Topic
1
保険適用が始まり約2年、見えてきたメリット・デメリットは?
保険適用が始まり、治療を受ける年齢層が幅広くなっています。特に、これまでは高額で踏み切れなかった20代が、早く治療を始められるのは大きなメリットに。一方で、保険適用になり治療費が安くなったと思う人は約4割。保険でできる治療や使える薬などは限られるので、自分に合った方法を続けるために自費を選択する人も。年齢と回数の制限が撤廃されるよう、Fineでは署名活動をしていて、1万人以上の声が集まっています。
●保険適用の条件
体外受精・顕微授精の回数制限 | |
---|---|
初めての治療開始時点の女性の年齢 | 回数の上限 |
40歳未満 | 通算6回まで(1子ごとに) |
40歳以上43歳未満 | 通算3回まで(1子ごとに) |
Topic
2
できれば治療前に夫婦で話し合いを、可能な限り一緒に通院するのもおすすめ
不妊治療で価値観の違いが露呈して、離婚に至るケースも少なくありません。やはり夫婦の会話は必要で、できれば最初に病院に行く前に、自分たちにとって子どもを持つのはどういうことかなど、意識を合わせておいて。説明会はぜひ夫婦で参加して、夫も可能な限り一緒に通院できると⃝。女性の体に起こること、どれだけ大変かを知ってもらうことが大切で、家での自己注射を夫にしてもらうという人も。
Topic
3
大きな課題である仕事と治療の両立、最新の調査でも、働き方を変えた人が約4割
不妊治療の理解を深めるための研修をしたり、治療のための休暇制度を整えたりする企業も増えていますが、その多くは大企業で、中小企業では手が回らないところも多数あります。また、治療中も会社に言いづらい人がまだまだいるのが現状。不妊治療中に働き方を変えた人は約4割にのぼり、両立の難しさを痛感します。
仕事と治療の両立が困難で、働き方を変えたことはありますか?
Topic
4
東京都が助成金も、卵子凍結をサポートする企業も
子育て支援策として、東京都で実施される卵子凍結の助成事業が話題。卵子凍結をサポートする福利厚生制度を整備した企業には助成金も。選択肢が増えるのはよいことですが、凍結した卵子をどうするのか、具体的なライフプランが求められます。
Staff Credit
撮影/名和真紀子 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE4月号(3/7発売)「不妊治療のリアル ~夫婦関係、お金、治療のやめどき~」に掲載の記事です。
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