一級建築士、収納のプロが解答!
キッチンづくり【壁付け・対面はどっちがいい?】専門家に聞く!それぞれのメリットデメリット
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@homeLEE 私らしく建てる、心地よく暮らす
2024.01.20
建築のプロ、整理収納のプロに聞きました
「キッチンのレイアウト」と「暮らしやすさ」の関係って?
1日の中でキッチンに立つ時間はけっこう長いもの。キッチンのレイアウトによって暮らしやすさが変わるのか、2つの視点から紐解きました。
教えてくれたのは?
藤井 愛さん
建築のプロ
建築家
一級建築士事務所ship architecture Inc.主宰。新築やリノベーションなど戸建て設計も多く手がけ、ユーザーの暮らしに寄り添う住宅づくりに定評がある。自作「池上の家」を拠点に活動中。
大前提として
「キッチンづくりで大切にしたいこと」ってなんですか?
料理のことはもちろん、「暮らし全体の快適さ」を考えて
大事なのは「ごはんは何時頃に食べるのか」「誰がどのくらいの頻度でキッチンを使うか」など自分の暮らしを細やかに観察することです。そのうえで料理のことだけでなく、「リモートワークができるスペースが欲しい」「キッチンの横で子どもの学習を見たい」「朝日が入るとうれしい」など、暮らし全体について想像を膨らませるとよいですね。
皆さんがキッチンまわりでしていることは、料理以外にもいろいろあるはずですから。
機能や動線ももちろん大事ですが、家や暮らし全体をイメージしながらキッチンに求めることを書き出してみると、本質的に大切にしたいものが明確になると思います。
藤井さん
夢を詰め込みすぎずに「普段の暮らし」を見つめましょう
まずはご自身の料理や暮らしのスタイルを分析してみてください。「朝は子どものお弁当作りでバタバタしがち」「週末は夫婦で手の込んだ料理を作っている」など、普段の暮らしぶりをじっくり整理しましょう。
注意したいのは夢を詰め込むのではなく、現実を見つめること。パーティなんてそんなにしないのにパーティがしやすいキッチンにしたり、SNSで見て素敵だからとビジュアルで選んでしまったりなど、普段の生活の視点が抜けてしまうと失敗の原因になるのでご注意を。そのうえで「面倒くさがりだから収納はシンプルに」など自分のクセや性格を踏まえて収納を考えていくといいですね。
宇高さん
壁付け型 と 対面型、それぞれの特徴は?
壁付けⅠ型
●空間を有効に使えてシンプルでコスパも◎
●作業スペースは狭め丸見えのため整理を
「機能的に無駄がなく、キッチン空間を大きくとらずに済むので、その分ダイニングやリビングを広めにできます。作業スペースは小さめになりますが、ワゴンを活用するなど工夫次第で使いやすくなりますよ」(藤井さん)
「空間を有効に使える型です。すぐ後ろにダイニングテーブルが置けるので動線もいいですね。吊り戸棚をつけても圧迫感がなく、空間がすっきりします。収納は少なめなため、パントリーがあると便利です」(宇高さん)
対面アイランドⅡ型
●心地よい開放感がありデザイン性も高い
●壁付けより面積が必要 油や水はねには対策を
「子どもの様子を見ながら家事ができ、アイランド型なら回遊性があることで動線が込み入らず、家族やゲストが作業に参加しやすいです。ただ広めのスペースが必要なため、リビング・ダイニングとの面積の取り合いをどうするか、プランニング時に確認したいです」(藤井さん)
「開放感があり、キッチン自体が家具のように空間に映えるのが対面型の魅力。ただ、ダイニングからよく見えるためカウンターに物が多いと雑然とした印象に。また、油はねなどへの対策も必要です」(宇高さん)
その他の代表的な型の特徴は?
壁付けL型
●効率的に料理ができ収納も豊富
●コーナー部分が使いづらい 複数人では作業しにくい
「横移動が少なく済み、作業効率がいいです。ただ動線がコンパクトな分、複数人で使うときは作業しづらいかも。コーナーは奥にトースターを置く、扉内収納を引き出しやすくするなど工夫を」(藤井さん)
「一般的にシンク、コンロ、冷蔵庫の位置が三角形だと使いやすいのですが、それが叶いやすい型。調理台が広く収納も豊富です。ただ角が使いづらく、わが家もL字型ですがコーナー収納はつぶしました」(宇高さん)
壁付けコの字型
●作業台も広々で料理に思いきり集中できる
●広い面積が必要なため他エリアとのバランスを
「洗って、切って、炒めて、盛りつけてという一連の作業がしやすく、料理好きな人向きの型。キッチンのインパクトが強いため、LDに対してデザインをどうなじませるかには気を使いたいですね」(藤井さん)
「コックピット感があり料理に集中できます。作業スペースも広く、手の届くところにいろいろ収納できるのもメリットです。ただし、ある程度の面積が必要なため、できる家が限られそう」(宇高さん)
対面ペニンシュラⅡ型
●調理から盛りつけまで作業動線がスムーズ
●通路が広すぎると掃除の手間が増えるかも
「冷蔵庫、シンク、コンロが三角形で調理しやすい型。回遊性はないため、ワークトップを広くとりすぎると行ったり来たりが増えるためバランスを考えたいです」(藤井さん)
「I型より横幅が狭くでき、隣にダイニングテーブルを置くと配膳もラク。1人は焼き物、もう1人は洗い物など作業分担もしやすいです。ただ通路が70cm以上あると振り返るときに歩く必要があり、食材の移動時に床が汚れることも」(宇高さん)
キッチンの中や近くに作っておくと便利なものは?
Tips
用途を決め込まないクローズドスペースを
藤井さん
おすすめなのが、キッチンの横に目的があいまいなフリースペースを作ること。棚を作ってパントリーとして使うほか、アイロンがけや繕い物などのちょっとした家事ができる小さな作業台を作ると便利ですよ。キッチンの片隅でちょっとした作業がパパッとできるのがポイント。または、PC作業や子どもの宿題ができるデスクがあるのもいいですね
Tips
家電、ゴミ箱の置き場所を作っておきましょう
宇高さん
キッチン家電の置き場ってけっこう困りますよね。特に最近は炊飯器、電子レンジ、トースター以外にも、電子調理器、ホットプレートなど場所をとる調理家電類を持っている家庭も増えています。それらをまとめて収納できるよう、コンセントを通せる棚を見えにくい場所に作っておくと、生活感が隠せてキッチンがすっきりしますよ。合わせて、ゴミ箱もまとめて置ける場所も確保したいですね
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Tips
キッチン用品以外でもキッチンまわりに収納してOK
藤井さん
キッチン周辺に収納しておくと便利なものって、キッチン用品以外にも意外とありませんか?
例えば子どもの文房具、学校のプリントや郵便物を置く場所があるだけでも、お湯を沸かしている間に確認できて暮らしやすくなると思います。
また、ストック飲料やかき氷器など季節の調理道具などは、思いきってキッチン外の収納へ。ジャンルを問わずに収納を組み直すと動きがスムーズになり、片付けしやすくなりますよ。収納用品を増やすのではなく、フラットな目線で見直してみてください
Tips
キッチンツールを1軍2軍に分類よく使うものだけ特等席に
宇高さん
キッチンツールを使用頻度によって1軍と2軍に分けて、1軍だけをワンアクションでアクセスできるような特等席に収納すると片付けがしやすくなります。使用頻度の低い2軍は、吊り戸棚など少し取り出しづらい位置でもOK。キッチンツールだからといって、使用頻度の低いものまで特等席に収納しておくのは、片付けのほか調理の面でも時間がかかる原因に。
また、買い物の段階から物を増やさないようプランニングする視点も大切です。つい買いすぎてしまう人は、宅配を利用するなどの工夫を
次回は、「かわいくて家事がしやすい最新システムキッチン」をご紹介します。
Staff Credit
イラストレーション/AKINORI WASHIDA 取材・文/大勝きみこ
こちらは2023年LEE12月号(11/7発売)「みんなが幸せ 暮らしの真ん中『キッチン』ストーリー」に掲載の記事です。
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