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高木綾子

朝ドラで大人気!「高知県立牧野植物園」牧野富太郎博士ゆかりの地へ親子で小旅行

  • 高木綾子

2023.06.16

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南園の『温室』にて

高知県立牧野植物園 南園の『温室』にて

世界的な植物分類学者・牧野富太郎博士をモデルとする今シーズンのNHKの連続テレビ小説「らんまん」。みなさん観てますか?(もれなく私もどハマり中です…)

その博士の植物愛を育んだ生まれ故郷として、今、高知県に熱い注目が集まっています!

私の周りでも、ドラマはもちろん雑誌やSNSの影響で、高知に行ってみたいと言う人が続出中。

中でも”絶対に行きたい場所”として大人気なのが、高知市・五台山にある植物園、『高知県立牧野植物園』です。

朝ドラで大人気!
『高知県立牧野植物園』とは?

『高知県立 牧野植物園』

JR高知駅からバスで約30分の五台山の中にたたずむ『牧野植物園』。約3000種類以上の植物が植栽されています。

高知が生んだ「日本の植物分類学の父」、牧野富太郎博士。その業績を顕彰するため、1958年高知市の五台山に、およそ8haにもわたる広大な敷地に開園したのが『高知県立牧野植物園』です。

『高知県立 牧野植物園』

朝ドラの影響もあり大人気! 平日月曜に訪問しましたが、朝からたくさんの人で賑わっていました。

私も「らんまん」がきっかけで、初めて訪れる『牧野植物園』。子連れで行く”園”といえば動物園派だった我が家にとって、この植物園にはどんな出会いや発見があったのか?

朝から夕方まで親子で夢中で楽しんだ、その魅力をたっぷりとお届けします!

およそ8haの広大な植物園。子どもと一緒にどう周る?所要時間は?

五台山の地形をそのまま活かしてつくられた『牧野植物園』。特に決まった順路はなく山の自然を感じながら、自由に回遊できるのが特徴の一つです。

今回私たちはゆっくり見ることを想定し、約6時間半の滞在を予定。かなり広さがあるため、事前に植物園広報の橋本さんにおすすめのルートを教えていただき散策をすることにしました。

『高知県立 牧野植物園』

高知県立牧野植物園 提供

全体像として大きく、『北園』、『南園』に広がる植物園。

『北園』は、高知県ゆかりの植物や博士にまつわる植物など学術的なものが中心に。
『南園』は、東洋の園芸植物や、温室にて熱帯の植物などを中心に紹介されています。

橋本さんのおすすめは、まず正門から入り午前中は『北園』をぐるっと地図上の『薬用植物区』方面までを散策。

その後中央の連絡道を下りて、『植物研究交流センター』に立ち寄り、午後は温室のある『南園』から『少年広場』の方面へと登るルート。

「全てじっくり見て回るのには半日くらいかかりますが、全園見どころです! できるだけ多くのルートを通って回っていただきたいですね」とのアドバイスのもと、スニーカーに日焼け対策を万全にし、散策スタートです!

※ちなみにこの記事末に2時間半くらいで周るおすすめコースもご紹介しています。そちらも参考に!

【北園】まずはここからスタート!
高知ゆかりの植物が広がる『土佐の植物生態園』

『土佐植物生態園』

標高1100m以上の高知の山地の植物。パッと見ただけでも、たくさんの解説プレートが並び、まるで目の前に植物図鑑が広がるよう。

正門を通ってすぐに出迎えてくれたのは、高知の代表的な植物を紹介する『土佐の植物生態園』。自然豊かな南国土佐の植物を、山地から海岸までのゾーンに分け、再現している場所です。

土佐植物生態園

子どもは「咲いてます」「実ってます」付きのプレート探しにひと盛り上がり。「らんまん」で紹介された草花にも目印のプレートが付いていました。

『土佐植物生態園』

近年激減する湖沼・湿地の風景も再現。

牧野博士が幼い頃から見てきたであろう豊かな自然が目の前に。小さい草花から大きな木々まで、ひとつひとつに名前や特徴があり、「雑草という草はない」という博士の言葉が、まさにぴったりのエリアです。



【北園】
大屋根の曲線とタイワンマダケが美しい『牧野富太郎記念館 本館』

『土佐の植物生態園』を抜けると、次に迎えてくれたのは『牧野富太郎記念館 本館』。以前にご紹介した京都鳩居堂と同じ建築家・内藤廣氏の設計で、すごく楽しみにしていた場所の一つです。

『牧野富太郎記念館本館』

建築家・内藤廣氏設計の『牧野富太郎記念館 本館』。中庭には「タイワンマダケ」の群生が出迎えてくれます。

牧野博士の蔵書や遺品などを収蔵する牧野文庫(研究調査のみ利用可)や標本庫のほか、カフェやミュージアムショップも併設されている本館。この時期は、季節限定で展示されている「ヤマトグサ」も見ることができました。

ヤマトグサ

新種や新品種など、約1500種類以上もの植物に名前を付けた牧野博士。ヤマトグサは博士が共著で、日本人が初めて国内の植物に学名を付けた記念すべき植物。 ※期間限定で展示

大屋根のゆるやかな曲線と、まっすぐ伸びるタイワンマダケの清々しさ。自然と人間との共生をテーマとした空間の美しさに癒されながら、ゆっくりと進みます。

【北園】
園一の標高は見晴らし最高!『こんこん山広場』

本館を抜けて向かうのが、子どもにも大人気の『こんこん山広場』です。

『こんこん山』植物園一標高が高く、園の景色を一望することができるこのエリア。春から開催されているフラワーイベントの花畑や自生している植物を楽しみながら、頂上付近へと向かいます。

『こんこん山』

パンフレットでよくみるこの景色、実はこの場所から撮影したもの。反対側には高知市街も見えて、見晴らしは最高!

『こんこん山』

五台山はもともとスモモの産地。スモモ畑の象徴として古木が残されています。

頂上付近には、スモモの古木が。ちょうど実りの時期なので、スモモを探したり、たんぽぽの綿毛を吹いたり、上へ下へと走り回って公園のように遊べる絶景スポット。

天気がいい日には芝生広場でお弁当をたべるのもおすすめです!

【北園】
さわって、ちぎって、発見いっぱいの『ふむふむ広場』

『こんこん山』から回廊を渡り向かったのは、橋本さんから「お子さまには是非おすすめです」と聞いていた『ふむふむ広場』。

ここは、高知の野菜が育つ様子を観察できる「土佐の畑」や、植物園には珍しく、実際に触ったりちぎったりして匂いや感触を楽しめる「センサリーガーデン」など、実体験を通して植物を学ぶことができる場所です。

『ふむふむ広場』子どもはこの「センサリーガーデン」が大のお気に入りに。ハーブをちぎって香りを楽しんだり、見たことのないフワフワの植物を触ったりと、かなりの時間をここで過ごしました。(この日、二度訪れました(笑))

『ふむふむ広場』
写真(左)は、うさぎのシッポの触り心地「ウサギノオ  ‘バニーテール’」と(右)羊の耳のような「ワタチョロギ(流通名はラムズイヤー)」。目をつぶれば本物と間違うような感触。名前と照らし合わせて、子どもと一緒に大人も「ふむふむ」。

他にも四つ葉のクローバーを探したり、実った野菜を探したり。親子で訪れた際には、是非心ゆくまで楽しんで欲しいスポットです!

【北園】
牧野博士について知る『牧野富太郎記念館 展示館』

さらに北園を進み、『牧野富太郎記念館 展示館』へ。

館の手前では、牧野博士が愛し、この植物園のロゴマークにもなっている高知の植物「バイカオウレン」が植栽されていました。

『牧野富太郎記念館展示館』

「バイカオウレン」(左)の5つの葉は牧野諸物園のロゴマークに。向かいには、最愛の妻の名前をつけた「スエコザサ」も(右)。博士が愛した代表的な植物たちに導かれ、そのエントランスをくぐります。

展示館は、本館と同じく建築家・内藤廣氏の設計。中庭には、スエコザサをはじめ、牧野博士ゆかりの植物約250種類以上を見て回ることができます。

『牧野富太郎記念館展示館』

中庭は回遊できるスペースに。博士が命名した植物や、植物図で見た植物がたくさん。

『牧野富太郎記念館展示館』展示館の室内には、牧野博士の少年期から晩年までの生涯や業績についてを常設で展示。博士の著書や美しい植物図などもここで紹介されています。

『牧野富太郎記念館展示館』中には、かなりリアルに再現された博士の書斎も!まさに写真で見ていた牧野博士の姿そのままです…。

94年の生涯を終えるまで研究の情熱を絶やさなかった牧野博士。その軌跡を辿り、今後ドラマはどんなふうに展開するのか?ますます楽しみになるエリアです!

北園から南園へと続く山道。大きなケシに衝撃!

展示館の奥に続く『薬用植物区』までを周り、前半の北園ですでにかなりの情報量を得た私たち。さらにここから南園までの連絡道を歩きます。

ケシ

実りの季節を迎えるケシ。これは、研究用に特別に許可を得て栽培しているもので、周りには厳重にフェンスと有刺鉄線が貼られています。

静かな山道で、突如現れたのが「ケシ」。本物をみたのは初めてでその姿に衝撃! 人の背丈ほどあるうえ、まっすぐ実る姿はなかなか奇妙です…。

さらにその先で私たちを驚かせたのは、大きな木から下がる「トビカズラ」の花。かつてはなかなか花を咲かせないことから、開花すると「世に異変が起きる」とされていた花だそう。

「トビカズラ」

毎年園ではたくさん咲くそう! この日も、多くの人が記念写真を撮っていました。

美しいばかりではなく、時にはドキッとさせることもある未知の植物たち。それらが自然と山の中に溶け込んでいることに、この植物園の醍醐味を感じながら南園へと進みます。

【南園】
牧野植物園といえばここは外せない!ダイナミックな『温室』

お昼を済ませ向かったのは、牧野植物園といえばここ、『温室』です。

『温室』

エントランスの『みどりの塔』

『温室』一度エントランスをくぐれば別世界。アコウの気根が絡みついた『みどりの塔』は、噂には聞いていましたが、本当にジブリ映画の世界観です…。

『温室』

室内へと続くアプローチで、子どもはワクワクモード全開!

みどりの塔を抜けると、もうそこはジャングル。

『温室』写真を見せれば、「高知?!」と疑われること必須の『ジャングルゾーン』。象徴的な滝の周りにも日本ではなかなか見られないたくさんの熱帯の植物が広がります。

『温室』

子どもが乗れるほどの大きさをもつ「オオオニバス」。下から覗くこともできます。

『温室』

最近ショップでよく見かける「ビカクシダ(コウモリラン)」。これも本来はこうやって木に着生して育つそう。

図鑑で見たことのある珍しい植物も、おしゃれな観葉植物としてお馴染みの植物も、ここではほんの自然の一部に。人の存在も飲み込んでしまいそうなダイナミックさは、子どもはもちろん、大人も時間を忘れて夢中になれる空間です。

【南園】
チャーミングな牧野富太郎像が目印『50周年記念庭園』

『温室』を抜けて訪れたのは、谷地に東洋の園芸植物が広がる『50周年記念庭園』。もみじやかえで、水辺のハスなどのオリエンタルな雰囲気が海外の方にも人気のエリアです。

『50周年記念庭園』

もみじやかえでの仲間が並ぶエリア。秋なら紅葉する様子が楽しめそう。

『50周年記念庭園』キノコ片手の牧野富太郎像と。やはりここも人気スポットで、たくさんの人が記念撮影をしていました。

『50周年記念庭園』回遊式の庭園をぐるぐる回りながら、気がつくと山側(結網山)に。山歩きさながらのハードな道で大きなシダに恐怖したり、行き止まりの道で迷いそうになったり。まさに山の中の植物園を探検しながら、最後は『少年広場』へと向かいます。

植物園を一望できる『少年広場』

最後は穴場スポットとも言える、少し静かな『少年広場』へ。植物園を一望できる場所から全体を見渡すと、改めて自分たちが探検してきたこの園の広大さに感動!

『少年広場』朝から『少年広場』に着く夕方まで、ほぼノンストップで散策を続けた私たち。途中で「疲れた〜」とぐずられると予想していたのに、想像以上に夢中になって楽しんでいました。

そして、ここまで登ってきて、「もう一度『ふむふむ広場』と『温室』が見たい」の一言。

心配するのは子どもより、大人の体力か…と思いつつ、残りの時間いっぱい植物園を楽しみ尽くしたのでした!

心を潤す旅のお楽しみも!『植物研究交流センター』

今回私たちが訪れたのは5月末。牧野植物園では、ちょうど新たに『植物研究交流センター』がオープンしたばかりです。

植物の新たな可能性を見出すための研究を行うための『植物研究交流センター』。通常非公開の研究室の他、子ども向けのイベントを行うキッズラボや展示ブース、実験室などが併設されています。中門に直通する3階では、レストラン、ミュージアムショップも。

センター内のレストランは、庭園の景色を一望しながらランチが食べられる人気スポット。もちろん私たちのお昼はここに決まり!C.L.GARDEN

植物研究交流センター
いただいたのは、地元の野菜をふんだんに使ったパスタランチ(左)とお子様セット(右)。たまたま角の席を案内していただき、その眺めはもう最高です!

(左)牧野ミュージアムショップ サクラ (右)レストラン C.L.GARDEN

(左)牧野ミュージアムショップ サクラ (右)レストラン C.L.GARDEN

平日でも、現在は待ち時間が発生するほどの人気店。土日は時間に余裕をもって訪れて。

ついつい購入したくなるようなグッズがたくさん!『牧野ミュージアムショップ サクラ』

牧野ミュージアムショップ サクラおしゃれかつグルメな牧野博士。レストランとともにオープンしたミュージアムショップには、牧野博士をモチーフにしたセンスのいいミュージアムグッズがたくさん。 レストランの待ち時間ついでに入ったつもりが、毎度のことですが、物欲が止まりません♡

ちなみに私が購入したのはこちら。

牧野ミュージアムショップ サクラ(上)牧野富太郎博士ゆかりの植物をテーマにした3種のお茶のセットと、(下)博士好みのコーヒーとラスクのセット。牧野博士は、当時には珍しくコーヒーをこよなく愛する人であったそうです。

芸牧野ミュージアムショップ サクラ

芸術とも呼べる博士の美しい植物図をモチーフにした絵葉書とバイカオウレンのブックマーク。この他にクリアファイルなどの文房具も購入。

他にも土佐の食品や、牧野博士のルーペや標本セットなど、魅力的なアイテムがたくさん。選びきれなかったグッズの数々は、次回のお楽しみにします!

子連れで訪れるなら是非じっくり楽しんで!

今回私たちは約半日滞在し、ゆっくりと回遊することが出来ました。ちなみに、そこまでの滞在が難しいという方のためにおおよそのおすすめルートを橋本さんに伺うと、

土佐の植物生態園 → 牧野富太郎記念館 本館 → こんこん山広場 → 牧野富太郎記念館 展示館 → 植物研究交流センター → 温室など南園

の流れ。これだと約2時間半くらいで、ポイントを抑えた散策ができるのではないかとのことです。

『牧野植物園』

バスの待ち時間に、『土佐の植物生態園』を眺めながらのコーヒータイム。どこまでも続く草花たちは、私たちを飽きさせません。

山の中での思わぬ出会いや、五台山のランドスケープなどを含め、自然を丸ごとじっくり楽しむことが出来る『牧野植物園』。ぎゅっと凝縮して周っても十分に楽しめますが、特に子連れなら急がずに、ゆっくり歩く余裕をもって訪れることをお勧めします!

四季を通して様々な表情が楽しめる植物園。今回のように初夏の緑も素敵でしたが、また紅葉の季節にも訪れたいなと計画中。

ドラマもまだまだ続きます。これからのシーズンの家族旅行の行先に加えてみてはいかがでしょうか?

Information

高知県立牧野植物園
公式サイト:https://www.makino.or.jp

※夏休みには、『温室』にて「食虫植物展」(2023年7月15(土)〜8月31日(木))までが開催予定です。そちらもお楽しみに!

高木綾子 Ayako Takagi

ライター/LEEキャラクター

1981年生まれ。百貨店バイヤー、ヴィンテージショップなどファッション業界を10年経験。その後、LEEキャラクターになったことをきっかけに同世代の女性に役立つ情報を伝える仕事に興味を持ち、ライターの道へ。夫の仕事の関係で2020年より東京から香川へ移住し、ファッションや子育てのほか、四国地方についても執筆。2児の女の子ママ。

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