テイストの変遷や引っ越しを重ねても、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月一点ずつ紹介。今回は、石井さんの暮らしに欠かせない井藤昌志さんのオーバルボックスです。
石井佳苗さん/Kanae Ishii
「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った著書『Heima』(扶桑社)も好評。
Instagram:kanaeishii_lc
公式サイト:https://www.kanaeishii-stylist.com/
file 05.[箱](Box)
Designer: 井藤昌志(Masashi Ifuji)
Item: オーバルボックス(Oval Box)
増えるほどにインテリアが整う実用を兼ねた美しい存在
木工作家の井藤さんと出会ったのは、すでに15年以上も前のこと。彼が木皿など小物を中心に作っていた頃でした。「これからは、シェーカーボックスなども作ってみたいと考えている」。──そんな話を聞かせてくれた記憶があります。
アメリカの伝統工芸品を日本人が作るとどうなるのか、想像できなかったのも事実。それ以前にも日本で作られたシェーカーボックスを見たことがありましたが、どこか重たい印象で、手に取るほどの魅力は感じなかったのです。ところが井藤さんの作品を目にして、その佇まいに驚きました。
彼の手によるシェーカーボックス=“オーバルボックス”は、継手部分やフォルムにシャープさがあり、ほかとは一線を画す繊細な美しさがあったのです。オーバルボックスの素晴らしいところは、それだけでオブジェとして成立する工芸品でありながら、収納という実用性も兼ねていること。
例えば、引き出しに入りきらない食器や雑貨類、あるいはしまっておくには面倒な、しょっちゅう使いたいもの。そんなあれこれを入れておき、手に取りやすい場所に置く。一歩間違えば、空間を雑多な印象にする習慣が、このオーバルボックスを使えば、むしろ部屋が美しく整う理由になる。
一つより二つ、三つ……同じものを揃えたり、サイズ違いや色違いを積み重ねたり。「IFUJI」のオーバルボックスは、増えるほどにインテリアが整う、私の暮らしに欠かせないアイテムとなっています。
最初に出会って衝撃を受けた思い出の品々。「『クラフトフェアまつもと』へ出かけた際、井藤さんのブースにこの姿で積まれていたんです。『上から4つ、このままちょうだい!』と購入しました」(石井佳苗さん)
楕円形だから、物をしまいにくいのでは?と思いがちですが、「丸いものには、丸いものを。見事にぴったりでデッドスペースなしです」(石井佳苗さん)。大きめサイズには、近頃楽しんでいる中国茶にも使う湯呑みを
Designer: Masashi Ifuji
Japan,2005
落ち着きある、木目の味わい。用途に合わせ、サイズを選んで
誕生以来、サイズ、樹種、カラーを増やし、現在では200種以上のラインナップに。製作はほとんどの工程が手作業で、繊細な継手部分(スワローテイル)の銅釘は、19世紀の釘製造機で作られたものをアメリカより輸入。HP(https://ifuji.net/)と、東京・松が谷の直営店「IFUJI the box tailor」でオーダー可能
サイドテーブルにもなるインテリアボックス
石井さんコラボ別注の大サイズをLEEマルシェで再販!(詳細はこちら)
サイドテーブルにもなるインテリアボックスをLEEマルシェでチェック!撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美 デザイン/サイトヲヒデユキ
こちらは2023年LEE6月号(5/6発売)「スタイリスト石井佳苗の「インテリア名品」」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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