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本音で語る、発達凸凹(でこぼこ)な子どもとの暮らし

2歳の子どもの行動を保育園で見て発達検査へ【LEE100人隊moiさんの体験談】

2023.02.18

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自然に話したい 知ってほしい 本音で語る、発達凸凹(でこぼこ)な子どもとの暮らし

子どもの発達には個人差があり、できること・できないことの差が大きいことを「発達凸凹」と言います。特性に応じつつ、自立を目指して支援する“療育”に通うケースも増えている昨今。発達凸凹がある子どもと暮らすお母さんに、その実情を聞きました。当事者でなくても、まずは“知ること”が第一歩に。

保育園を楽しめるようになった息子。
早く気づいて、適切なサポートを受けることの大切さを痛感しました

LEE100人隊No.074
moiさん

LEE100人隊No.074 moiさん

夫、3歳の息子の3人家族。LEE100人隊ブログにて日々の暮らしについてのほか、息子さんの発達凸凹について情報発信も。
LEE100人隊ブログ:https://lee.hpplus.jp/100nintai/member/2149206/

今回の特集のきっかけになったのはmoiさんの投稿

moiさんの投稿

息子さんが発達凸凹の診断を受けたこと、そのショックと多忙のストレスで自身も休職中だと明かしてくれました。

0歳から抱いた違和感。保育園でのひとり行動を見て、発達検査へ

LEEwebへの投稿がきっかけで、取材を受けてくれたmoiさん。現在3歳の息子さんが0歳という早い段階から、周囲との違いを感じ始めたと言います。

「赤ちゃんの頃から、目が合って笑いかけても反応がなかったり、表情が乏しいように感じていたんです。ただ、そのことを私の両親に話しても、産後しばらく私の体調が悪かったこともあり『あなたが笑顔じゃないからよ』と言われたりして……。少し大きくなってからも、何かに夢中になると名前を呼んでも振り返らない、私がいなくても泣かずに飄々(ひょうひょう)としているなど、いろいろと気になることはありました。

保育園に入園して、2歳になって初めて息子の保育中の様子を見る機会があったのですが、そこでこれはまずいぞと。他の子どもたちが先生と追っかけっこなどをして遊ぶ中、息子はひとりでジョウロに砂を入れ続けていたんです。先生に誘われても興味がない様子で、周りとコミュニケーションが取れていないことがわかり、すぐに発達検査を予約。

約5カ月後にようやく順番がきたのですが、息子はこだわりが強くやりたくないことはできないので、検査を最後まで受けられなくて。ただ、その様子や私への聞き取りからサポートが必要だと判断されて、すぐに療育先を探すことになりました。その後の再検査で、息子はASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、DCD(発達性協調運動症)の傾向が重なっていることがわかりました」(moiさん)

実はそれ以前にmoiさん自身が、妊娠中の生活の激変から適応障害になって、発達障害を抱えていることがわかったそう。

「妊娠中は先生が驚かせないようにと思ったのか『意外な結果が出ました』と言われ、検査でわかった不得意な分野について教えてもらいました。算数の分野や、文字を書き写すことも苦手だと聞き、社会人になってから感じていたケアレスミスの多さ、仕事をすることの難しさにつながっていると感じて、理由がわかって改善できるなとプラスに思っていました。

でも、あとで調べるとこれは発達障害なのではないかと。わが子にも可能性があると思って意識していたので、息子の発達凸凹も早いタイミングで気づけたのかもしれません。息子のことがあって私もあらためて検査をして発達障害だとはっきりし、これまでの生きづらさの謎が解けました。息子には『教えてくれてありがとう』と感謝しているし、当事者としての気持ちがわかるので、寄り添っていければと思っています」(moiさん)

好きなことへの集中力がすごい!

好きなことへの集中力がすごい!

電車や戦隊モノが大好きな息子さん。「一度興味を示すと集中力がものすごくて、移動中もおんぶされながらトーマス図鑑を見続けたことも」(moiさん)



息子に合う療育先を探して見学。サポートが進まず苦しい期間も

自身のこれまでの経験もあり、サポートの重要性を痛感しているとのこと。息子さんの療育先選びでは、さまざまな迷いや葛藤も。

「まず発達検査を受けるまで約5カ月、療育に通うまでも予約をして空き待ちということもあり、なかなかサポートにつながれないという印象。私は待っている間に何かせずにはいられず、関連図書を読みあさるなど、とても苦しい期間でした。

療育先も、うちの自治体では近隣の施設のパンフレットを渡されるだけだったので、自分で予約を取り、見学に行って息子に合うところを見つけなければいけない。平日しか開いていないことも多く、仕事があれば休まなければならず『しっかり息子をサポートしたいなら辞めるしかないの?』と両立の大変さも感じました。幸い、今は息子と同じ目線で遊んで話してくれる先生がいるいい療育先と巡り会えて、保育園と並行して月5回ほど通っています」(moiさん)

また、保育園にも補助の先生を増やす“加配”の依頼を。

「友達とコミュニケーションがうまくいかないときや、指示されたことの対応が遅れてしまう場面で、加配の先生のサポートが。先生方との信頼関係ができて、息子も保育園が楽しいと言ってます。他の人への興味も湧いているようなので、早めに対処できて本当によかったなと。

最近は、お箸の練習をするべく、療育先の先生や、手先を使った作業に対してアドバイスをくれる作業療法士さんにも相談。苦手なことには根気強く向き合って。反対に、好きなことへの興味と集中力はすごいので、凸凹の“凸”の部分はしっかり伸ばしてあげたいなと思っています」(moiさん)

悩んでいるときに「大丈夫だよ」は助けにならない

自分と息子の発達凸凹を知って、困った人に声かけができるように

LEE100人隊No.074 moiさん

今回、貴重な経験を明かしてくれたmoiさんには、こんな思いがあるそうです。

「育児を始めたばかりの頃って、周りと比べてわが子の成長が気になるお母さんも多いと思うので、私の経験が少しでも役に立てばと。私としては、悩んでいるときに『大丈夫だよ』『心配しすぎじゃない?』という言葉は助けにならなかったので、『気になるなら早めに検査を受けてみてもいいのでは』とお伝えしたいです。

また、私は接客業をしているのですが、じっとできないお子さん連れのお客様がスムーズに手続きができるように、自分から積極的に声をかけられるようになって。自分や息子の発達凸凹と向き合うことで、これまでと意識が変わり、行動できるように。多くの人が“知ること”でできること、それによって救われる人もたくさんいるのではないかなと感じています」(moiさん)

発達凸凹について学んだ本と、療育の記録ノート

発達凸凹について学んだ本と、療育の記録ノート

検査待ちや療育先探しの期間に読んだ書籍と息子さんの様子を記したノート。「療育先でできたことなどを忘れないように、イラスト入りでメモ。このまま保育園の先生と共有して、連絡帳としても使っています」(moiさん)


撮影/伊藤奈穂実 イラストレーション/二階堂ちはる 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2023年LEE3月号(2/7発売)「本音で語る、発達凸凹(でこぼこ)な子どもとの暮らし」に掲載の記事です。

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