30代・40代に!おしゃれがまた楽しくなる7つの提案【スタイリスト福田麻琴さんの新しいベーシックの整え方】まとめ
2023.02.04
目次
- 服を、暮らしを、もっと軽やかに。「整える」ことで、新しい自分にきっと出会える!
- 01.まずはクローゼットを見直してみる
- 02.ワードローブに欠かせない白と黒は「シルエットのあるもの」が今の気分
- 03.「機能派アイテム」がスタイリングをもっと自由に、そしてラクにしてくれる!
- 04.「ピンクはもう似合わない」?いいえ、大人になるほど“可愛げ”って必要
- 05.「靴とバッグ」は相棒を考えておく
- 06.ひとつで"私らしさ"を語れる、特別なジュエリー&アクセサリー
- 07.いつでも戻れる“ホーム”があれば、おしゃれの自分軸がブレません
自分の好きな"定番"はわかってきたつもりだけれど、いざクローゼットを開けると着る服がない。なんだかパッとしないし、心もときめかない……。そもそも自分に似合っているかすらわからない!
そんな悩めるLEE世代に、今、福田麻琴さんが提案するのは「ベーシックを整える」ということ。
時代に合わせて、また暮らしに合わせて、コンパクトに。整理し、手放すことで"今の好き"が明確になったという麻琴さんに、最新ワードローブと着こなしのコツを教えてもらいました。
『服を、暮らしを、もっと軽やかに。
「整える」ことで、新しい自分にきっと出会える!』
(スタイリスト 福田麻琴さん)
これまで気ままに生きてきた私が言うのもなんですが、最近、「もっと自由に、もっと軽やかに生きたい」と思うようになりました。働き方、暮らし方、装い方……。それらはいつの時代も変化し続けるはずなのに、思ったより凝り固まっているのを感じます。
「私はこういう人だから」と、今までの自分にこだわるあまり、うまく前に進めない。自分を縛っているのは、結局自分自身の価値観なのかも、と。だから、一度"整理"したいと思ったんです。頭の中も、服も。今回の「整理」は、クローゼットはもちろんですが、もっと心の奥底を整えたい気分。新しい価値観でもう一度自分を見直し、整え、そしてまた新しい何かに挑戦したい!
"自分探し"なんていうと素敵ですが、40代の今の私にとって、それはもっと冷静で現実的な作業。これまで失敗もたくさんしてきているし、見つけなきゃ! なんて焦りもなくて。見つからないのもまた楽しいんです。
何十年もため込んだものは、たった一日ではどうにもできませんから、のんびりやりましょう。
必要なもの、そうじゃないもの、好きなこと、嫌いなこと……。ひとつずつ丁寧に、ちゃんと心の声に耳を澄ませて。そんなふうにものに縛られずに過ごしていけたら、10年後は、もっとハッピーでいられるはず!
これまでの"当たり前"を見直して、もう一度おしゃれの楽しさを取り戻したいものです。
shirt:Maison Margiela
pants:RED CARD
earrings:Bon Magique
leather bangles:LOEWE
silver bangle:HERMÈS
スタイリスト 福田麻琴さん
1978年生まれ。文化服装学院卒業後、アパレル勤務を経て、スタイリストアシスタントに。25歳で独立し、数々の女性誌で活躍。30代でパリ留学、結婚、出産を経て、現在は『LEE』をはじめとする雑誌やweb、広告のスタイリングや、商品プロデュース、コラム執筆など多岐にわたり活動している。読者のお悩みに答えるLEEweb連載「おしゃれゴト」も好評。夫、10歳の息子との3人暮らし。
01.
まずはクローゼットを見直してみる。
残すもの、手放すものを選ぶ過程で自分のベーシックが見えてきます
古いヴィンテージマンションをリノベーションした際、主寝室の奥を壁で区切ってウォークインクローゼットに。入って右側にはたたんだトップスとパンツを、左側にはアウターやワンピース、スカートなどを吊って収納しています。
「あえて扉を取り付けないことで、風通しのいい状態をキープ」(麻琴さん)
何を手放し、どう整えた?
Rule.1
厳選の条件は「10年後も着られるか」
「まず着手したのは、似たようなものが何枚もあるのになかなか捨てられないデニムなどの選別から。ショートパンツをはじめ、ピタピタのストレッチデニムやローライズデニムなど、『10年後に素敵に着ている姿が思い浮かばないもの』は思いきってこれを機に放出」
Rule.2
硬いもの、重いもの、痛いものは無理せず手放す
「かつては足が痛くてもヒールを履き、やたら重たいバッグを持ち歩いていましたが、年齢を重ねた今は、服も小物も『心地いいかどうか』が絶対条件に。硬い素材のアウターや、チクチクするニット、痛くて重いバッグは、本能的にコーディネートに選ばなくなったので(笑)、人に譲ったり、収納用としてその用途を変更!」
Rule.3
ひとつで何役もこなすアイテムに乗り換える
「コロナ禍で、デザインのいい機能性アイテムが増えた気がします。アンドワンダーのフリースは登山にも休日のお出かけにも、ソレルのブーツは雪や雨の日だけでなく、普段からスパイス小物として活躍中。便利な兼用アイテムがあれば、手持ち服の数を減らせます」
クローゼットをClose Up!
色別・形別に収納
「クローゼット、シュークローゼットともに構造はとてもシンプル。可動式の白い棚板を渡し、アイテムを収納しています。トップスやボトムは、たたんで主に色別に分け、視覚的にパッと探しやすく。靴はショートブーツ、パンプス、スニーカーなど種類別に棚を分け、さらに色別に並べています」
パッと取りやすく
よく使うミニバッグはリビングの一角のコートかけにハンギングし、中〜大サイズのものはクローゼットの上段に並べて収納。
「しまい込むと使わなくなるので、特にバッグは〝見渡しやすく〞〝取りやすく〞を心がけています」
動線を考える
アクセサリー類は、リビングの出口近くのチェストに置いたジュエリーボックスとお皿の上に。
また、香水やコロンは玄関わきのミニテーブル上が定位置。「この場所に置いておけば、家を出る直前にさっと身にまとうことができてスムーズなんです」
大好きな読書の時間が、手持ち服を見直すきっかけに
「息子の成長とともに、休日は各々がやりたいことをする時間が増えました。そんなとき、決まって私は好きな本を手に取ります。最近出会った本の中で、特に印象に残ったのが、小川奈緒さん著『ただいま見直し中』。
\休日の読書で思考を整理/
40代も半ばになり、残りの人生についてなんとなく考え始めた今、私もまずはあまりに多い持ちものを整理し、身軽になりたい!という気分に。例えば服もお皿も、結局使っているのは持っているうちの1割ほど。留学したときは、トランクひとつで旅立ち、それだけで生活ができたのだから、もっと厳選できるはず。
ものを減らせば自然と家の風通しもよくなるし、そうやって〝余白〞をつくらないと、新しいことも入ってこないと感じたんです。そこで今は、本や写真集を眺めて自分の〝好き〞を研ぎ澄ませながら、徐々にものを手放し中。私の暮らしの見直しは、まだ始まったばかりです!」(福田麻琴さん)
02.
ワードローブに欠かせない白と黒は「シルエットのあるもの」が今の気分。力のあるひとクセ服が、ベーシックを新鮮に変えてくれます
[ タック入り黒パンツ ]
12closetとコラボしてつくったタックパンツは、白も黒も大活躍中。下半身のラインを上手にカバーしてくれるうえに、足元重めの旬バランスが即楽しめます
pants:12closet
cut&sewn:SAINT JAMES
earrings:no brand
watch:Cartier
ring:Cartier
shoes:SOREL
「以前は黒スキニーをよく合わせていた」という、大定番のボーダーカットソー。今季は、バルーンシルエットの黒パンツにインして、腰高バランスをつくるとともに、ゴツめのブーツを添えて辛口仕上げに。下が重めな分、手首はすっきり肌見せするのがポイント。
[ ほんのりモードが香る白シャツ ]
立てばドラマティック、座った横顔もよし、さらに後ろ姿も美しい。着崩さなくとも十二分に映えるドレスシャツが、ワン・ツーコーデを特別なものに
shirt:DÉPAREILLÉ
skirt:HARDY NOIR
necklace:marmors
earrings:no brand
socks:BLEU FORÊT
shoes:NEBULONI E.
今季新調した白シャツは、人気急上昇中のブランド、デパリエのもの。オーバーサイズで、前後差あり、フロントの裾がラウンドになった、モード感あふれる一枚です。「ボタンを上まで閉じても遊び心を感じさせる、さりげなく攻めたデザインが好み」
大人の体をシャープに見せてくれるひとクセ服がお気に入り
「着崩したり、重ねたりなどの気張ったおしゃれから、上下合わせるだけ、というシンプルコーディネートに惹かれるこの頃。特に基本の白と黒の服は、アイテム自体にしっかりシルエットがある服を好むように。例えばタック入りのパンツやAラインシャツは、色や小物をあれこれ足さなくても簡単におしゃれが決まる代表格。輪郭が曖昧になってくる大人の体の七難を隠し、印象をシャープに見せてくれるところも気に入っています」(福田麻琴さん)
03.
暮らしに寄り添う「機能派アイテム」がスタイリングをもっと自由に、そしてラクにしてくれる!
cap:LITRAL
training wear:Sloli
shoes:SOREL
short pants:patagonia
T-shirt:repetto
backpack:ARC’TERYX
jacket:THE NORTH FACE
Trekking style
トレッキングやキャンプ、PCも入るリュックが便利!
「アークテリクスの防水リュックは、家族とのトレッキングやキャンプの欠かせない相棒。PC収納ポケットがついているため、外で原稿を書く日などにも大活躍」
Training style
ヨガやワンマイルスタイルにも
「ヨガ用に購入したチャコットバランスのトップスは、ニュアンスのある色みがお気に入り。抜群のフィット感で着心地よく、ワンマイルウェアとしても多用中です」
Park style
軽量だから公園や旅行に◎!
「軽量のウィンドブレーカーはパッカブル。息子との公園遊びのほか、旅行時に持ち歩くアウターとしても便利です。白だからきれいめボトムにも合わせやすいんです」
いろいろな場面で役立つ「機能派アイテム」で心も体も軽く
「コロナ禍で、在宅ワークの時間やトレッキングに行く回数が増え、快適に過ごせることに特化したアイテムが以前より身近に。これらのいいところは、シーンを超えていろいろな場面で役立つこと! レギンスもウィンドブレーカーも、撮影から休日のお出かけまでオールマイティに使えるし、おしゃれの自由度も上がりました。用途が限定されるものをいくつも持つのではなく、汎用性の高いものを活用することで、心も体も軽くなった気がします」(福田麻琴さん)
04.
「ピンクはもう似合わない」?いいえ、大人になるほど“可愛げ”って必要。甘さに飲み込まれなくなった今こそ試してみて
knit:AURALEE
pants:YLÈVE
earrings:no brand
ring:Cartier
shoes:Maison Margiela
ベビーピンクのモヘアニットに、青みピンクの光沢パンツを合わせて。「コントラストが強い色を合わせると、かえってピンクが悪目立ちしてしまうので、グラデーションでまとめるのが着やすくてオススメ。小物もベージュや白でなじませます」
全身ピンク、これが意外と使いやすい!
「最近まで、ピンクの服を一枚も持っていませんでした。さし色といえばブルー派で、ピンクは自分には甘すぎるんじゃないかと敬遠してしまって。でも、近頃、急に〝ピンク愛〞が上昇。手に取りやすいニュアンスカラーが増えたこともありますが、年々強さを増す自分にピンクで可愛げを補充してあげないと、という気分に(笑)。袖を通してみたら、これが意外と使いやすい! 大人になった今だからこそ、全身ピンクだって気負わず楽しめます」(福田麻琴さん)
05.
「靴とバッグ」は相棒を考えておく。間違いない相思相愛セットがあれば、おしゃれに自信が持てます
[ 色を揃える ]
bag:HERMÈS
shoes:J.M. WESTON
pants:THE SHINZONE
「素材は違ってもOK。黒、白、ブラウンなど、同色の靴とバッグをセットにしておけば、色数が抑えられ、スタイリングにまとまりが出るので、まず間違いなし! カジュアルにもきれいめにも両用できる黒レザーセットは、1組持っておきたいところ」
[ テイストを揃える ]
bag:12closet
shoes:repetto
「私が好きなのはフレンチコンビ。ワンピースもデニムも、かご&バレエシューズで仕上げれば、たちまち小粋な雰囲気に。スポーティなデイパック&スニーカー、トラッドなかっちりショルダー&レースアップ靴など、鉄板のセットが数組あると便利」
靴&バッグのセットをつくっておけばコーディネートがぐんと楽に
「よく『おしゃれは足元から』というように、靴はスタイリングのキーとなるアイテム。ただ、服に対するベストの靴を選んだところで、その対となるバッグとの組み合わせがしっくりこないと、おしゃれの精度が下がってしまうように感じます。だから、私は靴を買うときに、必ず『どのバッグの相棒になるか』をあらかじめ考えるように。頭の中で靴&バッグのセットをつくっておけば、毎朝のコーディネートもぐんとスピードUPします」(福田麻琴さん)
06.
ひとつで"私らしさ"を語れる。ベーシックにプラスしたいのは、そんな特別なジュエリー&アクセサリー
1:CHANEL
2:TIFFANY & CO.
3:BOUCHERON
4:Van Cleef & Arpels
5:HERMÈS
6:LOEWE
7:Cartier
「ソフィアに憧れて購入したパンテール(7)や、ほぼ毎日つけているマラカイトのリング(3)、メトロポリタン(2)など、〝可愛さ〞より〝エレガントさ〞を感じさせるジュエリーが今は好き。
持ち歩く際は、息子の手紙を転写したアニヤハインドマーチのポーチに入れて」
大人のおしゃれの主役は、結局その人自身
「映画監督のソフィア・コッポラが気になります。彼女の定番であるシャツに黒ボトムを合わせた着こなしは、一見なんの変哲もないのに、なぜか〝おしゃれの余韻〞が残る。それは、彼女のスタイルのある生き方に加え、手元に添えられるカルティエのパンテールや存在感のあるバングルにも由来しそう。大人のおしゃれの主役は、結局その人自身。服はミニマルに、〝らしさ〞をきわだたせてくれるアクセが一点あればいい。そんな装いに心惹かれます」(福田麻琴さん)
07.
私の場合は「フレンチシック」。いつでも戻れる“ホーム”があれば、おしゃれの自分軸がブレません
vest:DÉPAREILLÉ
bag:eb.a.gos
coat:SANYO COAT
pants:Acne Studios
knit:12closet
shirt:LOEFF
necklace:marmors
strap shoes:Daniela Gregis
ballet shoes:SPELTA
今季の新顔、ツイードベストで大好きな黒コーデを進化させて
さまざまな質感の黒を重ねたALLブラックコーディネート。
vest: DÉPAREILLÉ
knit: YLÈVE
pants: DAY upper hights
earrings: no brand
bangle: LOEWE
bag: eb.a.gos
shoes: BEAUTIFUL SHOES
「今季はフレンチワードローブに、新たにツイードベストを追加。ソフトでフェミニンな素材感が、辛口になりがちな黒スタイルをなごませてくれます」(福田麻琴さん)
大好きなベーシックアイテムも少しずつ更新して今の気分に
これぞ麻琴ベーシックともいえる王道コーデ。
coat:SANYO COAT
shirt:LOEFF
pants:RED CARD
ring:BOUCHERON
shoes:HERMÈS
「定番の組み合わせですが、トレンチはエイジング加工されたメンズサイズに、デニムはテーパードシルエットにと、実は核となるアイテムは、数年ごとに更新しているんです」
冒険も恐れず楽しめるのは『フレンチシック』という基盤があるから
「若い頃からパリに憧れていた私。念願の留学を果たし、30代半ばで『フレンチシック』という基盤を手に入れて以来、スタイリングがとてもラクになりました。トレンドに挑戦するときも、着慣れたボーダーやバレエシューズと合わせれば、なんだか私らしく仕上がるし、迷いなく着こなせる。
いつでも戻れる場所があれば、冒険も恐れず楽しめるんですよね。手持ち服を見直し中の今も、この〝ホーム〞を基準のひとつにすると、取捨選択がスピーディに。私にとって、ずっと大切にしたいおしゃれの基盤です」(福田麻琴さん)
スタイリスト・文/福田麻琴 撮影/金谷章平(人物・ロケ物) 中田陽子(福田さん自宅撮影) 魚地武大(TENT)(物) ヘア&メイク/川村友子 取材・原文/栗田瑞穂
※掲載商品はすべてスタイリスト私物で、現在販売されていない商品も多数含まれます。各ブランドへのお問い合わせはお控えください。
こちらは2023年LEE1・2月合併号(12/7発売)『スタイリスト福田麻琴さんの新しいベーシックの整え方』に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(2022年12/7発売LEE1・2月合併号現在)です。
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