志望者が年々増え、特に2022年の首都圏の受験者数は過去最多を記録した中学受験。中高一貫の公立校やユニークな校風の私立など学校も多様化し、選択肢も増えています。
受験期間中は熱心に勉強を教えたり、スケジュールの管理をしたりと親のサポートが必須。今回はエッセイスト小川奈緒さんの中学受験体験談をお届けします。
教えてくれたのは?
エッセイスト 小川奈緒さん
暮らしや家づくりなどをテーマに執筆。音声メディア「Voicy」パーソナリティ。新著に『すこやかなほうへ 今とこれからの暮らし方』(集英社クリエイティブ)。
●Instagram:nao_tabletalk
「1人で取り組むのが苦手な娘と、一緒に過去問も
魔物に取り憑かれているようでした(笑)」
塾の送迎や宿題の管理などマネージャーのようにサポート
中学受験を開始した当初は、のんびり構えていたという小川さん。
「娘が仲のいい従姉妹と同じ学校に通いたいという動機で受験を考えていたので、情報収集もあまりしていませんでした。
最近の一般的な入塾のタイミングが小3の2月と言われていることも意識せず、小4の夏期講習から少しずつ、と思って塾に相談したらすっかり後発組で。渦に飲まれるように受験生活に突入。
最初は、受験するのは子ども本人だし、ある程度距離を取って見守ろうと思っていたんです。でも、それではまったく勉強が身についていないことが判明して…。塾の先生に相談すると『中学受験は何らかの形で親が関わらないと成り立たないですよ』と言われ、スイッチが入りました」(小川奈緒さん)
スケジュール調整や宿題の管理など、“マネージャー”のように娘さんをサポートしていたそう。
「塾の送迎に、帰宅してごはんを食べたらこの宿題から取りかかって、睡眠時間の確保のためにこの時間には寝て、といったことは、親が助言しないと子どもだけではできない。
また、娘は算数が大の苦手だったのでわからない問題があると娘が理解できるような動画を探したり、併願校選びも第1志望の学校と問題の傾向が近いと勉強がしやすいので過去問をリサーチしたり…。とにかくやることが山積みで、こんなに人のために時間も心も捧げる経験は初めてのことでした。
わからないことだらけなので選択に自信が持てず、私自身の自己肯定感が少しずつ下がっていく感覚も。娘の態度にイライラしたり、自己嫌悪に陥ることはもはやデフォルトで、魔物に取り憑かれているよう(笑)。これは人生の試練だと思って乗り越えましたね」(小川奈緒さん)
また、娘さんの性格に合わせたこんな伴走も。
「いろいろ試した結果、娘は何事も1人で取り組むのが苦手なので“母親である私が一緒に勉強している姿を見せること”で前向きになれるとわかりました。
娘と同時に志望校の過去問を何年分も問いて、感想を言い合ったり、難しいという実感を共有したり。受験を終えて、志望校に入ることができた娘は今でも『うちら頑張ったよね〜』と、自分ではなく私たちのこととして話すんです(笑)。それだけ応援された実感があって、いい経験として記憶に残っているのはよかったのかなと。
正直、経験しても中学受験をしたほうがいいとは思わないし、ここまで親が関わることがよかったのか疑問もあります。でも、しっかり向き合ったことで娘の性格をより深いところまで知る機会になり、人間的な結びつきは強くなったのかなと感じています」(小川奈緒さん)
他にも「“中学受験”との距離の取り方」を公開中!
次回は「中学受験をやめた理由は?」をご紹介。
イラストレーション/きりふみこ 取材・文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2023年LEE1、2月合併号(12/7発売)「“中学受験”との距離の取り方」に掲載の記事です。
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