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【板垣李光人さんインタビュー】描写の余白を映画ならではの魅力に変えられたらいいな

2022.12.20

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1カットごと、瞬時に表情や雰囲気をガラリと変え、人の目を引きつける。「さすがプロ」と呟くと、「プロですから(笑)」とニッコリ。幼い頃よりモデルとして活動してきた板垣李光人さんは、単に撮られるというよりもっと能動的に、ともに作品を作りにいっているように見える。

描写の余白を映画ならではの魅力に変えられたらいいな
────板垣李光人さん

【板垣李光人さんインタビュー】描写の余白を映画ならではの魅力に変えられたらいいな

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「こういう撮影も芝居も僕にとっては同じ。僕はいわゆる憑依型の俳優ではなく、自分がどう見えているか、その場で何が求められているかを考えながら演技をするタイプなので」と明かす。

20歳という若さにして非常にプロ意識の高い板垣さんが、映画『かがみの孤城』で声優に初挑戦した。

「普段は動作ありきで声を出すので、ひたすらマイクの前に立って声だけで芝居をするのは難しかったです。感情へのアプローチ方法がまったく違ううえ、誰の声も入っていない状態で一人でアフレコをしたので心細くて。頼れるのは監督のアドバイスと自分の想像力だけ。必死で、掛け合いの多いマサムネ役の高山みなみさんの声を想像して演じました」

板垣李光人さん

学校に居場所がない少女こころがある日吸い込まれるように入り込んだのは、鏡の中の城。そこには狼の面をかぶった少女“オオカミさま”と、見ず知らずの6人の中学生が集っていた。今回板垣さんが演じたのは、その中の一人、スバルだ。

「監督から“いつもどおりでいい”と言われたので、アニメだからと構えすぎずに臨みました。ただスバルって、ビジュアル的に7人の中で最も背が高いんです。僕は小柄なので、ニュアンスとして、なるべく落ち着いて話すことを意識しました」

板垣李光人さん

7人の中学生たちは、みな学校や家庭に深い悩みを抱えている。そんな彼らにオオカミさまは、“城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも1つ叶えてあげる”と告げる。

「まず何より、物語がおもしろい。僕は原作者の辻村深月先生とこういう形でかかわれたのがうれしくて。原作はファンタジーでありミステリーであり、青春ドラマでもある。人間関係が繊細に描かれ、すべての要素がいい塩梅で立っていてさすがだと思いました。さらに登場人物がビジュアル化され、動くキャラクターに僕らが息を吹き込むことで、より心を動かされるものがきっとある。原作より削ぎ落とされたスバルの背景などは、映画を観てくださった方が自由に想像できる余白として魅力に変えられたらいいな、と」

板垣李光人さん

痛みを知っているからこそ、人の痛みもわかり合える7人の関係性に、心が強くなるような感動が訪れる。

「毎日同じ人とだけ顔を合わせる学校は、世界を狭めてしまうこともある。そこから逃げてきた7人は城で衝突もしますが、共鳴する部分があり、魂の結びつきを感じるようになっていく。僕自身は人間関係に壁を感じたら、無理に乗り越えようとせずパッと別の方向へ転換しちゃうのですが(笑)、そうやって学校以外の世界を広げるのも、居場所を見つける一つの解決方法だと思います」

板垣李光人さん

洋服好きとしても有名な板垣さん、最近のお買い物エピソードは?

「ファッションはガソリンみたいなもの。夜中にメイクを始めて、一人でよくファッションショーをします。夏は薄着だからつまらないけれど、冬はレイヤードしてたくさん服を着られるから楽しくて。この冬は新たにブーツを買ったので、こすり倒すまで履きますよ(笑)」

Profile

いたがき・りひと●2002年1月28日生まれ。10歳で俳優デビュー。近年の主な代表作に映画『約束のネバーランド』(’20年)、大河ドラマ『青天を衝け』(’21年)、ドラマ『シジュウカラ』(’22年)など。大きな話題となった、ドラマ『silent』(’22年)にも出演。20thアニバーサリーフォトブック『Interlude』が12月18日に発売。
Instagram:itagakirihito_official
Twitter:itagaki_rihito
公式サイト:https://rihitoitagaki.jp



『かがみの孤城』

『かがみの孤城』

©2022「かがみの孤城」製作委員会

学校に居場所がない中学生の“こころ”は、突然光を放った部屋の鏡に吸い込まれ中に入ってしまう。そこはある城につながっており、狼の面をかぶった少女と6人の見知らぬ中学生が集まっていた。辻村深月の同名小説を、『河童のクゥと夏休み』の原恵一がアニメーション映画化。(12月23日より全国ロードショー)


撮影/木村 敦 スタイリスト/伊藤省吾 ヘア&メイク/佐川理佳 取材・文/折田千鶴子
こちらは2023年LEE1・2月合併号(12/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。

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