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「汚部屋住人」だった中山真由美さんが片づけに目覚め、人気整理収納アドバイザーになるまで

  • LEE編集部

2022.08.27

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中山真由美さん

引き続き、中山真由美さんのインタビューをお届けします。

32歳で整理収納アドバイザーの資格を取得。16年間にわたり、業界を牽引する立役者として走り続けてきた中山さんですが、子どもの頃は片づけが苦手なタイプでした。高校時代はボーイフレンドに、部屋に放置していたカビの生えた麦茶を目撃されて恥ずかしい思いをしたこともあったと言います。

後半では、面倒くさがりでずぼらだった中山さんが整理収納アドバイザーになったきっかけ、再婚して迎えた新しい暮らしと子どもの片づけ教育、日々大切にしていることについて話を聞きます。(この記事は全2回の2回目です。前編を読む

若い頃は面倒くさがりで片づけが苦手だった

中山さんは1972年、神奈川の横須賀に4人家族の長女として生まれます。母親は片づけが得意ではなく、夕飯の前には食卓の上に積まれた書類や文具を横にどかして食事をするような家庭でした。すっきり整った友人宅に憧れますが「うちはしょうがないんだ」と思いつつ、中山さんの面倒くさがりな性格にも拍車がかかります。

中山真由美さん

「高校の頃は、主婦に憧れていました。大学に行けと言われましたが、とにかく面倒くさがりだったので、結婚して主婦になれば働かなくていい、家にいて家事だけやっていればいいし楽ができると思ったのが理由です。22歳で結婚するものの、そんな調子で部屋は散らかりっぱなし。婚約指輪を家で無くしてしまって、夫の親に謝りに行ったこともありました。数日後、引き出しから見つかるという顛末にも呆れましたが」

子どもが産まれたことで夫より子どもの方が大事になり、夫の服だけを別に収納したり、働くことを望んでいないのに「外で働け」と夫からとがめられたり。夫婦仲がうまくいかず体調も不安定になり、長女が7歳、長男が4歳の時に離婚。その後、派遣会社に登録をして、パソコンを習い始めます。住宅メーカーに復帰、その後転職した派遣会社で出会った整理収納アドバイザーから受けたカウンセリングが大きな転機になりました。

中山真由美さん親子

中山さんと娘さん、息子さん(写真提供/中山真由美さん)

整理収納アドバイザーのカウンセリングが転機に

「当時から収納に興味があり、カラーボックスや収納道具を買ってはいましたが、物はどんどん増えていくばかり。そんな時に、今の師匠でもある整理収納アドバイザーさんに自宅のカウンセリングをお願いしたんです。実際にやってみたら、紅白帽が7枚も出てきて(笑)。持っていることを忘れて、同じものを何個も買っていたんです。さらには、使わないものを入れるために新しい収納グッズを買っていたという始末で。結果的に2トントラック1台分の荷物を捨てました。不用品を処分するのにお金がかかることもあって、30cm以上の物は2度と買わないと決意しました(笑)」

すっきり片づいて、どこに何があるか分かる。出し入れしやすい生活の便利さを痛感した中山さんは、整理収納アドバイザー2級の資格を取得。そして所属していた会社インブルームに整理収納サービスの部門を立ち上げます。それをきっかけに個人向けや企業向けのコンサルティング、住宅メーカーとの収納システム作り、メーカーとの商品開発、セミナーなどの講師登壇など、活動の幅は広がっていきます。当時は、家事代行との区別がつかず「掃除はやってくれないの?」「家事代行と何が違うの?」と言われることもあったそうですが、今は多くの人が整理収納アドバイザーの存在を知り、本を読んだり、個人相談をお願いしたりと、世の中にも浸透してきました。

中山真由美さん仕事例

中山真由美さん仕事例

中山さんが整理収納を手がけたお宅。写真上がBefore、写真下がAfter(写真提供/中山真由美さん)



働き始め「こんな私でも花が開くんだ」

面倒くさがりだった性格も変わり、今では「面倒なことは先に」と率先して動きます。整理収納アドバイザーという仕事に生きがいを感じるようになりました。

「主婦になりたかったはずなのに、いざやってみるとさみしかったんですよね。出産、子育ては楽しかったはずなのに、どこか社会から疎外されているような気がして。働き始めた時、こんな私でも花が開くんだと思って。パソコンを初めて勉強した時も、これでメールが送れるんだ! と驚きましたね(笑)。仕事を始めてからは、本当に楽しかったです。その時から座右の銘が“有言実行”と“継続は力なり”に変わりました」

中山真由美さん

現在のご自宅の部屋の最新写真を見せてくれました!

プライベートでは、38歳の時に再婚。週末だけを家族で過ごす“週末婚”を1年経て、家族4人で一緒に住むようになりました。

「夫はCD、本、文具、ギターなど、いろいろなものを集めるコレクターだったんですよ。だからこそ最初は一緒に住むことを躊躇しましたが、これを機に整理しようと決めて。段ボール3箱分ほどを処分しました。クローゼットは私一人で5割収納にしていましたが、夫の服が増えて7割になりました」

気になる「整理収納のプロの子ども」の片づけ事情

気になるのは、中山さんのお子さんたちの片づけの意識。母親が整理収納のプロとなると、子どもたちはどんなふうに成長し、片づけはどれくらいできているのでしょうか。

中山真由美さん親子

現在、娘さんは25歳、息子さんは22歳に。(写真提供/中山真由美さん)

「25歳になった娘は結婚して大阪に住んでいますが、私と同じように整理収納アドバイザーの資格をとっています。結婚した相手もとてもきれい好きなんですよ。22歳の息子は家にいますが、息子の部屋は私は一切片づけたりしません。散らかってもそのままにしています。片づけなさい、綺麗にしなさいとは言いませんが、本人は散らかっているのが嫌みたいで、しばらくすると突然廊下に荷物を全部出して、片づけをし始めたりします。『一人暮らしをしたらちゃんとやるんだ』とは言っていますが(笑)」

子どもの部屋が散らかっていたとしても、それ以外のスペースが整っていたら、自然と片づけたくなる気持ちが出てくると言います。中山さんはそれを“無言の教育”と呼んでいます。片づいている状態が当たり前だと体で知っていれば、自然とそう変化していくと言います。子どもにも片づけの習慣を身につけさせたいと思っている親も多いはず。今年4月からは、ハウスキーピング協会の子ども向けの整理収納アドバイザーの資格“整理収納アドバイザージュニア”の認定講座もスタートさせました。

「対象は8〜17歳まで、保護者も一緒に受けられるコースがあり、親子で受講してくださる方もいます。授業を受ければ、整理収納アドバイザー2級の資格が取得できます。片づけは生活をしていく上で一生大切なことですよね。自分で判断して片づけができることで、自分のことは自分で決める精神力を育むきっかけにもなればと思います」

大切なのは「誰のために片づけ、整えているのか」

ふだんの中山さんは寝る前の5分、出かける前の5分で、テーブルなどの面の上を片づけ、元あった場所にモノを戻します。起きた時、家に戻った時、いつでも気持ちいい状態で始められるよう、ゼロスタートを心がけています。

中山真由美さん

「ただし、疲れているときは例外。今日は疲れちゃった、という日はそのまま寝てもいいやと。片づけをしないと死ぬわけではないし、1日ぐらいサボっても大丈夫。そんな気持ちでやる方が長続きします。40代50代は体調にも変化が出やすい時期。年齢に合った、ちょうどいい“無理の仕方”を知ることも必要です」

最近は、自分の心に向き合いながら仕事に取り組んでいます。「今までは売上や成果を考えることが多かったのですが、今は楽しんで整理収納の仕事をしています。売上や成果は、後からついてくるものだと思って」。いつも大切にしているのが、誰のために片づけたり整えたりしているかということです。

中山真由美さん

「断捨離やシンプルライフ、インスタグラムを見ていると素敵な生活に憧れるかもしれませんが、整理や片づけをする目的は、家族が快適に過ごすための空間を作るためです。自分本位の美しい理想の場所を作ることが目的になり、それで家族が使いづらかったり、居心地が悪くなったら意味がありません。家族への歩み寄りや思いやりを忘れず、ゴールは家族が心地いいと思う暮らしということを忘れないでやってみてほしいと思います」

中山真由美さんに聞きました

身体のウェルネスのためにしていること

毎日のストレッチと、週1回のゴルフ

「毎日のストレッチと、週1回のゴルフを続けています。どちらも20年後30年後も継続してできるスポーツとしてコロナの後から始めました。ストレッチは肩甲骨を回したり、簡単なものでハードなことはしないんですよ。ちょっとした運動を続けていれば、健康寿命が少しでも伸びるかなと思っていま」

心のウェルネスのためにしていること

好きな人と好きな食べ物を食べる

「好きな人と好きな食べ物を食べることです。体の状態に耳を傾けて、体が喜ぶ食べ物を選ぶようにしています。例えば、これまではお肉が好きだったのですが胃がもたれるようになり、魚を選ぶようになりました。また夜8時以降は食べないようにしています。どんな仕事も心が健康でないとできないと思うので、まずは心の健康を保つようにしています」

ハウスキーピング協会

インタビュー前編はこちら!

30代40代からでも早過ぎない!整理収納アドバイザー中山真由美さん「終活のススメ」


撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子

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LEE編集部 LEE Editors

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