産後、生理に変化はありましたか? 周囲でよく耳にしたのは生理痛が重くなったり、軽くなったり。なぜ妊娠・出産により生理痛に変化が訪れるのでしょうか? 助産師の本橋景子さんにうかがいました。
産後に乱れやすいホルモンバランス。その影響で生理痛にも変化が
私、産後に生理に変化があったタイプです。産前は生理痛が重く、鎮痛剤が手放せないくらいだったのですが、産後は「あれ? 今生理中だよね?」と痛みを感じないことが増えました。痛みが減るのは嬉しいことですが、なぜそんなことが起こるのでしょうか?
本橋さんいわく、生理痛の変化はホルモンバランスの乱れが一因かもとのこと。
「産後、ホルモンバランスが乱れやすくなるのは、妊娠中は大量に分泌されていたホルモンが急激に減少し、通常の量へと変化していくから。さらに授乳により生理に関与するホルモンが抑えられる、慣れない育児や環境の変化なども一因にあります。そのような理由で生理痛に変化が起こっていると考えられます」(本橋さん)
ホルモンバランスが乱れると、生理の変化だけでなく、イライラする、寝付きが悪くなる、抜け毛なども起こるそう。
「赤ちゃんと一緒に昼寝をするなど積極的に休み、味噌や油揚げといった大豆食品や豚レバー、卵、アボカドなどホルモン分泌を促す食材を取り入れてください」(本橋さん)
慣れない育児で産後は慌ただしいもの。赤ちゃんが眠っているうちに家事をすませたい気持ちもわかりますが、産後すぐは自分をいたわってほしい時期。私も産後すぐは子どもと昼寝をするだけで疲れの残り方が格段に違いました。こまめに休息して疲労をできるだけ蓄積しないようにしたいですね。
生理痛緩和には締め付けのないサニタリーショーツを選ぶのも大事!
妊娠・出産により骨盤が歪み、血液循環が悪化することも生理痛を重くさせる原因として考えられます。とはいえ、産後は筋肉が減少し、子どもとの慌ただしい入浴でじっくり体を温められないなどの理由で、冷えが解消しづらい時でもあります。
冷えない体づくりのため、根菜など体を温める食材を摂ったり、靴下を履くなど、普段の生活でできる対策をしている人もいるでしょう。それらに加えて本橋さんは生理用ショーツも見直してほしいと言います。
「生理中は普段より体温が下がるので血行が悪くなり、より冷えやすくなっています。生理痛軽減には血液循環をよくすること。締め付ける下着は血流を停滞させますので、循環をよくするためにも生理中は締めつけのない生理用ショーツをおすすめします」(本橋さん)
血液の循環を促すには、血管とリンパが集まるそけい部とお腹周りを締めつけないこと。とはいえ、フィット感のない生理用ショーツだとナプキンがずれそう。でも今は締め付けずにフィット感をキープできる生理用ショーツや吸水ショーツも登場しています。
さらにお腹や骨盤周りを温めるハイウエストタイプなら、より血液の循環をサポートします。
締め付けないほか、素材にもポイントが。
「生理中は肌が敏感になっているので、シルクやコットンといった天然素材がおすすめです。特にコットンの約1.5倍の吸湿・放湿性があるシルクは肌にやさしいだけでなく、夏に涼しく、冬は温かいため、体の温度調節をサポートします」(本橋さん)
しかもシルクは蒸れにくいのも魅力。
「デリケートゾーンが蒸れると不快なだけでなく、雑菌が繁殖しやすくなり、ニオイやかゆみの原因にもなります。デリケートゾーンは特に清潔に保つことが大切ですが、過剰な洗浄やケアは肌免疫力を落とすので注意が必要。その点、シルクは肌環境を健やかに保つのでデリケートな場所には最適な素材です」(本橋さん)
生理用ショーツを見直すだけで、生理痛軽減が期待できるなんて慌ただしい育児中に嬉しい限り。生理が再開したら、進化している生理ショーツにチャレンジしてはいかがでしょうか。
お話をうかがったのは、助産師の本橋景子さん
看護学校卒業後、都内大学病院の周産期センターで勤務後、助産師資格を取得。日本赤十字病院にて多数の妊婦の日常のサポートから分娩を担当。マタニティビクスやベビーマッサージ等の資格も持ち、産前、産後、新生児までもトータルでケアを行う。またフェムケアブランド「キオリ」の商品監修も担当している。
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津島千佳 Tica Tsushima
ライター
1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。