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プライべートでお茶を習い始めて、もう6年になるという、モデルでタレントのはなさん。体当たりのお稽古の様子や、茶道を通じて自身が感じたことを綴ったエッセイが発売になりました。

40代で飛び込んだ茶道の稽古。“好き”を地道に育てています
────はなさん

「お茶を始めたきっかけは、亡き祖母の着物を受け継いだことでした。自分のサイズに直したものの、着る機会がなくて。そんなときに祖母がお茶を習っていたのを思い出したんです。そして私は根っからのお菓子好き。和のスイーツがいただける茶道には前から興味があり、ご縁もあってお稽古に通うようになりました」

茶の湯というと大きな動きが少ない習い事の印象がありますが、はなさんのエッセイを読んでいて意外に感じるのが、体力重視ということ。

「そうなんです！　道具もそれなりに重たいですしね。お辞儀や正座はもちろん、体幹がしっかりしていないとできない所作もたくさんあって。お茶会の前の準備も、かなり体力がいります。私もお茶＝精神的な習い事だと思っていたので、飛び込んでみて初めて知りました（笑）」

そのほかにもいろいろな気づきが。

「ずっとお菓子作りが趣味で、出来上がったものを誰かにプレゼントするのも大好きでした。でも部屋でお菓子を作っている姿を、人に見せたことはなくて（笑）。茶道は、お湯を沸かしてお客様にお茶を振る舞う、そのプロセスすべてがおもてなしなんです。お湯が沸く音や温かさ、湯気で季節を感じてもらう。選ぶお菓子で喜んでいただく。招いた方が茶室に入る瞬間すら、心づくしの一部という、今まで私が触れてきた趣味の世界とは、別の深みを感じています。

何から始めたらいいかわからない、お金もかかりそうと思う人も多いと思うんですが、まずお抹茶と茶筅（ちゃせん）を買い、家にあるカフェオレボウルで点（た）ててもいいですし。私も道具は祖母のもの。お茶会以外のお稽古は、汚れてもいい中古の着物でと、気負わずに習い続けています」

これまでも仏像、パンダ、野球と、自身が愛する趣味の世界の魅力を、私たちに伝えてきてくれたはなさん。“好きなもの”は、はなさんにどんな影響を与えていますか？

「私は忙しいときこそ、好きなものがないと、しゅわしゅわと弱くなっていくタイプなんです（笑）。一日の中で数秒、例えば、パンダの画像を見るだけでも心が満たされます。『何でそこまで好きなの？』って不思議がられることも多いですよ。仏像は大学時代に好きになりましたが、そんな子は周りにいなかったし、家で仏像の写真を眺めてうっとりしてたら、母が仰天していました（笑）。

でも孤独を感じたことはないです。誰だって、その人だけが惹かれるものがあるはず。流行や人の目に惑わされず、心に引っかかった“好き”を大事に育てると、日々がより豊かになる。その繰り返しが、お仕事でもプライベートでも続いています」

ちなみにお茶の世界で、その“好き”同士をリンクさせた計画も。

「上野動物園にいるパンダのシャンシャンが中国に旅立つ前に、“シャンシャン茶会”をやること。今からどう愛情を盛り込もうかと、ときめいています（笑）。お茶は伝統や作法の継承も大切ですが、想像（妄想）の世界という側面も。遊び心を自由に発揮できる場でもあるんですよ！　このバランスが、エッセイでも伝わっていればなと思います」

はな●1971年生まれ、神奈川県出身。 17歳から『non-no』など女性誌のモデルを経てTVやラジオ、広告など多方面で活躍。現在のレギュラーに『Lovely Day♡～hana金～』（FMヨコハマ）など。趣味の仏像やお菓子に関する著書も多数。Instagramでも情報発信中！
Instagram：hanalovestaco
公式サイト：http://tencarat-plume.jp/models/details/hana.shtml

『今日もお稽古日和』

茶道専門誌『淡交』での連載を収めたエッセイ。お茶を習い始めてから6年がたつというはなさんが、お稽古を通じて感じたこと、あらためて知った日本文化の奥深さなどについて自身の体験と考察を交えて執筆。「何か習い事をしてみたい」「日常とは違う、新しい世界をのぞいてみたい」という人の背中を押してくれるような、ポジティブな力にあふれた一冊。（￥1760／淡交社）

撮影／名和真紀子　ヘア＆メイク／石川智恵　取材・文／石井絵里