どんなに頑張っても、夫婦の願いやタイミングが合わなければ解決できないセックスレス妊活。セックス&不妊の専門家が、さまざまな方法をアドバイス。
教えてくれたのは
セックスレスカウンセラー 三上かすみさん
セックスレスに悩む夫婦のためのカウンセリングや、講座などを実施。共著に『セックスレスにならない間取り』(KAERU Publishing)
公式サイト:https://venus-academia.com/
年齢や環境で、夫婦のセックスを更新するのが継続の秘訣
「セックスは、年齢や環境で更新していくもの」だと三上さん。「加齢や出産などで体は変わるので、いつまでも恋人同士のようなセックスを続ける必要はありません。痛みを感じても、グッズを活用したり体位を工夫して継続することが大切。どうしたら無理なくセックスを続けられるか探るために、夫婦で多少の努力は必要だと思います。
また、どんなに面倒くさいと思っても、いざセックスしてみたら夫への気持ちが高まった、という声は多いんです。心理学用語で“作業興奮“といって、“行動し始めたらやる気が出てくる”ということなのですが、まさにこれが当てはまる。いろいろ考えず、まずは取り組んでみてほしいですね」(三上かすみさん)
不妊治療専門医 月花瑶子さん
不妊治療専門クリニックである杉山産婦人科にて、不妊相談や治療を行う。共著に『やさしく正しい 妊活大事典』(プレジデント社)
不妊治療を知れば“絶対セックスしなければ”というストレスが減
不妊治療は夫婦の年齢や希望を聞きながら方針を決めていくそう。「セックスレスにはさまざまな理由があり、セックスの行為自体が難しい、夫のEDなどがあれば、人工授精・体外受精と先に進んでも問題ないと思います。また、最近は自分でシリンジに取った精子を膣内に注入する“シリンジ法”を試す人も。
実際に治療するかではなく、セックス以外に妊娠できる方法があることを知るため産婦人科へ。妊活=“絶対セックスしなければ”というストレスから解放されると思います。また、’22年の4月から不妊治療が保険適用に。条件はありますが、体外受精は従来の半額ほどで受けられるケースもあるので、トライしやすくなっています」(月花瑶子さん)
夫の当事者意識が薄く、妊活にまったく焦りがない。どうすれば?
専門家の本などで、夫の理解を深めるのがおすすめ
「男性は生理もないし、女性に比べて妊娠・出産を意識しづらいもの。男性の不妊治療の先生が書いた本などを見せて、認識を深めて。『こんなことが書いてあった、あなたはどう思う?』と話すきっかけに」(三上かすみさん)
「男性側に原因がある“男性不妊”の可能性も。そういった知識をデータとともに、専門医に説明してもらうと論理的で伝わりやすいかも」(月花瑶子さん)
男性の性機能障害を解説。小堀善友著『泌尿器科医が教える オトコの「性」活習慣病』
マンション住まいで家が狭い。いつどこでセックスすれば?
子ども部屋と寝室は、隣り合わせにしない!
「できれば、子ども部屋と夫婦の寝室は隣にならないように配置を。隣でなければ声もそれほど気になりません。または、リビング横の和室などにふとんを敷いてするのも○。時間帯は、夜だけでなく、子どもが起きる前の明け方でも。男性ホルモンは朝に多く勃起しやすいので、夫のED対策にも。固定観念は捨て、各家庭ごとにセックスしやすい環境を整えてみて」(三上かすみさん)
産後、痛みを感じるようになりセックスが苦痛に……。
潤滑ゼリーや専用グッズも活用して
「授乳中はホルモンの影響でレスになりがち。あとは育児の忙しさも大きいので、余力を残せるように夫と相談を。膣に違和感がある場合は、膣用の潤滑ゼリーやレーザー治療などもあるので受診してみても」(月花瑶子さん)
「痛みがあるなら、ペニスの挿入を調整できるリングも。こういった専用のグッズでレスが解消することもあります」(三上かすみさん)
深く挿入しすぎないようペニスの根元に装着できるリング。
もし不妊治療をするとしたら、どんなステップで進むの?
年齢や希望によって人工授精・体外受精も
「最初は、おりものと精子の相性を見る、ホルモン採血、卵管に詰まりがないかを見る卵管造影検査などの検査が必要なので、1〜2周期は検査をしながらタイミング法を。タイミング法は病院で排卵日を知らせるか、自分で排卵日チェッカー(下)で確認する人も。その後は、人工授精、体外受精も。人工授精はスキップして体外受精をしたりと、夫婦に合った方法で進めていきます」(月花瑶子さん)
尿をかけるだけでわかる排卵日予測検査薬。
セックスレスで不妊治療を受けるタイミングがわからない。
期間は関係なく、悩んだらすぐに相談を
「妊娠を希望しているけれどセックスレス、何らかの理由で膣内射精ができないのであれば受診してOK。期間は関係ないので、無理なセックスで苦しまずに相談して」(月花瑶子さん)
「治療が必要かどうかはさておき、気になったらすぐに相談を。夫婦だけで考えても答えが出ないことが多いので、専門家に話を聞くことが大切です」(三上かすみさん)
排卵日付近にこちらから誘っても、夫に断られるのがすごくストレス……。
夫の気持ちは受け止めて、次回を決める
「すぐにできることとしては、まず『今回はあなたのタイミングじゃないんだね、今日は早く休もう』と夫の気持ちを受け止めて、その代わり『次回いつトライするかだけ決めておこう』と提案を。決めて意識しておけば、心と体力の準備ができるし、待つ側の妻のストレスも軽減されます。
あとは、自分の夫にはどう言えば伝わりやすいかを試すしかない。コミュニケーションの取り方に正解はないので、夫をよく観察して話し合いをしてみて」(三上かすみさん)
【特集】どう乗り越えた?「セックスレス妊活」の壁
詳しい内容は2022年LEE7月号(6/7発売)に掲載中です。
イラストレーション/須山奈津希 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
※商品価格は消費税込みの総額表示(2022年6/7発売LEE7月号現在)です。
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