「花粉対策スプレー」は効果がない?正しい使い方と効果を掃除のプロが教えます!
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藤原千秋
2022.02.19 更新日:2023.03.07
寒さや冷えが身体に堪える毎日。あたたかな春の訪れが待ち遠しい一方で、「花粉」の到来を思うと、気重……。今年もすでに「来た」と体感している方も少なくないのではないでしょうか。
主に眼や鼻、咽喉。耳。それから皮膚。人によっては、お腹の痛みや頭痛など、多様なアレルギー症状をもたらす、「花粉」。
とくに、住まいのお部屋の空気中に舞い上がった花粉が、寝ている間にホコリなどと共に顔の周りに落ちてくることで引き起こされる「モーニングアタック」と呼ばれる症状は、起き抜けからフィジカルにもメンタルにもダメージが大きく、本当につらいものです。
こんな厄介な「花粉」ですが、同じハウスダストの仲間であり、アレルギー源となる「カビ」や「ダニ」などとは決定的に異なる点があります。
それは、花粉は、ほぼ全て「家の外から持ち込まれる」もので、その主だった持ち込み源となってしまうのが、私たち自身の人の身体や服だということ!
花粉については重々この点に注意して対策を講じていくのがポイントになるのです。
そこで近年、確かな効果もあって人気を博しているのが、市販の「花粉対策スプレー」といった商品群です。
ドラッグストアにも並んでいて身近ですよね。でも実は「いまいち正しい使い方が、わからない?」と思っている人がまだ少なくないようです。
花粉対策スプレーは2系統あり! それぞれの“効果、使い道”とは?
どれも同じようにみえる市販の「花粉対策スプレー」ですが、大きく次の2つの効果の系統にわけられます。
❶ 花粉そのものを衣類や布に寄せ付けにくくする効果
❷ 衣類や布に付着してしまった花粉の効果を抑えたり減らす効果
基本的には、この2つの系統の効果は1本のスプレー等の中には並存しません。また、2つは各々、以下のように2つにも分けられます。
❶ 花粉そのものを衣類や布に寄せ付けにくくする効果
⑴花粉を付着させる静電気発生防止効果のある衣類や布製品用の消臭剤(主成分は両性界面活性剤など)(例:花王「リセッシュ 除菌ex プロテクトガード」など)
⑵花粉の付着防止効果のある衣料用静電気防止剤(主成分は陽イオン系界面活性剤など)(例:ライオン「エレガード」など)
❷ 衣類や布に付着してしまった花粉の害を抑えたり減らす効果
⑶花粉を含んだハウスダストを凝集させて掃除しやすくするハウスダスト凝集剤(主成分は高分子ポリマーの一種)(例:P&G「ファブリーズ おそうじエイド ハウスダストをまとめて固めるスプレー」など)
⑷ハウスダスト等に含まれた花粉を酸化、変形させることでアレルギー症状を起こしにくくさせる除菌消臭剤(主成分は要時生成型亜塩素酸イオン水溶液など)(例:全日空商事「A2Care」など)
つまり、
おでかけ前に、「花粉、あんまり付けたくないなあ」と思って使うなら、❶の⑴と⑵。
花粉もつけたくないし、脇汗の臭いや、どこかから飛んでくるウイルスの付着なども心配なら❶の⑴だし、花粉もつけたくないけど洋服のパチパチいう静電気も不愉快なら❶の⑵の方が合っているでしょう。
そして、
おでかけのあと、服についてしまったかもしれない花粉を、効果的に取り除きたいなら❷の⑶と⑷。
花粉が飛び交う部屋のお掃除のときに使うなら❷の⑶、除ききれないかもしれない花粉の活性をなんとか弱めたいなら❷の⑷。
自分が期待している効果はどっち? 花粉の何をどう対策したいの?
「花粉対策スプレー」を正しく効果的に使うために、一度改めて自分の使用目的を棚卸ししてみてください。
「寄せ付けにくくする系」は“裾”へのスプレーをお忘れなく!
その上で具体的な使い方をご説明します。
❶ 花粉そのものを衣類や布に寄せ付けにくくする効果
⑴花粉を付着させる静電気発生防止効果のある衣類や布製品用の消臭剤(主成分は両性界面活性剤など) (例:花王「リセッシュ 除菌ex プロテクトガード」など)
⑵花粉の付着防止効果のある衣料用静電気防止剤(主成分は陽イオン系界面活性剤など)(例:ライオン「エレガード」など)
こちらの効果のあるスプレーは、外出の直前、でもスプレーの飛沫の水分がしっかり乾くくらいのタイミングを見計らって、上着なら肩や腕や襟周り、ボトムスならお尻や裾まわりなどにしっかり飛沫がが行き渡るようスプレーします。
特に道路等の舗装面から舞い上がる花粉が盲点になりやすいので、スカートの裾、パンツの裾など念入りにスプレーしておくといいでしょう。
「害を減らす系」は、掃除機をかける前に!
❷ 衣類や布に付着してしまった花粉の害を抑えたり減らす効果
⑶花粉を含んだハウスダストを凝集させて掃除しやすくするハウスダスト凝集剤(主成分は高分子ポリマーの一種)(例:P&G「ファブリーズ おそうじエイド ハウスダストをまとめて固めるスプレー」など)
⑷ハウスダスト等に含まれた花粉を酸化、変形させることでアレルギー症状を起こしにくくさせる除菌消臭剤(主成分は要時生成型亜塩素酸イオン水溶液など)(例:全日空商事「A2Care」など)
こちらの効果タイプのスプレーは、知らず識らずのうちに衣類に花粉をくっつけて帰宅してしまった(あるいは、ドアや窓の開閉の際に家の中に入り込んでしまった)その後で、家の中の花粉を効率的に捕集、除去するために使います。
花粉を含んだホコリが気になる布ソファや寝具、カーテン、ラグなどに、しっとりするまでスプレーし、しっかり乾くまで放置します。
その後、ブラシで払ったり、掃除機を使うなどして、ホコリを取り除きます。
去年買った花粉対策スプレー、今年も使っていい!?
さて、もしかすると……実は「目的とか種類とか、あんまり考えないまま買っちゃったな」という、花粉対策スプレーがすでに手元にあって、でもいつ買ったか思い出せなかったりするのでは?
去年? 一昨年? それって、まだ使えるものでしょうか?
もしも、そのスプレーが直射日光の当たるところや、冷蔵庫の上、ドラム式洗濯乾燥機や床暖房の上など、ホカホカと加熱されてしまうような環境に置かれて1年経っているような場合には、今年は使用しないようにしましょう。
中身が変質してしまっている可能性が高いからです。スプレーした衣類に嫌なシミが残ってしまったら困りますものね。
未開封のままで、年間通して暗いひんやりした環境で保管してあるような場合なら、去年買ったものでもセーフ。ただし普通の洗剤等含めて「液体」全般、基本的にあまり長期の保管には向いていません。
一昨年以前のものを使うのなら自己責任の範疇で。また日陰保管でも使用途中のものは、スプレーのガスが抜けかけていたり、垂れたりしやすいので、大事な衣類にシミをつけたくないなら避けたほうが無難です。
一見しただけでは、どれも同じように見えてしまう「花粉対策スプレー」ですが、だいぶ違いがあるもの。手元の商品のタイプを再度確認、これから買う際にも参考に、この春には上手に花粉対策スプレーが活用できるといいですね。
LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!
藤原千秋 Chiaki Fujiwara
住生活ジャーナリスト、ライター
掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。
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