スペシャルニーズがある人も楽しめる公園を広めて、子どもが伸びやかに成長するために活動をしている人にクローズアップ!
今、全国に広まっている、誰もが一緒に遊べる公園=インクルーシブな公園は、多くのパパやママの声が集結して形になっています。その中心で活動をするお二人に話を伺いました。
東京都議会議員 龍円愛梨さん
テレビ朝日でアナウンサー、社会部記者として活躍したのち退職。2013年に米国で長男を出産し、ダウン症と診断される。帰国後、2017年に出馬し当選。
NPO法人SUPLIFE 美保さん
8歳、6歳の女児のママ。次女のスペシャルニーズをきっかけに、障害の有無にかかわらず、歌やダンスを通じて共生社会を目指すためのNPOを設立。
どんな子も、みんなで遊べる居場所をつくりたい!
2020年、東京都に2つの公園が誕生しました。どちらも「インクルーシブ公園」と呼ばれるスタイルで、スペシャルニーズのある人も安心して楽しめる、きめ細かな工夫を凝らした遊具があり、障害のあるないにかかわらず、多くの人が集えるつくりになっています。今、都内を筆頭に次々増えている背景には、子育て中のパパやママの声が大きく影響していました。今回インクルーシブ公園の完成に尽力された龍円さん、美保さんのお二人の対談を行います。
龍円さん 私はアメリカのカルフォルニア州で出産しました。息子はダウン症があり筋力が弱いのですが、近所の公園は大型遊具にはスロープがあり、ブランコには背もたれがあったり、地面はふわふわゴムで安心でした。でも帰国後、そういった公園が日本にはなくて。
美保さん 私は日本で出産も子育てもしていたので、龍円さんと知り合うまで、そんな夢のような公園が世界に存在していることさえ知りませんでした。
龍円さん 同じ遊具でも高さが選べてハイハイする子でも遊べたり、指1本で音が出せて、筋力のない子でも楽しめたり。視覚や聴覚を使った遊びや、車椅子でも楽しめる砂場もありました。スペシャルニーズのある子やない子が分け隔てることなくみんなで仲間になって一緒に遊んで楽しめる場所って、絶対に必要だと思ったんです。お互いの違いを知り、一緒に生きていく社会は、そういう環境なしに生まれないはずだから。
憧れるだけじゃダメだと思って、思いついたのは署名活動
美保さん 公園って遊園地とは違って、生活の一部になる場所。うちの近くにもあったらいいのにと、最初は指をくわえて見ていたんですが、自分にも何かできないかと思って、署名活動をすることにしたんです。
龍円さん 今までにない新しいコンセプトの公園をつくるのは、簡単なことではありません。それを推し進めるには、美保さんが動いたように、地域のみんなの声が絶対に必要で。たくさんのパパやママの声を集めて、行政に届けたことは何より効果があったと思います。
美保さん 障害のない子のお母さんたちも、垣根を越えて署名に協力してくれて。たった10日で300人もの署名が集まり、豊島区長に提出しました。
龍円さん それが功を奏して、素敵な公園ができましたよね!
美保さん としまキッズパークのデザインを担当された方が、「言われるまで気づかなかった。どんな子も一緒に遊びたいんだって、教えてくれてありがとう」と伝えてくれて、心からうれしかった!
龍円さん 子育て中は仕事も忙しい時期で、わざわざ行政に意見を伝えに行く時間もなく、現状で我慢しちゃうパパやママも多いはず。でも今はSNSなどで、ダイレクトに行政や議員に声が届きやすい時代ですから、みんなで声を上げていきたいですよね。
二人が目指すのは、公園の先にある「インクルーシブな社会」。物心がつく頃から、違いのある子どもたちが一緒になって遊んだり、時にはケンカをしたり……。そうした共生の場を全国に一つでも多く増やすことが、子どもにとってよりよい未来につながっていくはずだと信じています。
龍円さんが実現に導き、2020年の春に誕生!
砧公園「みんなのひろば」
美保さんが多くの署名を集めて実現を後押し
としまキッズパーク
【特集】きっかけは、子育ての小さな悩みでした まさか私が「ママ議員」になるなんて!
詳しい内容は2021年LEE12月号(11/6発売)に掲載中です。
撮影/名和真紀子 取材・原文/田中理恵
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