【『怪獣8号』試し読み！】久々に心が熱くなる、少年漫画より少年漫画的なバトルアクション

気になるアノ漫画が無料で読めちゃう！　集英社が贈る秋を彩るデジタルマンガ祭「秋マン!!2021」がスタート!!　各週のラインナップの中からLEE読者の皆さんにオススメの作品を、LEE100人隊やLEEスタッフの熱～いコメント付きでご紹介します。

怪獣8号
松本 直也

舞台は人々の日常を容赦なく怪獣が蹂躙する“怪獣大国”日本。怪獣専門清掃業者で働くしがないアラサー・日比野カフカは、新人清掃員・レノに刺激を受け、国民を守るために活躍する日本防衛隊を目指して再起を誓いますが……。

「少年漫画」を卒業した大人女子こそ読んでほしい！

昔から少年漫画が大好きで黄金期の「少年ジャンプ」には大変お世話になったアラフォーの私。アラサーを迎えた頃から、イマイチ10代の主人公たちに感情移入できなくなり青年誌ばかり読むように。

青年誌ならではのテーマ性や複雑さを持ったストーリーや、安定した画力は楽しませてくれるけど、「ジャンプ」にあった熱さもたまには感じたい……そんな欲求不満状態が続いていたわけですが……ですが！　出会ってしまったんです。『怪獣8号』に。ベテランならではの安定感のある画力で紡がれる、少年漫画より少年漫画的なバトルアクション──久々に心が熱くなる漫画に出会ったなー、というのが率直な感想でした。

子どもの頃に「ジャンプ」を愛読していた女子の皆さん、ぜひご一読を。発売日が待ちきれなくて週末に早売り（応募券は月曜以降に取りに来てくださいｗ）を買いに駄菓子屋に駆け込んでいたあの頃の自分に戻れるかも。

ちなみに、枯れ専女子の皆様におかれましてはちょっとカフカは若すぎるかもしれませんが、おっさんが（男女問わず）全方向からモテまくるハーレム漫画としても読めますので、そういう意味でもおすすめです。

カフカ「なんで こっち側にいるんだろ 俺…」

主人公はいまいちイケてないアラサーのおっさん・日比野カフカ。子供時代に幼馴染のミナと交わした約束を諦めきれないまま、清掃業者会社に勤めています。

仕事の内容は、災害のように襲い来る怪獣を日本防衛隊が討伐した後の片付け。今でいう特殊清掃の一種です。防衛隊の体調として大活躍するミナをテレビ越しに見守りつつ、「なんで こっち側にいるんだろ 俺…」とつぶやく日々。完全に少年漫画の主人公の王道からは外れてますけど……！

レノ「俺は諦めないんで 死ぬまでわかんねーっス」

そんなカフカの暮らしは、会社に新人清掃員のレノが入ってきたことで急展開を迎えます。

若さゆえのストレートすぎる言葉でカフカを傷つけまくるレノ。しかし、「大人」なカフカは本心を見透かすようなレノの言葉にちょっと傷つきつつも仕事上では先輩らしくしっかり後輩をサポートするのでした。

カフカ「隊員になるんだろォが!!　ここで死んでどうする!!」

徐々にカフカに心を許していくレノ。ちょっといい雰囲気になった2人に余獣（地震に対する余震のようなもの。本獣の襲来の後に襲ってくる怪獣のこと）が襲いかかります。先輩の意地を見せ、レノを守ろうとするカフカですが……。

レノ「先輩 すげーカッコよかったっす」

カフカの裏表のない男気に触れたレノは、すっかりカフカのとりこに。素直に感謝の言葉を述べ、改めてカフカに防衛隊入隊を諦めないようにと伝えます。カフカも、レノとのかかわりの中で自らの夢を再確認し、改めて防衛隊を目指すことを決意したその時……！！

横たわるカフカの目の前に現れた小型の怪獣のようなもの。それがカフカのその後の人生を大きく変えることに──主人公は「おっさん」ですが、少年漫画に欠かせないと言われる三種の神器「友情」「努力」「勝利」がこれでもか！と散りばめられた本作。

不条理な運命に翻弄されつつも、本来の目標に向かって突き進んでいくカフカの姿に元気づけられる人も多いはず。最近、前みたいな勢いがなくなってきたな……と感じるあなた、ぜひカフカの放つ、不器用な熱量に触れてみて！

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文・構成／トミザワヒナ