時を経て気づく、四季のある風情、丁寧な手仕事 大人はそろそろ「和」を楽しみたい
雅姫さん「今気になるのは漆の器です」漆作家・宮下智吉さんの工房を訪ねて【LEE DAYS】
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LEE DAYS リーデイズ
2021.10.27
近頃、気になるのは「和」の文化。その道の歴史に深く感銘を受け、作り手の想い、職人技のゆかしさをしみじみ実感します。静かで力強く美しい器がそっと教えてくれるのは、なにげない日常の豊かさ。LEE DAYS世代になって、じっくり「和」の心得と向き合ってみませんか。
profile
(左)まさき●モデルとして活躍のほか、自由が丘のショップ「ハグ オー ワー」「クロス&クロス」のデザイナーを務める。LEEの連載をまとめた『わたしの理想のキッチン』ほか著書多数。Instagram、家族と犬3匹の暮らしを綴った@mogurapicassowolsとショップ@hugowar_vintagechicも人気。
(右)宮下智吉●1979年長野県生まれ。東京芸術大学漆芸専攻卒業、同大学院修了。2020年、松本に拠点を移し、工房を構える。個展などの情報はホームページ参照。miyashitatomokichi.themedia.jp/
お椀やスプーンの優しい感触、器を継いだときの表情、しみじみ漆の奥深さを感じている雅姫さん。漆作家・宮下智吉さんの工房を訪ね、漆のゆかしさとその丹念な仕事に心打たれました。
古い日本家屋に手を入れながら暮らす宮下家の広い居間は、床材も拭き漆で仕上げられて。山の景色、沢の水の美味しさ、畑で採れた野菜、四季折々の豊かな暮らしがここに。
雅姫さんがオーダーした小さなお椀と、口当たりが滑らかで使いやすいスプーンが完成。とはいえ、実際に使えるのは3か月後。ゆっくり待つことも漆の愉しみのひとつです。
漆作家、宮下智吉さんの工房を訪ねて
木の塊が削られて器のかたちになり、漆を塗って研いでを繰り返し、時間をかけて乾かして。宮下さんは木や漆と対話しながら、触って持ち上げ見つめます。器に命を吹き込むように。
信州松本、山あいの集落に建つ築80年の家屋に手を入れながら、家族4人で暮らす宮下さん。ここで木地を挽き、漆を塗り、いくつもの細かな作業を一人でこなして器を作り上げます。納得がいくまで木地に向かい漆を見つめ、手を動かすその姿は修行僧のよう。
「お椀ひとつとっても大きさや重み、厚み、高台の塩梅、色や艶、さまざまな要素があります。ごはんがおいしく食卓が楽しくなる、毎日飽きずに使いたくなる。そんな器にするためには、手に持ち、感触を確かめ、微細な違和感を消していくことを積み重ねるしかないと思うんです」と話します。
どうして漆の道を選んだんですか?と雅姫さんが尋ねると
「書道に似た緊張感とか工程が気持ちよくて」と微笑んで。
「漆芸は表には見えない仕事がたくさんあるんですね。漆の樹液を掻く人、木を育てて切る人、刷毛や鉋を作る人……専門の職人がいてこそ僕がいられる。漆の作業に入る時は、早朝3時に雑巾掛けをして部屋を整えます。そういう別次元に身を置く感じも好きなんです」(宮下智吉さん)
作品は人なり。
「宮下さんの器は穏やかで優しくて、ご本人の物腰そのままですね」と雅姫さん。
木地挽きするための部屋には、栗、山桜、トチノキ、ナラなどの「荒木地」がお椀用、お皿用などに分けられて。よく乾燥させた、ひと回り大きい木地を成形していくのです。
撮影/大森忠明 ヘア&メイク/岩井裕季 取材・原文/山崎陽子
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