お金のこと、子育てのこと、“情報共有”が大切だった!もしも夫が働けなくなったら……
夫が病気で働けない経験をしたライター三澤慶子さんに聞く、実体験に基づいた“気づき”とは?
2021.10.28 更新日:2022.11.01
突然の病気やケガはもちろん、長引くコロナ禍で心の病気を患うケースも。30代・40代にも増えつつある「夫が働けない」事態。夫のことはもちろん心配。だけどいざというときのために、どんな準備や情報共有が必要? 経験者へのインタビューから対策を考えます。
脳の病気が理由で、夫が働けない経験をしたライターの三澤慶子さんにインタビュー。実体験に基づいた“気づき”は参考になるはず!
お話を伺ったのは
ライター 三澤慶子さん
雑誌編集者、映像制作を経てライターに。夫は映画評論家の轟夕起夫さん。夫が半身麻痺となり、片手で出し入れができるリュック「TOKYO BACKTOTE」を考案。
![『夫が脳で倒れたら』](https://lee.hpplus.jp/wp-content/uploads/2021/10/28/c44156288922de46b896608a66e83f16.jpg)
太田出版¥1760
脳梗塞で半身の後遺症が残った夫と、手探りながらともに闘った妻の体験記。
日々の生活はなんとかなる。自分の対応力を信じて
7年前、映画評論家、インタビュアーとして活躍中の夫が脳梗塞となり、急に働けなくなったという三澤さん。当時、14歳と11歳の2人の息子もいる中、家計のやりくりや日々の家事、育児にどのように対応したのでしょうか?
「夫婦ともに自営業で福利厚生はないので、最低限の保障をと思い都民共済で掛け捨ての医療保険に加入。夫が発病したらすぐに手続きをして、1週間もたたないうちにお金が振り込まれたので、入院にかかる費用は賄うことができました。生活費は貯金を切り崩しましたが、もともと自営業で夫の仕事にも波があったし、いざというときは私がなんとか稼ごうという覚悟はあって。
ただ想像と違っていたのが、夫の病状が深刻だったことから、介護の覚悟も必要になったこと。しっかりしなきゃと思うのに、介護までこなせる自信はなく、プレッシャーで追い詰められ、体調がどんどんおかしくなりました。この先の家庭は、いかに自分が大丈夫でいられるかにかかっていると痛感して、私の気持ちを優先して考えることに。病院や治療法など私が判断しなければならないことが多かったのですが、最善がわからず迷ったときは、私の心がラクなほうを選ぶ。転院の際も、自分の納得のためにリサーチすることで心が安定しました。
日々の生活に関しても、やることはまんべんなくあるけれど、自分がラクになるように適度に手を抜いて。発病後の数カ月は私の母親に家事をお願いしたり、子どもの学校関係のことはママ友に協力してもらったり。食事も夫が退院した後は体調を考えて時間をさいて作りましたが、お総菜で済ませることがあってもいい。ただ、限られた時間で優先順位をつけて作業することは妻はわりと得意だと思うので、いざというときの対応力を信じてほしいなと思いますね」
夫を受け止め妻も壊れないメンタルを保つ大変さ
現在、夫はリハビリを続けて少しずつ回復し、仕事も再開。今思い起こして最も大変だったのは、“お互いのメンタルを保つこと”だと三澤さんは言います。
「それまでバリバリ働いていた夫は病気になったダメージが大きく、うつ状態が数年続きました。落ち込んだ雰囲気が息子たちに伝播しないようストッパーにならなければと、夫の気持ちをひとりで受けて私も落ち込んで。うつ病の場合頑張れなどと言わないほうがいいし、気持ちを取り戻すのを待つしかない。とてもしんどかったですね。
ここで大事だなと思ったのが、病気になる前の夫婦のコミュニケーションで、私たちは、なんでも言い合える関係性だったので、それはよかったなと。夫が後ろ向きな言葉を発してもそれを受け止めつつ、私もつらいんだと伝えなければこちらが壊れてしまう。四六時中一緒にいて仲よくしていなくてもいいので、我慢せずに、思いを吐き出せる関係であるといいのかなと思いますね」
また三澤さんは夫の発病前から、夫が行ったインタビューの文字起こしなどを担当していたそう。以前から夫の仕事のサポートをしていたことで、こんな気づきが。
「麻痺があるのでうまく取材ができない、作業に時間がかかるなどの不自由はあるのですが、仕上がった仕事の質は発病前も後も変わらなかった。病気になっても、長年続けてきた仕事は、発病前と同じクオリティでできているということに気づき、仕事の手伝いをしていたからこそ、そこは自信を持って伝えることができました。病状や環境で難しいケースもあると思いますが、もし病気で一度仕事を退職、休職しても、復帰できる見込みは十分にある。先が見えると、病気にも前向きに向き合えるのではないかなと思います」
読者にアドバイス
- 「自分」が納得できること、いい状態でいることが大事
- 普段から、我慢せずに思いを吐き出せる夫婦関係を
- 病気後も仕事の質は保てる。前向きに復帰を目指して
詳しい内容は2021年LEE11月号(11/7発売)に掲載中です。
イラストレーション/二階堂ちはる 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
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