番組独自の視点でさまざまなカルチャーを掘り下げて届けてくれるのはラジオならでは。私たちの心に届くのは、作り手の人たちの熱い思いが電波に乗っているからかも。

プロデューサー 小松祐太さん

’13年J-WAVEに入社。’18年より『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のプロデューサーに。11年続く長寿番組のプロデューサーを引き継いで感じていることは「番組が築いてきたものを守らなければというのと同時に、マンネリ感が出ないように常に新しいことに挑戦していきたいです」。

朝、家事の合間や通勤の合間にカルチャーに触れられる番組として聞いている人が多いのが俳優の別所哲也さんがナビゲーターを務める『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』（月曜～木曜6：00～9：00）。短いタームでいくつものコーナーが進んでいきます。プロデューサーの小松祐太さんによると、これも朝の番組ならではの構成とか。

「朝の番組はタイムスタンプの役割があります。また、リスナーは朝の準備をしながら聞いているので、30分枠のコーナーを作っても、コーナーの途中で次の行動に移ってしまい、すべて聞ける人がほとんどいないんです。そのため短いコーナーがどんどん進んでいく構成にしています」

取り上げるカルチャーは美と健康、働き方、音楽など多岐にわたります。取り上げるテーマを決める番組会議には必ず別所さんも参加。

「番組作りにおいて、別所さんがいかに楽しめるかというのはスタッフ全員の共通認識ですね。“この人を呼んだら別所さんが楽しんでくれそう”とか、“この情報なら別所さんに体験してもらったら楽しんでくれる”とか。最終的にリスナーに向けて発射するのは彼なので、別所さんがおもしろがってくれないとよさがうまく伝わらないんです」

別所さん自身が盛り上がったことでリスナーも巻き込んだのが、昨年12月のシンガーソングライター藤井風さんサプライズ出演。

「別所さんが以前から藤井風さんのファンで、スタッフも大好きなアーティストだったので“一日一風”みたいな感じで毎日曲を流してたんですよ。“風、来てくれ！”って生放送でラブコールも送っていて。それが12月になって急遽“行けそうです”とレコード会社から連絡が来たんです。

別所さんにはそのことを内緒にしていたので、藤井さんにスタジオに入っていただいた後は驚きとうれしさで汗だらだらになってました（笑）。リスナーも毎日曲と別所さんの思いを聞いてきたので“よかったね！”と反応してくれて、みんながうれしくなれた出来事です」

毎日自分たちでセレクトした音楽をかけられるのもラジオならでは。

「J-WAVEは音楽を大切にするラジオ局なので、選曲には力を入れています。心がけていることのひとつは、新譜と旧譜をバランスよくかけること。例えばリスナーが“これいい曲だな”と引っかかってもらえるように、新譜の前にはそれが引き立つような旧譜をかける構成にするとか、かなり気を配っています」

番組のコーナーとしても、クラシックやジャズを取り上げる。

「ジャズを取り上げるコーナー『FEEL LIKE JAZZ』は、朝にジャズを聴くといい時間になるのではということで、僕がプロデューサーになって始めた企画です。

大学のジャズ研から渡辺貞夫さんまでジャズが好きなら誰にでも出ていただくコーナーで、朝に聴きたいジャズ、みんなに聴いてほしいジャズを紹介してもらっています。単発の企画からコーナー化したんですが、すごくたくさんの反響をいただいてます」

たくさんの方に番組内で流れる音楽に着目して聞いてもらいたいと小松さん。ほかにおすすめのコーナーとして、美と健康を取り上げる『SUNSTAR PLEASURE PICK UP！』を紹介いただきました。

「食、ヘルス＆ビューティ、エクササイズ＆フィットネスなど曜日ごとにトピックを分けて男性も女性もためになる情報をお伝えしています。

6時半から始まるコーナーなので、本格的に動き出す前のウォーミングアップに聞いていただけるといいかもしれません。別所さんと一緒に体を動かしていただいたり、クイズに答えたり、短い時間で楽しめて、新たな知識も得てもらえるような作りになっています。

また、『J-WAVE NEWS』というオウンドメディアでは、このコーナーで紹介した情報の一部を記事として読めます。

コロナ禍で僕らができるのは、この状況をポジティブに楽しめる情報を伝えていくことだと思っています。オンライン化が進んで取材の幅も広がったので、朝の番組ならではの、聞く人を元気にするような情報をどんどん取り上げていきたいですね」

詳しい内容は2021年LEE3月号（2/5発売）に掲載中です。

撮影／山崎ユミ　イラストレーション／Aikoberry　取材・原文／古川はる香