【ニッポン放送「Creepy Nutsのオールナイトニッポン0(ZERO)」】DJ松永さんが語るラジオの魅力とは?
2021.02.14
毎日多忙で、なかなか新しい情報をインプットをする余裕がない! そんな人にすすめたいのが「ラジオ」。耳を傾けるだけでイキのいい情報と出会えるメディアなんです。
profile
’90年、新潟県生まれ。MCバトル日本一のラッパー・R-指定さんとヒップホップユニットCreepy Nutsを結成。自身もDJバトル世界一の称号を持つ。ワンマンツアー「かつて天才だった俺たちへ」を3月まで開催中。
ステージの上と同じく、2人の掛け合いが冴え渡る90分。ヒップホップに詳しくない人が聞いても、軽妙かつ勢いのあるトークにぐいぐい引き込まれてしまう。火曜27:00~28:30
リスナーになると出演者のすべてを知ってる気に!? この独特の距離感はなぜ?
音楽性だけでなく、ラジオでのトークからもファンを増やしているCreepy Nuts。最近ではトーク力が注目され、バラエティ番組にも数々出演するDJ担当のDJ松永さんは自身もヘビーリスナー。
「最初に聞き始めたのが地元にいた学生時代。TOKYO FMの『WANTED!』という番組で、月曜日をライムスターさんが担当していたんです。そこからラジオとヒップホップが好きになりました。
当時の僕は学校での人間関係や立ち位置を常に気にしていて、深い話をできる相手もいなくてしんどい毎日でした。ラジオとヒップホップという“シェルター”があったからこそ、その日々を乗り越えられたんです。
でも、高校を中退してDJになってヒップホップを仕事にしたら、ヒップホップが楽しくもあるのに、そこで傷ついて嫌な思いもするように。そのときの僕にとって変わらずシェルターであり続けてくれたのが、イヤホンさえつければノイズも届かない別の世界に連れていってくれるラジオでした」
当時から今に至るまで、ずっと聞き続けているのが『オードリーのオールナイトニッポン』。
「ちょうどオードリーがM-1で準優勝した頃で、芸能界で感じる怒りや葛藤をありのまま話されていたのを自分に置き換えられたんですよね。
学生時代に自分が抱えていた悩みが言語化された気がして。あの気持ちが言語化できるということ、さらに同じ境遇の人がいること、笑いにも変えられることに救われたんです」
ライムスターやオードリーに深く心酔した松永さん。それもラジオというメディアのなせるワザなのかも。
「声しか情報がないと、どんな顔で話しているのか、どんな空気感なのかを想像する余白がありますよね。だからこそ自分に都合のいいように想像するところもあって、“これは自分のために話してくれてる”と思ってしまうのかも。
話す側も1時間以上ずっと話し続けるとなると、どうしたって素が出ないはずがない。そこがラジオとリスナーの距離の近さにつながるんでしょうね」
「家では家事をしながらラジオを聞くことも多いですね。ラジオと家事の相性ってすっごくいいですよ!
家事ってやってもやっても終わりがないじゃないですか。せっかくシンクを磨き上げたのに、ちょっとウーロン茶を流して放置していたら茶色いシミが落ちなくなるし(笑)。家事だけやっていると気持ちが沈んでしまいそうですが、ラジオを聞きながらだと一気に楽しい時間に変わります。
おすすめは『安住紳一郎の日曜天国』。特にオープニングのエピソードトークがおもしろすぎる! 『ラジオクラウド』にオープニングトークのみアップされているので、ぜひ聞いてみてください。安住さんが成人式に行ったときのエピソードは最高です。
ダイアンがパーソナリティの『よなよな…月曜日』もいいですよ。あんなかわいいおじさんいない!ダイアンの2人とトークに出てくる関西の芸人さんが好きになります」
松永さんが大きな影響を受けた『オードリーのオールナイトニッポン』もおすすめ。多数のリトルトゥース(番組内でのリスナーの呼び方)が存在するのは、オードリーが“リアル”を見せているからと分析します。
「聞き続けていると春日さんと若林さんという人間の変遷がわかるんです。特に顕著なのが若林さんで、最初は人見知りに悩んで、ゴルフなんかも否定してたのがやがてゴルフにも行くようになり、結婚もしたわけですから。
でも、若林さんのファンは人見知りの苦悩に共感した人も多かったはずで。人見知りがなおったと聞くと裏切られたと感じる人もいるかもしれない。それなのに、そこにしがみつかず、人間としてステージが変わっていくのを隠さない。だから信用できるんですよね。ヒップホップ的にリアルだし、ラッパー的なことをやっている人だなと思います」
松永さんの場合、好きになるラジオ番組とは、ザッピングしていて出会うことが多いといいます。
「自分と波長が合う番組というのがあるんですよ。それを探します。人付き合いでも出会ったときに“この人とは合うな”って感じることがあるじゃないですか。それと同じでラジオも合う・合わないがある。一方的ではありますけど、“この人の言うことって理解できるな、共感できるな”という感覚に近いと思います」
ラジオ番組に感じる合う・合わないは、パーソナリティの人柄ともつながっているのかも。
「(今は友達になった作家の)朝井リョウが以前やっていた『朝井リョウ&加藤千恵のオールナイトニッポン0(ZERO)』が好きでよく聞いていたのですが、あるとき、朝井リョウも僕らが単発でやった『オールナイトニッポン』を年間ベストラジオ番組として紹介してくれて。その後友達になったのですが、最初に会った日は、話していた3、4時間が一瞬に感じるほどでした(笑)」
人付き合いに似ているからこそ、ラジオについて言えることが。
「誰でもひとりは気の合う友達がいるのと同じで、必ず“これは合う”と思える番組があるはず。今は聞く習慣がないとしても、すべての人にラジオ好きになる可能性があるんです。
そしてその番組から、深く好きになれる人やものが見つかるともっと楽しくなってくる。僕みたいに“信者”になるくらいまでいっちゃうと気持ちいいですよ(笑)」
2人のリアルを感じるトーク
’09年よりスタート。内容はトークがメインで、オードリーの2人の“今”が余すことなくうかがえる。「今は“リトルトゥースです”って言うと一定層から支持されるほどの肩書になってますから(笑)。それくらい偉大な番組ですね」(土曜25:00~27:00)
ダイアンにヒーリング効果が!?
月曜~木曜の帯番組で月曜はダイアンが担当。フリートークのほかネタ募集コーナーも。「ダイアンがかわいすぎてヒーリング効果を感じるほど(笑)。関西芸人情報も多く、M-1決勝に出場したおいでやす小田さんもよく名前が」(月曜22:00~24:30)
【特集】ラジオが忙しい私たちのカルチャー欲を満たしてくれる!
詳しい内容は2021年LEE3月号(2/5発売)に掲載中です。
撮影/名和真紀子 ヘア&メイク/藤井陽子 イラストレーション/Aikoberry 取材・原文/古川はる香
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