今年も残すところ、4ヶ月足らずとなりましたが、みなさまにはいかがお過ごしですか。LEE特別編集書籍として出版する『星を味方につける生き方、暮らし方~不安な時代に翻弄されずに私を生きる~』の発売まで、1ヶ月を切りました。
前回の「アシカと吸血鬼の怖い関係」では、ちょっと内容を詰め込みすぎていたのが反省点。役割だけに生きて、太陽を生きていないと、なぜ人からエネルギーをもらおうとするのか、それがわかりづらかったかもしれません。今回は、改めて、この本のテーマである「太陽という私を生きる」ことについて考えてみたいと思います。
「太陽という私を生きる」ってどういうこと? ネパールの出稼ぎ夫婦のエピソードから読み解く
どんな風に説明すると、「太陽を生きる」ことがうまく伝わるのかなと考えていたとき、出会ったのがNHK BS1の番組、『ジャパニ、出稼ぎ村の子どもたち』です。題材としてぴったりなので、紹介させていただきますね。
舞台は、ネパールのガルコットという村と東京。ガルコットでは、昔から日本に出稼ぎに行く人が多く、東京のネパール人にも、この地の出身者がとても多いそう。以前は、男性だけが来日していましたが、10年くらい前からは、夫婦での来日が増えました。と言うのも、在日ネパール人は、お金に縛られています。渡航費用のための借金、東京での生活費、ネパールへの送金。男性だけではこれだけのお金を稼ぐのが難しくなったからで、両親がともに日本で働くガルコットの子どもたちは、全寮制の私立学校か、祖父母の家で育つのだそうです。
密着されたネパール人のご夫婦も、夫は、親戚とともにネパール料理店を経営し、妻はホテルの清掃の仕事をしています。娘のビピシャは撮影時、9歳。ガルコットで暮らしています。父親は、ビピシャに東京で教育を受けさせたいのですが、ビピシャは日本が嫌いです。日本にやってきたビピシャに、大人たちは、日本のよさをアピールするのですが、彼女は騙されません。朝から晩まで、両親が忙しく働いているなか、アパートにこもりきり。学校以外は、テレビかタブレットしか話し相手のいない東京より、滝があって、空が広いネパールのほうがいいと彼女の魂はわかっているのです。
映像の中にはネパールでのビピシャが「仕事を選ばなければ、ネパールでも生きていける。お金はフェイク。ウソの愛で体を売って稼いだり、他にもいろいろ。お金より、あなたを守ってくれる人が必要よ。貧しくても、豊かな心がいい? 心が貧乏でもお金もちがいい? 人生とお金、どちらが大事?」と歌うように話すシーンがあります。もしかしたら、ガルコットのおばあちゃんがそう言い聞かせているのかもしれませんが、9歳の女の子がこんな素敵な言葉を話すなんて、と驚きました。親と離れて暮らすうちに、大人になってしまったんですね。
結局、ビピシャは、東京の大人たちの誘いに乗らず、ガルコットに帰ります。それを後押ししたのは母親です。来日してからの10年、働き詰めで、離れている期間に娘とは溝ができてしまった。父親は、過労から、腎臓移植までしています。役割だけに生きて、少しも幸せでないことを、夫婦が初めて話し合います。
この家族の物語の中で、誰が本当の意味で太陽を生きているかというと、9歳の少女、ビピシャなのです。ビピシャは、親に何を言われても譲らない。「自分は、ネパールに残る」「自分は、ネパールで家族に愛情を注ぐ」「それが自分にとっての幸せ」と決められるのです。その意思の力や自ら愛する姿勢が太陽です。
彼女の母親は、長い間、夫に太陽という意思を預け、夫の希望に従う月だったのだと思いますが、子どもたちと離れるうち、大きなものを犠牲にしてしまったのかもしれないと思うようになったのですね。そして、自分では夫に言えなかったことを娘が表現してくれて初めて、ようやく本音を言えたのだと思います。母と娘は、離れていても、潜在意識でつながっているのですね。母親も、ようやっと太陽という意思に目覚めたのだと思います。
いつだって自分の心に沿った選択を
これは、ネパールだけの話ではありません。日本でも、子どもの頃、周囲の大人たちによってたかって、「こうしたほうがいい」と言われたら、それに逆らえる人がどれだけいるでしょう。大人になっても、親のコントロールに苦しんでいる人は、本当にたくさんいますから。
ビピシャの場合は、子どもの頃から親と離れていたことで、逆に、親の影響をこんなに早く取り去ることができたんでしょうね。外界に影響されない、自立という意味では、自立や変革の星・天王星的でもあるかもしれません。親や社会の影響から離れて、「自分で決める」。自分の選択の基準に外の価値観をもってこない。これが本当に大切だと思います。
愛されるため、親の言うなりになると、自分という存在が空っぽの、虚しい大人になってしまいます。すると、愛が欲しくて、エナジーヴァンパイア的な大人になってしまうという悪循環。本でも書いていますが、人生のどこかでは、他者の期待に応えるだけでなく、自分の心に沿った選択をしないと、私たちは、生きるしかばね、ゾンビになってしまうのです。人から見て素敵な自分、どこかから借りてきたような物語ではなく、太陽という私を生きること。それがこれからの時代を乗り切るヒントになるはずです。
(次回は、10月5日に更新)
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Saya Saya
アストロロジー・ライター
1971年生まれ。おとめ座。現在は、京都で夫とふたり暮らし。雑誌連載のほか、オンライン講座や、ホロスコープ・リーディングのセッションを行う。著書に「星を味方につける生き方、暮らし方」(集英社)など多数。
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