LIFE

新型コロナ緊急特集

夜8時に外で太鼓を叩き笛を吹く…ベルギーの読者が「新型コロナウイルス流行」に感じたリアルとは?#stayhome

  • 高見澤恵美

2020.05.08

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【30代・40代】海外で暮らすLEE世代の一般女性は「新型コロナウイルスの流行拡大」に何を感じているの?(7・ベルギー編)

新型コロナウイルスの流行が私たちの暮らしに大きな変化をもたらしています。海外に生活の拠点を置くLEE読者は、どのような日々を過ごしているのでしょうか? 最終回は、ベルギーで暮らしていた読者のリアルな体験談をお届けします。

■年代:30代
■職業:主婦
■場所:ベルギー
■夫の海外赴任に帯同

(※4月29日《日本時間AM10時30分》までの、読者への取材による内容です)

健康のためのジョギングや散歩で1日一回外出

ーー新型コロナウイルスの流行拡大は、生活にどのような影響を与えましたか?

「テイクアウト、デリバリーを除く飲食店がクローズされると政府からアナウンスがあり、翌週にはロックダウンの宣言がされ、必要な外出は禁止が通達されました。

これに伴い、夫の会社(日本企業)もすべて在宅勤務が義務付けられ、スーパーに行く程度しか外出することがなくなりました」

ーー具体的には、どのような自粛生活を過ごしていますか?

「平日はSkypeで連絡をとったり、打ち合わせをしていました。社員の健康管理のために毎日、朝夕の2回に健康状態を上司に報告を義務付けられました。健康のための散歩やジョギングは認められていたため(家族内or友人1人のみ、警察が見回っているので守っていないと罰金)、1日1回は外に出るように生活していました。

子どもがいる家庭は学校が休校ですので、親が子供に勉強を教えたりしなければならず、苦労しているようです。ただ、会社は社員に対し、仕事だけでなく、配偶者、子どものための時間を確保するよう推奨しているので、在宅勤務の間で皆さん両立させているようです。日本の自己犠牲を伴う働き方とは違い、家庭を大事にする欧州のよい面かなと思います」

妻帰国後、2週間は不要の外出を控えた

ーー日本への帰国はいつ?

「20年4月から私が復職するため、3月中旬に夫以外の家族は帰国。夫は6月末までベルギーにいます。日本政府から待機命令が出る前でしたが、近所の目もあるため、不要な外出は2週間控えました。当然、ご近所様へのご挨拶にも行けず、もどかしい日が続きました。ベルギーで買ってきたお土産のお菓子も渡していいものか悩み、航空便で時間差で届いた安全そうなものを差し上げました。ちなみに、ベルギーからの船便24箱がようやく届いたところで、しばらくは自宅でひたすら荷をとく生活となりそうです」

複数人でスーパーに行ったら罰金

ーー現在のベルギーでの自粛生活の状況は?

「同様の生活が継続されています。夫は、単身の人間として人とのコミュニーケーションを取る時間が大幅に減ったことが1番つらいと話しています。独身の同僚などはWeb英会話レッスンなどのツールを使って、何とか他とコミュニケーション時間を確保しています。

同じ住居で暮らす日本人社員が、4人でスーパーに買い物に行ったところ、警官に職務質問されて罰金を……という話も聞きました。ドローンによる監視もあり、群れて歩くと罰せられます。

夫は年末から美容院に行けておらず、髪がすごく伸びているようです。ジョギングは許されえいるので、単身の自粛生活で肉体改造をしているとのことです」

ーー新型コロナウイルス対策で、日本とベルギーではどのような点が異なると感じますか?

「スーパーではマスク、ビニール手袋、支払いはカード、入場制限、人との距離1.5m以上確保、人々が気を付けているので、日本よりも人から感染するリスクは少ないと感じました。イタリア、フランス、UK、スペインで爆発的に感染が拡がるのを目の当たりにしているので、日本よりも緊張感が格段に高まっているのが理由だと思います」

ーーベルギーでの医療はどのような体制ですか?

「普段、体調不良でかかるクリニックは、普通のマンションの一室にあります。科も分かれておらず、すべて診てくれます。“病院”というと、大きな大学病院を指し、一気に受診のハードルが上がります。普段、体調不良で医者にかかる場合、基本は往診。日本のように子どもが発熱してクリニックに連れていくと、『熱がある子どもを外出させちゃダメ!』と怒られます。子どもの診療で一回40€~60€、医者の言い値と聞いています。加えて、処方薬代がかかります。ただ、転勤でベルギーに滞在中の医療費は、年間1万円を超える額は、すべて会社(日本企業)が支払ってくれるので安心です」

ーーベルギーにおける新型コロナウイルス対策で心配なことは?

「人種差別の少ないベルギーでもコロナと叫ばれた人がいるなど、確実に人種差別は増えていると感じます。WHOが中国寄りの対応しかしてこなかったことを批判する会話が現地社員からも聞こえてくるので、それがアジア人差別の要因のひとつにあると感じました」



ベルギーでは太鼓・笛・拍手で自分たちを励まし合っている

ーー日本に戻って感じたことは?

「正直、この生活を続けていくのはつらいです。周りとの会話も極端に減り、とても閉塞感を感じています。ベルギーでは、毎日20時になると、皆窓の外に出て、太鼓、笛、拍手が2分ほど聞こえます(私が住んでいた場所の近所だけかもしれませんが)。医療従事者やスーパーで働く人に向けて始めたことですが、太鼓や笛など使って賑やかにする人もいるので、自分たちを鼓舞する側面はあるように感じます。そうやって、皆で鼓舞し合いながら、乗り切ろうとする思いが現地では起きています。

日本もそのように皆がひとつになって、乗り切る雰囲気が出てくればよいのにと感じています」

高見澤恵美 Emi Takamizawa

LEEwebエディター・ライター

1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。

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