アートの楽しみ方は自由とはいえ、出会うための心得や飾るときのルールを知っておくと安心。アートとインテリア、暮らしをつなぐプロに教えてもらいました。
アートアドバイザー 奥村くみさんに習う
はじめてのアートとの出会い方 はじめてのアートの飾り方
奥村くみさん
アートアドバイザー。大手ハウスメーカーでのインテリアコーディネーターの経験を生かし、アートの選定や飾り方をアドバイス。著書に『日々、センスを磨く暮らし方』(ワニブックス)。
飾る場所を決めてから探すと
アートとの出会いを逃してしまう
「この壁が寂しいから絵を飾りたい、飾る場所を決めてから探そう、と思っていませんか? でもそうするとむしろ、これ!と思えるものには出会えないのです」
と奥村さん。アートは基本一点もの。用途を決めて探すと、いい出会いを逃してしまうことに。またインテリアにきれいに収まっても、作品そのものに強い思い入れがないと、作家名さえ忘れてしまうことに。
「大事なのはアートを実際に見て、感動するもの、グッとくるものを見つけること。実は、アートは飾る場所を選びません。だからこそ、本当に好きなものを選ぶことが重要なんです」
好みのアートを探すのにおすすめなのが、アートフェアに行くこと。アートフェアとは、たくさんのギャラリーが一堂に集まる催し。東京、大阪、名古屋、福岡などで開催されています。
「一度にたくさんの作品が見られるので、自分がどんなアートを見て魂が揺さぶられるのかを知る、いい機会になると思います。いわゆるギャラリーと違ってお客さんが多く、質問もしやすい。値段もしっかり明記されています。アートビギナーでもリラックスして回れますよ」
アートと出会う、アート暮らす5つの心得
「右も左もわからない」「うちにアートなんて」という人でも、この5つを意識してみると、いい出会いが待っているはず!
1. 「運命の作品」を待たない
待っているだけでは運命のアートに出会えません。出会ったとしても、見る目がなければ素通り……。まずは予算を決め、ギャラリーなどに行ってアートを見る。そして購入して一緒に暮らす。すると感性が自然と磨かれ、心から好きだと思えるアートを見逃すことがなくなります。
2. インテリアに合わせて選ばない
「この壁に横長で緑色の何かを飾りたい」など、インテリアありきでアートを選ぶと、むしろ運命の作品は遠のいてしまいます。大事なのはグッとくるアートを探すこと。それが心底惚れたアートであれば、当初考えていた場所でなくても、家のどこかには収まってくれます。
3. ホテルや公共の施設で感性を磨く
ホテルや公共の施設のアートは、ギャラリーや美術館でかしこまって見るよりも、素直な気持ちでアートに向き合うことができます。ホテルには飾り方のヒントも豊富。絵の下に花を飾ったり、立体作品の上に平面作品を掛けたり。組み合わせやバランスが参考になります。
4. 子どもがいるからこそアート
子どもがいると壊すから、汚すからと敬遠してしまう気持ちもわかります。でも、子どもはとっても素直。幼い頃からアートが身近にあると、身構えることなく、スポンジのような心でアートの発するパワーを感じ取ります。アートは、子どもの情緒を育むいいツールなのです。
5. 買う、飾るを意識して審美眼を鍛える
アートは眺めるだけでもいいけれど、より審美眼を鍛えたいなら、買う、飾るを意識して。「買うならどれにする?」「家にどう飾る?」と、真剣に想像しながらアートを見れば、かなり見る目が育ちます。値段は気にせず、美術館やギャラリー、ホテルで訓練しましょう。
意外と知らない! 額の美しい飾り方
次回は、「はじめてのアートはこのギャラリーで」を詳しくご紹介いたします!
撮影/林 ひろし 取材・原文/小松﨑裕夏
※詳しくはLEE3月号をご覧下さい。
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