他の誰とも似ていない独自の音楽を紡ぎ出す、本格的な“大型新人”として音楽業界で注目されている小袋成彬さん。
あの宇多田ヒカルさんが初プロデュースを手がけたことも話題だ。
![](https://lee.hpplus.jp/wp-content/uploads/2018/04/obukuro24897-1.jpg)
おぶくろ・なりあき●1991年生まれ。R&Bユニット「N.O.R.K.」のボーカルや音楽レーベル「Tokyo Recordings」オーナーとして活躍。2016年、宇多田ヒカルの『ともだち with 小袋成彬』でゲストボーカルに参加。’18年4月にアルバム『分離派の夏』でソロデビュー。
宇多田さんに「この人の声を世に送り出す手助けをしなきゃいけない」という「使命感」を感じたとまで言わしめた才能の持ち主。
内省的な歌詞と繊細なサウンドにのびやかな声が乗り、聴き込むほどに味わいのある作品となっている。
ただ、“新人”とはいえ、実はもともと“裏方”として音楽業界では有名だった。
現在26歳ながら、イキのいい若手が集う音楽レーベルを主宰。多くのアーティストの音楽制作にもかかわり、時には自らもミュージシャンとして活動していたからだ。
2年前には宇多田さんの作品『ともだち with 小袋成彬』にゲストボーカルとして参加して、その名と歌声を多くの人に知られるようになり、今回、満を持してのソロデビューとなった。
「製作期間は約3年。いつ発表すると決めるでもなく、作りたい曲ができたら、勝手に作っていました。
その間に、宇多田さんのディレクターさんから誘いがあり、彼女の曲に参加した。
ロンドンでレコーディングしたんですが、スタジオでさまざまなことを学べるよい機会でした。
そこから具体的にソロとしてデビューする話が始まり、時期が’18年4月と決まりました。
音楽って作り始めるとキリがなくて終わりがない。だから、“締め切り”が決まったからこそ出来上がったともいえますね」
小袋さんは淡々と経緯を説明する。華々しいデビューの瞬間という状況でも、平常心と自分自身を保つブレない精神力が印象的だ。
「裏方としての自分はいい音楽を作ることと売ることを同時にこなさなければならなかった。
でも、今回は宣伝をレコード会社がやってくれるから、僕は音楽家として音楽に没頭できる。
ただ、僕はテーマを設定して曲を作るタイプではなく、インスピレーションが生まれたら、それを曲として形にするタイプ。
26年の人生の中で見つけた種を育てて凝縮させるわけですから、やはり苦しいと思ったこともありますよ」
完成までの間、曲作りで迷ったら、宇多田さんに意見を求めた。
小袋さんと宇多田さんには作詞作曲から編曲まですべて自分自身で行うアーティストという共通点がある。
この共通点は重要で、ロンドンに住む彼女と主にメールでやりとりして、参考になる意見や提案をもらったそうだ。
元野球少年で、今も草野球によく参加している。本好きでもある。野球や本の話になると柔和な笑みがこぼれて、素顔が垣間見えた。
「僕は“死んでる人”の作品が好きなんですよね。いわゆる古典。言葉遣いがしっくりくるというか。
ただ、最近、知り合いがよく現代作家の本をすすめてくれるので、読むようにしています。頑ななわけじゃなくて、リコメンドされたら、僕、ちゃんと読んでみるんですよ。
現代作家では以前から浅田次郎さんが好きで、特に『日輪の遺産』はすごくよかったです」
作品タイトルや歌詞については「聴く人に委ねたいから」説明しない。
淡々とした中に熱いものを秘める眼差しが魅力的な、小袋さんの今のすべてが詰まったデビュー作。聴かずにはいられない。
ミュージシャン兼プロデューサーの小袋成彬のソロデビュー作。
文学的な歌詞と繊細なメロディ、のびやかな声質で早くも音楽ファンの心をわしづかみに。
パーソナルな世界観を追求することによって生まれた、時代や世代を超える普遍性が魅力。
宇多田ヒカル初プロデュース作品としても話題。
(ソニー・ミュージックレーベルズ/EPICレコードジャパン)
撮影/キッチンミノル 取材・文/中沢明子
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