土曜は朝から、息子と映画デートでした。
今月号のLEEの中のほうの、カルチャーページにも載ってましたよね!関ジャニ∞の丸山隆平くんの主演映画「泥棒役者」。初日に見てきました。
・・・実はわたくし、大好きなんですよ。ウフフ。
(先週あったLEEのパーティーで、編集部の方に「モノクロページじゃなくてカラーページに載せてくださいよぉぉぉ」と泣きついた気がします・・。普段飲みなれないお酒のせいです、失礼いたしました。。)
ってことで、珍しく2人で電車に乗って、桜木町のブルク13へ。
(たった数分の乗車なのに、携帯ゲーム機を取り出すんじゃないよ・・。)
本当は封切り直後の平日、息子を学校に送り出してから、ひとりでゆっくりまったり観に行こー♡・・と思ってたんですが。息子が「おれも絶対見に行きたい!」と言いだしたので、せっかくなら初日に一緒に行くか〜と思いまして。なぜか息子も好きなんですよね。
普段なら土曜の午前中なんてグダグダの息子ですが、楽しみだったらしくて「ママ!テレビにマルが出てるから起きな!!」と叩き起こされる始末。寒い朝だから、惰眠を貪っていたというのに。。
しかも1時間半も前に映画館に着いちゃった。発券してから駅前のアンデルセンカフェでトーストを食べました。
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泥棒役者は、とても良い作品でした。自分が主演のファンであるということを差し引いても、余りあるほどいい映画だったと思います・・!
(ナラタージュの時も思ったんですが、ストーリーの核心に触れずにその作品の魅力を伝えるのって難しいですね。。)
丸山くん演じる主人公は、元泥棒。親を亡くして施設で育ち、友達もいなくて、寂しい子供時代をすごした子です。寄る辺ない心を抱え、中学くらいで一度ふらっと道をそれてしまった。手先が器用で鍵開けができたので、不良の先輩に頼まれて盗みの片棒を担ぎ、少年院に入っていたという暗い過去があるのです。
今は器用さを生かして、溶接工場で真面目に働いています。明るく可愛い彼女(高畑充希ちゃん)と一緒に暮らし始め、それはもう、陽だまりのように暖かい日々。
そんな彼女の誕生日を祝おうと、デートの約束をするんですが。彼女よりも先に待ち合わせ場所に現れたのは、なんとかつて彼に泥棒の片棒を担がせた、おっそろしい先輩(宮川大輔さん。この脅しがもう、めっちゃ怖いんです!!大阪育ちで関西弁に慣れてるのに、縮み上がったくらいです)。
恋人に後ろ暗い過去をバラされたくなければ、盗みに入るのを手伝えと脅されます。
先輩が目をつけたお屋敷に連れて行かれ、苦渋の選択で鍵を開け、盗みに入ったのですが・・。先輩に金庫を開けるよう促され、躊躇している間に、玄関に入ってくる者が。
来訪者は、油絵の教材セットを押し売りに来たセールスマン(ユースケ・サンタマリアさん)。主人公は屋敷の主と勘違いされてしまいます。その場で話を合わせてなんとか追い出したのも束の間、ここから先は、泥棒たちにとって一難去ってまた一難の連続。
お屋敷の主である絵本作家(市村正親さん)からは新人編集者だと思い込まれ、その編集者(石橋杏奈さん)には絵本作家本人だと勘違いされ。おそらく背中に脂汗をかきながら、相手の思い込みをうまいこと利用して、なんとかその場を切り抜けようとする泥棒。
はたして、彼は無事に屋敷を抜け出し、恋人の元に帰れるのか・・・!?
というようなお話です(ここまでおそらく15〜20分ほどです)。
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ネタバレしない程度に、印象に残ったことを。
やさしくて気の小さい、かわいそうな泥棒の男の子。大人なのに、冒頭では男の子という印象でした。脅されているとはいえ、あまりにやることが短絡的で幼いというか・・矯正施設で厳しい説諭を受けた経験があるにもかかわらず、わりとあっさり人の家の鍵を開けてしまうことに、ちょっとびっくり。
でもそこに妙なリアリティがあって、いったいこれは、なんなんだろうなと。
そう感じたのはきっと、自分が男の子の親だからなんだと思うのです。
この主人公の子ども時代には、いずれ大人になるであろう彼の将来を、本気で心配して「いけないことは絶対にいけない」と愛情を持って叱る人がいなかったんだなあ。そして自分を大事に思ってくれる、愛する人を悲しませるということがどういうことなのか、想像できなかったんだなあと。
世間の厳しい風にはこれでもかというほどさらされても、そういう意味での痛い目に遭ってこなかったから、ある種の欠落があるのです。こんなに機転の利く、根が素直で温かい子なのに、かなしい。してはいけない悪いことだと「知って」はいるけれど「わかって」はいない。
あどけないと言えるほどの笑顔で「そうですぅ〜」と人を騙そうとするんだけど、見ていてちょっと物哀しい。そういう独特のフワッとした切ない空気感みたいなものを、よく出してたと思います。(西田監督もマルもすごいぜ!)
それから、市村さん演じる絵本作家と、主人公の関係性について。
物語のわりと序盤でわかることなのですが、実は主人公は昔、絵本作家のヒット作「タマとミキ」の愛読者でした。施設で友達もできず過ごした子ども時代に、何度もその作品に勇気付けられたことがあったのです。
そして、ある理由で絵本作家は行き止まりの状態になってしまっており、そこから前に進めないでいます。彼もまた、ある欠落を抱えたまま動けずにいるのです。
さきほど触れたように、序盤はずっと男の子の親目線で見ていたと思うのですが・・ある時から、私はこの作家にいちばん感情移入して見ていました。たぶん、似たような行き止まりで立ち尽くしたことがあるからかもしれません。
鈍く痛くて、それなりに心に刺さる部分でした。
でも不思議なことに、追い詰められた時、それまでの人生で誠実に大切にしてきたものが、今度は自分を助けてくれるものなのです。まるで恩返しのように、奇跡のタイミングで。
もしかしたら後付けで、心の持ちようなだけかもしれないけれど。そんなふうに暗がりを照らす小さな光を見つけたことのある人には、なにかしら響くものがあるでしょう。
まだそうなっていない人も、今後もしそこに陥った時に、きっと光を見つけて抜け出すことができるという希望になるかもしれない。こんな美しい魔法が、それぞれの違う形で、もしかしたら自分にも届くのだと。
優しい童話のような映画でした。
傍で最後まで見ていた息子、「よかった」というシンプルな感想でニコニコしていましたが。あの時この映画を見てどんな風に思ったのか、数年後ちょっと成長したら、もう一度くわしく聞いてみたいな。
(絶対に、息子が大きくなるまで不慮の事故や病気でうっかり死なないようにしなきゃ。そして大人になった暁には、高畑充希ちゃんみたいな可愛い恋人が太陽みたいに現れてくれますように・・)
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しかし、ちょっとショックなことが。実を言いますと・・。同じ日の夜、たまたま試写会の券が当たったもんで、菅田くんと桐谷さん主演の「火花」を見に行ってしまったのです!!
絵本と劇画くらいジャンルが違うので、どっちが良かったとは一概に言えないんですが。
後に見たのが「火花」のほうだったもんで、もう、そっちのインパクトが強烈に残ってしまってて、「泥棒役者」の方のやさしくあたたかい余韻が吹き飛んでっちゃって・・(涙)
こんなにマルを好きなのに、直後はもう、桐谷健太の方のモジャモジャ頭しか頭に浮かんでこなかったです。。ひどい!(笑)
すごく不思議なことに、この数週間、映画の宣伝やら新曲リリースやらでいろんなテレビ番組に出まくってる丸山隆平や関ジャニ∞を見かけたにもかかわらず、映画見ているあいだ、そっちの気配を全く感じませんでした。。どこいったんだろー。あれ、ほんとに同じ人なのかな。痩せたり太ったりしたのかな?
ナラタージュの時は、オーラを消してるとは言えど、気配はたしかに松潤の独特の、色気のある感じだったのになあ。
・・・確かめに、もっかい観に行くかな。。
yuki*
39歳/夫・息子(11歳)/手づくり部、料理部/横浜在住、大阪出身。港が見えそうで見えない丘の上の古い一軒家で、息子と年上の旦那さんと猫のリサと一緒に、楽しく暮らしています。本とラジオと美しい布が好き。がま口のお店をやっています。一度しかない美しい日々を、あたたかく綴りたいと思います。Instagram:@yukiiphone
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