運動会の代休日に、息子氏を連れて六本木ヒルズへ。
「PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス」を見てきました〜。
入り口で出迎えてくれるのは、子どもたちのヒーロー!バズ・ライトイヤー様。並んで記念写真を一枚。
息子氏は発語が遅かったんですが、ことばが出始めてからもなかなかうまく言えず、長いことバズを「バイバイヤー」ウッディを「ウッビー」と呼んでいました。大きくなったもんだ・・・。
母としては、懐かしい時代を支えてくれた友と再会した気持ちです。。
さて、この展示の副題は「いのちを生みだすサイエンス」ということで。
ピクサー映画に登場するキャラクター達、設定は非現実的でありながら(だって車とか、魚や昆虫やモンスターの場合もありますからね)、みんな実に豊かな表情を持ち、リアルな動きをしますよね。
キャラクターのひとつひとつに命を吹き込むために、誕生から完成までにどんな工程をたどっていくのか。デモ映像を見てから、実際にシミュレーションマシンを使ってひとつひとつ体験し、その科学の秘密をひもといていくわけです。
例えば、こんな感じに・・・
こちら、トイ・ストーリーのジェシー。まゆ、上まぶた、下まぶた、眼球にいくつかの点があり、それを動かすことで表情を変えるというもの。怒った顔にしたかったらしいけど、ジェシーのこんな表情見たことない・・・(笑)なんとも言えない!!
リギングという工程です。バーチャルな筋肉や関節をつくり、動きを設計するというもの。
こちらもリギング。それぞれのキャラクターに合った関節を選び、動きを作っていきます。インクレディブルファミリーですかね。手が伸びる能力を持った人物には、長〜い腕のリグを選んで設計します。
これらはちょっと複雑だったけど、次のはわりと簡単。サーフェイスです。
カーズの、ボンネットをカスタマイズするもの。ペイントしてロゴを入れて、サビツヤなんかの質感を追加するといった感じ。これは、未就学の小さい子でも楽しめそう。
セット&カメラの工程では、バグズ・ライフの虫の目線を体験・・!
じーっ。
セットの隙間においたカメラを上下に動かし、虫の角度からものを見るわけです。
それから、今度は実際にキャラクターを動かすアニメーションの工程へ。
モンスターズ・インクのマイクの、手の振り方を調整。
パンフレットには「アニメーターがキャラクターに演技をつけ、ストーリーに命を吹き込む」ということを書いてありましたが、たしかに。キャラクターの性格や感情と、ストーリー上のTPOに合わせて、手の振り方ひとつも変わりますよね。生身の人間なら、俳優が脳で考えて消化し、個々で作っていく動きの部分です。大事〜。
さて、シミュレーションの中で、息子が一番熱中したのがこちら。
コマ撮り体験ですね。ピクサー映画に必ず出てくる、電気スタンド(ルクソーJr.)を動かして、24コマのアニメーションを作ります。途中小さい子に替わってあげましたが、何回も撮り直していました・・(笑)
出来上がった映像はとんでもなくぎごちない動きになっていましたが、絵が動くというアニメーションの原始的な仕組み自体はよくわかったようです。
このへんは、朝からやってる「なつぞら」ともかぶるテーマなので、もし朝ドラを見てアニメーションに興味を持った子がいたら、おすすめです。実際にコマ撮りを体験できる機会なんてなかなかないんで・・。(もしかして、今はスマホとかで簡単にできるのかな。)
終盤では、ライティングを熱心に体験していました。照明デザインです。
インテリア照明と太陽光のバランスや色味を変えて、昼夜や時間の経過などを表現する部分。
カールじいさんの家ですね。
奥さんが生きていた頃の場面は、暖かい家庭の雰囲気を出すライティングに設定していたそうですよ。カールじいさん見てないなあ・・・。
ほかにも幾つかの工程やワークステーションがあり、ここで紹介したものは一部です。
ちなみにピクサー作品ですが、息子氏はカーズもニモもパパと見たみたいですが、私はトイストーリーくらいしか見ていません(笑)アニメは日本のものの方が好きです。が、今回の展示でちょっと興味が出てきました。
今回、たまたま他の用事もあり休みを取った旦那さんも一緒に行ったんですが、大人の男性でもかなり楽しめたようです。
「アニメーション関連の展示イベントといえば、単に過去の歴史をなぞるとか、これまでの作品群をただ平坦に眺めるような展示が多いので、そういう先入観を持ちがちだけれども、たいへん科学的でインタラクティブなものだった。理科の実験に近い要素がある」とのこと。大絶賛じゃないですか!
息子は工程を移るごとにワークステーションでの実験に夢中でしたが、じつはマシンの前には必ずモニターがあり、そこで工程について説明する映像が流れているんですよ。ピクサー・スタジオで実際に、その工程を担当している人が語ってくれるわけです。
繰り返し流れる、短い映像なんですけどね。照明なら照明、造形なら造形の担当者が、その仕事の面白さややりがいも含めて、実に楽しそうに、生き生きと話してくれるんです。プロフェッショナル仕事の流儀的な・・・この面白さは、大人しかわからないものかもしれない。
旦那さんは、この映像がとても良かったと言っていました。私は会社で働いていないけれど、これの面白さはわかりました。
集まったそれぞれの技術者が、大勢で何か一つの理想を実現するために、伸び伸びと個々の能力を発揮することのできる、夢の工場というやつです。旦那さんもそういう感じの理念を持つ会社(たぶん)で技術者として働いている人なので、きっとどこか重なるところがあるんだろうなと思いました。
息子が小6にもなると、もう平日に家族3人で出かけられる機会なんて滅多にないんですが、貴重な代休日にこの展示に行けて本当に良かったー!
森タワーの52階から・・・
「助けてくれーい!」のポーズをとる息子氏。大きくなったもんだ。
そうだ、このことも一応書いておこう。需要があるかどうかはわからないけども・・・
今回、月曜だったせいか、とにかく未就学の子達が多かった!手段が目的になって、途中から行為自体が楽しくなっちゃって、やたらめったらにボタンを押しまくる感じ。超懐かしい〜〜。
息子氏はかなりその期間が長かったんですが、やっとそれを脱して、展示物の意味や意図を汲み取って、そこから自分で何かを発見できるようになりました。ううっ。苦節11年・・・!長い道のりであった(涙)
というようなことをインスタに書いたら、今まさにその時期の真っ最中だという元隊員のお友達からコメントがありました。母としては実際、どこまでそれを見守ってよいものか、止めた方がいいのか・・・というようなことを思っている様子。ですよね、わかる!わかるよそれ!
いつか終わると思うけど、終わるまでは本当に大変です。
自分はそういう感じの子の親だったから、よその小ちゃい子がボタンを押しまくってても懐かしさに微笑むけども、真っただ中の人は周りの目も気になるだろうし、どうして意図を汲み取ってくれないのか、または自分の育て方になにか問題があるのか・・なんて、いろんなことで悩むもんですよね。
でも、小さい子は、小さいんだから、手段が目的になってもしょうがないです。それだけ、いろんな部分が未発達だってことです。
展示物から意図を汲み取れるようになるには、それに必要な脳の中の無数のパーツが、全部ある程度育たないといけないんですよ。
たくさん人のいるところで落ち着いて目の前のものに集中する能力、いろんな音のする中で必要な音だけを拾う能力。二つ以上のものを交互に見る能力。他にもいろいろです。多くの条件が揃って、連動して、はじめて展覧会を楽しむことができるんだなあ・・と思います。
その発達の遅い早いは、もう本当に様々です。ばらつきのある子もいるし、すんなりと行く子もいますが・・・息子氏は、今もやっぱり手段が目的になりがちなどころがあります。それでも、ずいぶん成長しました。最近、それをとみに実感しています。
例えばうんと小さい頃、絵本を読んであげたような時、息子氏は話の内容や絵よりも、ページをめくるという行為の方が好きでした。書いてあること全く無視で、キャハハと笑って次々めくってしまうから、絵本が10秒で終わってしまう!(笑)
本さえ与えておけばいつまでも一人で読んでいた自分の子供時代とはえらい違いで、ずいぶん悩みました。
悩んだ末に、途中からはもう、気の済むまでめくらせておきました。が、公共の場所では周りの迷惑や人目もあるし、わりとすぐに制止していた気がします。
しかし、そんな息子氏にも、ちゃんと時期はきました。人よりはだいぶ遅かったけど。
横について一緒にやりつつ意図を説明して、手段が目的になってきたらやめさせて・・。一段一段、階段を登るように少しずつ、いつのまにか持続時間はのびてゆきます。
そうやってインプットがある程度落ち着いてできるようになったから、今度は上手にアウトプットできるようになるのが今の目標です。
自主学習ノートには、今回の展示を振り返り、
「ぼくはリギングとアニメーションの2つの工程に最も興味を持ちました。アニメーションは自分の想像していたものと同じだったけれど、リギングは思っていたものとは全く違っていました。外から見えない筋肉や関節も考えて作っていたからです。」
という感想を記録していました。
こっそり見て、泣いたよ母は! 絵本を10秒で終わらせてた、あのちいちゃい、いつもバネ仕掛けみたいに落ち着きのなかったあの子が!(涙)
パーツが揃うのが遅いか、早いかは人それぞれです。得意なことも、苦手なこともあります。もしも最後までどこかのパーツが育たなくても、他の部分でカバーしてまかなっていく方法だってあります。そうやって生きていくのです。
たとえ何か不格好でも、皆でそれを笑ったり見下したり追い出そうとしたりするような、不寛容な社会はいやですよね。一方で、痛い目にあったなら、その分努力して改善しようとするだろうし、またうまくできないひとに対して寛容になれる。・・という考え方もできます。
自分もどちらかというと、苦手なことも嫌いなものもたくさんある、生きづらい方の人間です。この歳になっても葛藤したり、転んで学んで得たりすることも多い中、よその親御さんがやってることにいろいろ意見なんて言えません・・・(何かよほど周りに対してズルいことや見苦しいことをしてたら別だけど)。
見えてる部分は一部分であって、みんな毎日それぞれに必死なんだもの。
ボタンを押しまくるのを止めたら、人に合わせることや、公共のルールを学ぶことを教えられるでしょう。止めなければ、楽しい気持ちを出し惜しみせず、ものおじしないで伸び伸びと何事もやることを教えられるでしょう。どっちが絶対に正解とかはないんじゃないかと。
どっちにしても、放置しないで見守ることは大事だけど、親が心底こどものためを思ってやってることには、必ず何かしらの意味があります。あると信じてます。
そういうわけで、おまけがずいぶん長くなっちゃったけど。
父、母、息子の三人家族。三者三様の楽しみ方ができるイベントでした!
yuki*
39歳/夫・息子(11歳)/手づくり部、料理部/横浜在住、大阪出身。港が見えそうで見えない丘の上の古い一軒家で、息子と年上の旦那さんと猫のリサと一緒に、楽しく暮らしています。本とラジオと美しい布が好き。がま口のお店をやっています。一度しかない美しい日々を、あたたかく綴りたいと思います。Instagram:@yukiiphone
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