【「賛否両論」店主・笠原将弘さんの1点豪快弁当】好きなものだけを詰めて作る父さん弁当!「サケのカレー照り焼き弁当」レシピ
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笠原将弘
2023.03.17
お弁当、もっと気楽にいきましょう! とにかく大好きなおかずをドカンと詰めれば、作るのラクチン。食べるほうも大満足。「色合いや栄養バランス、バリエーションより、ご機嫌におなかいっぱいになってくれるのが、一番!」
弁当は、好きなものばかり詰めていいと思うんです
東京・恵比寿で人気の和食店「賛否両論」を営み、雑誌やテレビでも活躍する笠原さん。現在高校3年の息子さんが高校に入学するときに「お弁当を作ってほしい」とリクエストを受け、週5日のお弁当作りが日課になりました。
実は笠原さん自身、高校1年生のときにお母さまを亡くし、一時期は“父さん弁当”を作ってもらっていた経験があります。そんな思い出のお弁当は、焼き鳥や鶏の唐揚げ、つくね照り焼きなどがごはんの上にたっぷりのった、まっ茶色のお弁当でした。
「父は焼き鳥屋を営んでいたので、店の残りものがぎっしり詰まっていました。あとは、大好きな甘い卵焼きも。東京生まれなので、お弁当にはやっぱり甘い関東風の卵焼きが欲しいんですよ。これはうちの息子も大好物で、弁当には必ず入れています。
仕事で弁当を手がけることもありますが、弁当に関する考え方は家でも基本的には同じです。ただ、子どものための弁当は、好きなものだけ詰めておいしく食べてくれればいいんじゃないか、とは思いますね。栄養のバランスなんて、朝と晩も合わせて考えればいいんですから。
リクエストもけっこう聞きますよ。自分は白いごはんにおかずの味がしみているのが好きだけれど、息子はそれがあんまり好きじゃない。だからちゃんと別に詰めるようにしているし、ふりかけも振る。『おかず同士がくっついているのは苦手だから、カップで仕切ってほしい』と言われれば、自分としては見た目がちょっとどうかな、とは思いながらも(笑)、息子の意見を取り入れています」(笠原将弘さん)
\個人的には、ごはんにおかずがしみたのが好き/
食べ盛りへのお弁当なら、ごはんを全体に敷き詰めて。「メインを入れる部分だけちょっと浅めにしておくと、きれいに盛りつけられます」(笠原将弘さん)
毎日、店の営業は夜遅くまで。それでも早起きをし、お弁当作りを続けられる秘訣は?
「必ずルーティンを決めることですかね。私の場合は、まず米をといで、炊飯器のスイッチを入れる。この時点では、まだ頭はぼーっとしています。それから卵焼きに取りかかる。毎日作っているものだから、頭を使わなくても手が勝手に動きます。卵焼きを作っているうちに、だんだん頭もはっきりしてきて、今日のおかずは何を作ったらいいか、効率のよい段取りなどを考えます。
でもね、疲れていて弁当を作れないことだってありますよ。寝坊して、肉を炒めてのっけるだけの日もあります。でも、それでいいと思うんですよ。あまり無理するのはお互い負担でしょう。時間がないときは、冷凍食品を使うのだってありだと思うし。息子はありがたいことに、学食よりも私が作った弁当が食べたいと言ってくれる。そこは素直に喜んで、でもあんまり気負わないことが続けられる理由ですかね」(笠原将弘さん)
お弁当を作っていて、うれしいこと。それは息子さんの言葉。
「時々だけど『今日、うまかった』って、LINEを送ってくれることもあるんです。『友達に分けたら、うまいって言われた』とかね。うん、それはやっぱり、うれしくなりますよね」(笠原将弘さん)
笠原さんのリアルお弁当
「息子は“白いごはんだけ”は好まないのでふりかけを。でも、白い部分だけはちょっと残して」(笠原将弘さん)
「大好物のエビチリを入れています。メインがなんであれ、甘い卵焼きは必ずこの位置に」(笠原将弘さん)
「息子はエビが好きなので、この日もエビですね。冷めてもおいしいのもいいところです」(笠原将弘さん)
「青ノリを衣に混ぜたフライ、焼き魚、炒め物など。野菜なんて、家で食べればいいんですよ」(笠原将弘さん)
「この日はブロッコリーが入っていて彩りがいいですね。メインは白身魚のフライです」(笠原将弘さん)
「ネタがないときに登場する、奮発バージョン。ステーキは、焼くだけなのでラクなんですよ」(笠原将弘さん)
サケのカレー照り焼き弁当
カレーの風味と、ほんのり香るにんにくがたまらないメインの照り焼き。この味つけは、鶏肉や豚肉など、どんなものにも応用がききます。「ミニトマト卵炒めは、最初にトマトの断面を焼いて、水気を飛ばしましょう。卵を入れてからはあまりいじらず、大きく混ぜる程度でさっと炒め合わせると、余計な水気が出ません」(笠原将弘さん)
材料
- ごはん、きゅうりの漬け物……各適量
【サケのカレー照り焼き(1〜2人分)】
- 生ザケ切り身……2枚
- 薄力粉……適量
- A)
- にんにくのすりおろし……小さじ1/2
- 酒、みりん……各大さじ2
- しょうゆ……小さじ2
- カレー粉……小さじ1
- サラダ油……大さじ1
【ごぼうと長ねぎの黒こしょうきんぴら(作りやすい分量)】
- ごぼう……80g
- 長ねぎ……1/2本
- 白いりごま……小さじ1
- 黒こしょう……少々
- A)
- 酒……大さじ3
- しょうゆ……大さじ1 1/2
- 砂糖……大さじ1
- ごま油……大さじ1
【ミニトマト卵炒め(1〜2人分)】
- ミニトマト……小10個
- 卵……2個
- A)
- 砂糖……小さじ2
- 塩……小さじ1/2
- サラダ油……大さじ1
作り方
【サケのカレー照り焼き】
- サケはそれぞれ3等分に切って薄力粉をまぶす。
- フライパンにサラダ油を中火で熱し、①を両面カリッと焼く。
- フライパンの脂をキッチンペーパーでふき取り、混ぜ合わせたAを加えて煮からめる。
【ごぼうと長ねぎの黒こしょうきんぴら】
- ごぼうはささがきにして、水でさっと洗い、水気をきる。長ねぎは斜め薄切りにする。
- フライパンにごま油を中火で熱し、①をしんなりするまで炒める。Aを加えて炒め合わせ、白ごま、黒こしょうを振る。
【ミニトマト卵炒め】
- ミニトマトは横半分に切る。
- ボウルに卵を割り入れ、Aを加えてよく溶き混ぜる。
- フライパンにサラダ油を中火で熱し、①を断面を下にして焼く。焼き色がついたら②を流し入れ、炒め合わせる。
教えてくれたのは
笠原将弘さん
日本料理店「賛否両論」マスター。一男二女の父。「一時期は、息子のお弁当作りのついでに上の娘ふたりの分も作っていました。少しずつ、ごはんのお供なんかも変えたりして」(笠原将弘さん)。『笠原将弘の毎朝父さん弁当』(KADOKAWA)など著書多数。
Instagram:sanpi.ryoron
Twitter:m_kasahara
公式サイト:https://www.sanpi-ryoron.com/
【特集】母さん、父さんのラクしてつづく一点豪快弁当
撮影/豊田朋子 スタイリスト/朴 玲愛 取材・原文/福山雅美
こちらは2023年LEE4月号(3/7発売)「母さん、父さんのラクしてつづく一点豪快弁当」に掲載の記事です。
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笠原将弘
日本料理店「賛否両論」マスター
一男二女の父。『笠原将弘の毎朝父さん弁当』(KADOKAWA)など著書多数。