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LIFE

上紙夏花

フィンランド風「子育ての不安を解消する〝育児ボックス〟を届けたい!」【社会人2年生が第1弾おくるみをクラファン】

  • 上紙夏花

2021.10.02

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夢は日本で生まれた赤ちゃんみんなに「育児ボックス」を届けること

こちらはフィンランドの育児パッケージの中身の例。ジェンダーや環境に配慮した、寝具や衣類、おくるみや爪切りばさみや歯ブラシなどなど約50点をボックスに入れて贈られている。

 

みなさんはフィンランドの「育児ボックス(育児支援パッケージ)」をご存じでしょうか?フィンランドでは、赤ちゃんが生まれると政府から、約50種類の育児グッズの詰め合わせボックスが無料配布されます。このボックスを受け取れば、赤ちゃんのお世話をスタートするにあたって困ることはないだろうと思うくらい、充実した内容。こちらの育児ボックスを受け取るか、170ユーロ(日本円で約22,000円)の出産給付金のどちらかを選択することができるのだとか。このラインナップを見れば納得ですが、第一子を迎えるほとんどの家庭が育児ボックスを選んでいるそうです。

 

外箱は中身を取り出して、寝具を入れると簡易ベッドにもなるそうです。

 

「このような育児ボックスを、日本の赤ちゃんにも届けたい!」と立ち上がった社会人2年生の女性たちがいます。m’s choiceのmisaho さんとmisakiさんです。京都にある大学の同級生だったふたりの出会いは、サークルの新入生歓迎会でした。同じサークルで活動し、同じパン屋さんでアルバイトもしてきた仲良しさん。海外旅行が大好きで7か国(タイ、バリ、ハワイなど)に一緒に旅行したりと充実した大学生生活を送りました。

 

左からmisahoさん、misakiさん。まるで姉妹のように息ぴったりのおふたり。

 

看護師と助産師の資格を活かして医療機関に就職したmisahoさんと、大学で心理学を学んで一般企業に入ったmisakiさん。昨年、社会人になって一年めに新型コロナウィルスがまん延し、社会が大きく変化。特に初めての出産をしたお母さんが地域のコミュニティなどに参加できない状況が続き、子育てについての情報が届きにくく、お母さんが孤立しがちになることが気にかかっていたと言います。

 

何か自分たちにできることはないかと話しているうちに、misahoさんが助産師の勉強中に知ったフィンランドの育児ボックスを思い出し、コロナ禍で孤立しがちな産後のお母さんたちを支えたいという想いが生まれたそうです。

 

育児ボックスへの第一歩はおくるみ

 

「昨年の5月、ふたりで何かできないかと話し合ったその日に、育児ボックスを作ることを決めました。日本中の赤ちゃんの家庭に届けたいと今年の8月にクラウドファンディングをリリースしたんです」とmisahoさん。

 

大学時代にmisahoさんが助産師の勉強中に、フィンランドの育児ボックスのことを知ったそうです。日本にも育児ボックスがあればいいのにと思ったことがずっと心に残っていたそうです。初めからフィンランドのように、50種類もの育児グッズを集めるのは難しいですが、育児ボックスの第一歩としてふたりが選んだのは『大人になっても使える、おくるみ〟でした。

 

「昨年10月頃から今年の1月頃までの約4か月に渡って、京都の子育て支援のNPO法人やベビーマッサージ講師の方にご協力をいただき、子育て中の方を対象に市場調査を行いました。100名の方にご協力をいただいたところ、〝子どもが1歳になるまでに購入した、または使ったことがある物〟として、約8割の人がおくるみを挙げていたんです」とmisakiさんは語ります。

 

おくるみは使ったことがある人が多いけれど「巻き方がわからない」、「おくるみ以外の使い道がない」、「生後すぐしか使わなかった」などというマイナスな意見もあり、これらの課題を解決できるよう、おくるみのイメージを一新する新たなおくるみを製作したいとふたりの活動はどんどん加速していったそうです。

 

「心を包む」京都の風呂敷との出合い

 

 

「まずはおくるみ!」と心が決まったおふたり。その彼女たちが住む京都に、偶然素敵なおくるみがありました。丸和商業という風呂敷屋さんが、風呂敷で作ったおくるみをイベントに出品しているのを見つけたのだそうです。丸和商業は半世紀もの間、「風呂敷は心を包む道具」という理念のもと、京都で伝統的な風呂敷から現代のライフスタイルに合った風呂敷を幅広くを販売してきた企業です。京都らしさを感じられる風呂敷×おくるみに込められた想いは、 m’s choiceの目指すものと通じるところがあったため、一緒に京都発のおくるみの製作をスタート。

 

さらに、プロダクトデザイナーの福定良佑さんのほか、伝統産業を支える企業の商品開発を支援する、WGD京都(World Good Design 京都)コーディネーターの久藤美智子さんが加わり、「きょうくるみ」の開発が行われました。

 

染色は赤ちゃんが口に入れても安全な、世界最高水準の「エコテックス」を使用。パッケージの裏面は日記帳として、100日間の成長の記録を残すことができます。フィンランドの育児ボックスに習ったサスティナブルな設計ですね。

 

「きょうくるみ」に込められた想いは「京×今日×共」の3本柱。

・育児ボックスやきょうくるみを京都から全国に拡めていきたい「京」

・今日という日を明るく楽しい一日にしてほしい。子どもの今日しかない成長を見守りたい「今日」

・子ども、親、社会はそれぞれが独立している存在だが、共生し合って子どもを守りたい。様々な人の思いや協力があって一つのおくるみができている 「共」

 

デザインは2種類で3色ずつの展開です。「ROUTE」と「MEMORY」それぞれ、青・黄・ピンクが用意されています。

「ROUTE(ルート)」と名付けられたデザインは、道のように見えます。くるみ方を補助する道しるべ(ルート)になっているんですね。

 

アンケートにもあった、おくるみの巻き方がよくわからないというお悩みを解決すべく、このROUTEのデザインは、線をガイドに折ると簡単に巻くことができるという仕掛けになっています。色の組み合わせもジェンダーレスかつエイジレスなので、家族みんなで長く使うことができそうです。

 

 

そしてもうひとつのデザイン、MEMORYは成長を記録することができる「目盛り」つき。10cm刻みで数字が書かれているので、おくるみの上に赤ちゃんを寝かせて記念撮影をして、メモリアルフォトを撮りためるという楽しみ方ができます。

 

 

風呂敷専門店が作るおくるみですから、もちろんそれ以外の用途もたくさん!一般的な風呂敷としては使えるのはもちろんのこと、抱っこ紐としてもスカーフとしても楽しめます。

 

いろいろな結び方で風呂敷バッグが作れますが、丸和商業で販売している「TSUNAGU」という レザーハンドルを付けると、もとが風呂敷だとは気がつかないほど、表情が変わりますね。

 

 

2021年10月6日までクラウドファンディング受付中とのことで、リーターンとしてこちら
の「きょうくるみ」のほか、MEMORYと同デザインの手ぬぐいなとあるそうです。

 

クラウドファンディング終了後、m’s choiceの公式サイト内のオンラインショップまたは、丸和商業とWGD京都のホームページからも購入することが可能です。

 

手ぬぐいをヘアバンドにした使用例。かわいいですね!

 

まずはクラウドファンディングで集まった資金をもとに、こちらの「きょうくるみ」の販売からスタートして、第二弾、第三段として新たな育児グッズをさまざまな企業とコラボして制作するそうです。京都で作られている既製品の育児グッズで、こだわりある商品も集め、育児ボックスの中身をどんどん充実させる予定とのこと。また、ボックスの中には親子体験型のヨガやベビーマッサージなど、親子で楽しめる子育て支援サービスも取り入れていきたいと考えているそうです。 m’s choiceの育児ボックスが、日本中の赤ちゃんのもとに届けられる日が一日でも早く訪れますように!!

 

m’s choice公式サイト

 

 

上紙夏花 Natsuka Uegami

ライター/ビューティープランナー

1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳

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