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LIFE

上紙夏花

池袋から80分で秩父へ!日帰りでも楽しめる美味しいもの巡りの旅【前編/わらじかつ丼、秩父ワイン、チーズ、国産メイプルシロップ】

  • 上紙夏花

2021.01.23

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都内からのアクセス抜群!

秩父駅に到着したときの様子。この新型特急Laviewをデザインしたのは、建築家の妹島和世さん。丸いフォルムが、親しみやすいロボットのようでかわいい!

 

「秩父ってこんなにいいところだったんだ!」筆者の旅の率直な感想からお伝えします!もうね、こんなにいいところなんだったら、もっと早くに行くべきだったと後悔したほどです。LEEのライター相馬由子さんが秩父ご出身ということで、秩父地域おもてなし観光公社の保泉友美さん(YouTube『秩父おもてなしTV』でもご活躍!)とともにご案内いただくことになりました。秩父を堪能したいと思います!

 

秩父の魅力を伝える雑誌『ちちぶmagazine』の編集長でもある、相馬由子さん(写真左)と秩父地域おもてなし観光公社の保泉友美さん。

 

みなさんにとって、旅でのいちばんの楽しみは何でしょう?私は〝食〟です。現地でしか味わえない、美味しいお料理やスイーツ、そしてお酒! さらには癒される景色があれば最高ですよね。それがすべて揃っているのが秩父でした。しかも、都内からのアクセスがいいというのもポイントが高い!

 

一部区間では日中、車載カメラによる走行中の映像が車内モニターに流れます。化粧室も広々としていて、多目的トイレはベビーベッドやフィッティングボードを完備し、ベビーカーも車いすも余裕で入ることができます。

 

西武線の池袋駅から西武秩父駅までは、特急Laview(ラビュー)の乗って80分で到着します。昨年登場したばかりの新型車両で、窓が大きくて快適です。シートのゆったりしていて、電源コンセントも完備。車窓からの風景を楽しみながらゆったり過ごすのはもちろんのこと、PCやタブレットで映画を観て到着までの時間を有効活用するのもいいですね。

 

 

秩父駅に到着!え!?駅に温泉が?

 

西武秩父駅に到着しました!とても立派できれいな駅舎に隣接しているのは、『祭の湯』という複合型温泉施設。改札を出てすぐの売店には秩父のご当地グルメの「わらじかつ」や「みそポテト」が目に飛び込んできて、食いしん坊心をくすぐります!秩父中のおみやげ物が勢ぞろいしている売店や、地元のお酒がちょい呑みできる立ち飲みbarほか、フードコートもあり、とても充実しています。旅のスタートに温泉に入るもよし、日帰り旅行の〆に温泉で疲れを癒すもよし……最高ですね。

 

 

「秩父は〝祭とお酒〟の街なんです。地域の小さいお祭りを合わせると、実は年間、400近い数のお祭りが行われています。毎年12月3日は最大級のお祭り、秩父夜祭があって、このときばかりはみんな地元に集まります。(2020年は残念ながら花火のみ)祭と切っても切り離せないのが、お酒。実はワイナリーや酒蔵、ウィスキーの醸造所などがたくさんあるんですよ。夏は気温40度、冬は-10度と約50度の気温差があるため、お酒の発酵や熟成に気候が最適なんです」と保泉さん。

 

祭の湯、施設内に展示されているお神輿。なんだかワクワクしますね!

 

いろんな種類の美味しいお酒が飲めるので、近ごろは都内から移住の問い合わせも増えているのだとか。「1時間に1本の特急で池袋まで80分……通えなくないですね~」と納得。古民家を改装した素敵なお店もここ10年くらいで急増中とのことで、若い人からも注目を集めているそうです。

 

名物「わらじかつ丼」をイタリアン風味で

 

 

西武秩父駅から車で約30分、秩父吉田地区にやってきました。本場イタリアで修業したシェフが、地元食材をふんだんに使った料理を提供する『ツーリストテーブル 釜の上 秩父うさぎだ食堂』。まずはこちらで腹ごしらえです。こちらでは、秩父名物のわらじかつ丼がいただけます。

 

 

店内は天井が高くて広々。小上がりの座敷席があるので、赤ちゃん連れでもゆっくり食事が楽しめそうです。写真には写っていませんが、左手側には、テーブル席もありますよ。

 

ベビールームもあるので、赤ちゃんがいるママも安心ですね!

 

こちらの食堂では、埼玉産の豚肉にハーブを加えた自家製ソーセージやラザニア、ピッツァも人気。すぐそばにある「秩父やまなみチーズ工房」でチーズが作られる工程で生まれる栄養価の高い〝ホエー〟を有効活用した、ホエーうどんも名物になっています。

 

近隣の秩父やまなみチーズ工房のチーズを使った、チーズフォンデュつきのわらじかつ丼と、ホエーうどんのセットをオーダー。

 

やっぱり外せないのが、秩父の名物、わらじかつ丼!初めて食べたのですが、薄くて食べやすい上に、しっかりとお肉の旨味を感じられて大満足でした。かつに染み込ませてあるタレは赤ワインとバルサミコ酢がさわやかな酸味を出してくれています。この酸味に、濃厚なチーズフォンデュをまとわせるのが最高!イタリアン×郷土料理のバランスが素晴らしいです。ホエーうどんはのど越しのいい細麺でした。あっさり出汁にはチーズのコクが溶け込んでいます。天かすの代わりに、カリカリに焼いたチーズがトッピングされていて、チーズ好きにはたまらないメニューでした。

 

 

食堂でも、兎田ワイナリーのワインや秩父麦酒、イチローズモルトという地元のウイスキーを楽しむことができますが、併設されているおみやげ物売場には、ワインコンクールで受賞歴のあるワインや地元の美味しいものが勢揃いしています。

 

 

気になった「しゃくし菜」!しゃもじのような形をしている植物のお漬物なのですが、味は野沢菜のようですが、酸味が少なくシャキシャキと食感がよくてとても美味しかったです。埼玉県以外ではあまり見かけないようですね。

 

 

ワインの試飲コーナーがあったので早速、飲み比べ! 比べてみると同じワイナリーで作っていても、やはりそれぞれ全然違いますね。珍しい和梨のワインもあったりし試飲が止まらない⁉ このあと、兎田ワイナリーを見学予定なのに、先にお味見を完了。

 

 

 

ワインにローストしたミズナラ材を漬け込んで香りづけしたものもありました。結局、私は「酔いどれ兎ルージュ USAGI ROUGE」というワインを購入。国産のマスカット・ベーリーAを100%使用した、イチゴジャムのような甘い香りのワインです。どんな風に作られたのか、兎田ワイナリーへ見学に行ってきます!

 

ツーリストテーブル 釜の上 秩父うさぎだ食堂

 

ぶどう畑のすぐそばにあるワイナリー

 

 

先ほど試飲させてもらったワインを製造しているのが、こちらの兎田ワイナリー。すぐ隣にはぶどう畑が広がっています。秩父は盆地になっているため、昼夜の気温差が激しく、特に夜の気温が低くなるとぶどうの糖度が高まって、色づきもよくなるそうで、ワイン用のぶどうを栽培するのに好条件なんだとか。〝フルーツ街道〟という道沿いにあるのも納得です。

 

ぶどう畑になる前は、秩父で有名な「借金なし大豆」を栽培していた土地だったそうです。

 

2.0ヘクタールの自家畑と契約農場との連携で高品質なマスカット・ベーリーAやメルローなどを栽培。特にマスカット・ベーリーAは色が濃く出るので山梨の農家さんから羨ましがられるほど、毎年美味しいぶどうが採れるそうです。畑では、枝を剪定してワイヤーで固定したり、雑草を抜いたり……と冬でも仕事が多いそうで、一部の作業を障がい者自立支援団体に依頼し、職業訓練の役割も果たしています。地域の人たちで協力し合って、秩父地域を盛り上げているのがよくわかります。

 

兎田ワイナリー 代表の深田和彦さん。「マスカット・ベーリーAで作ったワインで勝負したい!」と世界を目指します。

 

2020年は梅雨が長引いた影響で、例年に比べてぶどうの収穫量が少なく、秩父ブランは10トンのぶどうからハーフボトル1万本作れていたのが、5000本まで生産量が落ち込んだのだとか。さらに希少価値が増します。兎田ワイナリーのワインは通販もされているので、おうち時間にぜひご賞味あれ!

 

秩父ファーマーズファクトリー・兎田ワイナリー

 



秩父の原材料にこだわった絶品チーズ

 

 

お次はチーズ工房です。うさぎだ食堂で食べた、あのチーズを作っている、秩父やまなみ工房。チーズの原料である生乳のすべては工房から8キロのところにある秩父郡小鹿野町の吉田牧場のもの。吉田牧場では、〝牛にやさしい〟飼育を重視しているそうです。牛たちが自由に歩き回れる牛舎の中でゆったりと育てられているのだとか。しかも、地元・秩父の日本酒、ウイスキー、ビールの絞り粕をはじめ、あずきや豆腐、もやしなどの野菜、パイナップルなどの果物といった残菜を飼料として活用しています。とことん秩父にこだわり、〝地球にもやさしい〟チーズづくりをされているのが素晴らしいところですね。

 

 

アワードの金賞をとったのが、左側の表面が黄色いウォッシュタイプのチーズ「ルビー」。フレッシュ・モッツアレラに、スティックのさけるチーズほか、どれも味わい深いチーズでした。

 

やまなみチーズ工房は、国産チーズのコンテスト『ジャパン・チーズ・アワード2020』で最優秀部門賞など、3部門で入賞しています。金賞を受賞した「ルビー」はウォッシュタイプのチーズです。平成の名水百選にも選ばれた秩父の毘沙門水(びしゃもんすい)の塩水で、ていねいに表面を磨きながら1カ月以上間熟成させているそうです。仕上げには、ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所の「イチローズ モルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキー」(ホワイトラベル)でウォッシュ。秩父でしか作れない、濃厚でまろやかな味わいです。

 

秩父やまなみチーズ工房

 

稀少な国産のメイプルシロップが!

 

 

ここに来るまで、秩父で日本産のメイプルシロップが作られてるということを知りませんでした。訪れたのは、秩父ミューズパーク内にある、日本初のシュガーハウス『MAPLE BASE』。シュガーハウスというのは、本場カナダの森にあるメープルシロップを製造する工場や小屋のことだそうで、ここにはメープルシロップを作る機械、エバポレーター(蒸発機)があるのです。

 

「カナダからこの機械を取り寄せたのは、日本で唯一じゃないかと思います。樹液を薪で炊き上げるのがいちばん美味しいメイプルシロップができるんです」と教えてくれたのは、MAPLE BASEのカフェやメイプルシロップの製造を行うTAP&SAP代表の井原愛子さん。

 

 

秩父は埼玉県の森林地帯の約60%を占めるそうですが、山の持ち主たちやNPOと連携をして、スギやヒノキの「伐る林業」とカエデの樹液の「伐らない林業」の複合化を目指して豊かな森を育むために活動しているそうです。カエデの樹液が採れるまで20年以上かかるという壮大な計画ですが、次世代のために、日々努力を積み重ねる必要があるんですね。

 

こちらがカエデの樹液を煮詰める機械。2月頃に樹液の収穫が始まると、薪をくべてメイプルシロップの製造が始まる。

 

薄っすらと黄みがかった透明のカエデの樹液を1/40ほどにまで煮詰めると、あの琥珀色の甘いメイプルシロップが出来上がります。こちらではカエデ樹液そのままのドリンクやカエデ樹液のソーダなども販売しています。カエデ樹液入りのメイプル紅茶をいただいたのですが、ほんのりメイプル風味のやさしい甘さでとても美味しかったです。カフェではメイプルシロップたっぷりのパンケーキも人気!森の中のカフェでゆっくりお茶する……ってぜいたくな気分になりますね。

 

左の瓶がカエデ樹液100%の清涼飲料水。限定数のナンバー入りです。右側は第3のはちみつと言われる、新しい国産はちみつ。

 

カエデ樹液はそのまま飲むと薄甘い感じです。地元のウィスキーイチローズモルトをカエデ樹液で割って飲むのもおすすめだそうです。まだまだカエデ樹液の収穫量は多くはないようですが、森の環境保全のためにもこの活動が発展していってほしいですね。

 

 

そしてもうひとつ、ここで味わえる特別な〝みつ〟をご紹介します!見ためははちみつに見えますね。一般的なはちみつは、蜂が花の蜜を集めて作られる「花蜜はちみつ」と植物の汁液を吸う昆虫の代謝物質に由来する「甘露はちみつ」のふたつに別れるそうですが、こちらははちみつではなく、第3のみつとして、国産の野菜や果物のジュースを蜂に与えて作った新しいカテゴリーを生み出したのだとか。

 

これは、NPO法人秩父百年の森と埼玉県立秩父農工科学高校食品化学科、埼玉大学等の関係者との共同研究です。蜜源が減少してきている日本において、安心安全なおいしい国産のみつを作るためのプロジェクトだそうです。ニンジンやりんごの秘蜜を食べてみたのですが、ほんのりと後味に野菜や果物を感じてとても美味しかったです。

 

MAPLE BASE

 

まだ旅は続きますが、紹介したいところが多すぎて、長くなりました。続きは後編でお伝えします!

 

案内してくれたのは……

秩父地域おもてなし観光公社

上紙夏花 Natsuka Uegami

ライター/ビューティープランナー

1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳

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