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LIFE

佐々木はる菜

ドラマでも注目の「薬剤師」は頼れるママの味方!【本当の役割&知っておきたい法改正】

  • 佐々木はる菜

2020.08.06

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誰でも一度は必ず足を運んだことのある「薬局」と、その薬局や病院で働く「薬剤師」さんたち。
薬剤師をテーマにした漫画原作のドラマも放映中なことに加え、実は2020年9月に「服薬指導フォローアップ義務化」という法改正があり、とても注目を集めています。
改正後は、例えば薬を問題なく服薬できているかなど薬剤師さんから直接電話がかかってくるようなこともあるそうで、実は私達の生活にも大きく関わる出来事です。

私がこの問題に興味を持ったのは、電子薬歴の開発や薬局サポートなどを行う株式会社カケハシのプレスセミナーに参加したことがきっかけでした。
そこで薬局・薬剤師の本来の役割や活用方法について伺えたことは、子育て中のひとりの母親として私自身も大変ためになりました。

調剤薬局向けクラウド電子薬歴「Musubi」のリニューアルや新アプリの発表にまつわるプレスセミナーに参加。400件の薬局現場をヒアリングされ、医療業界の向上を目指す立場からのお話を通して、これまで知らなかった実情を伺ってきました!

体調を崩しやすい赤ちゃんや小さなお子さんを子育て中のご家庭はもちろん、健康に不安を抱きやすい今だからこそ、薬局や薬剤師の皆さんが健康のパートナーとして頼れる存在と知ることで、より良い日常を送ることができると感じます。

今回の記事では、9月以降に私達と薬局・薬剤師さんの関係にどんな変化が起きるのか、そして薬局や薬剤師さんの本来の役割についてお伝えしていきたいと思います!

「医者に話した内容を、なんで薬局でもう一度聞かれるの?」という疑問

放映中のドラマの主役は、いわゆる大病院の薬剤部に勤務する薬剤師。
医者や看護師のように患者さんから直接頼られ感謝されることがないといわれる薬剤師にスポットをあて、その奮闘を通して私達の健康を守るために実は重要な役割を担っていることを伝えてくれています。

私達にとってより身近な存在は、いわゆる街にある一般的な薬局・薬剤師ですが、実は調剤薬局は現在全国に6万店舗あり、その数はコンビニよりも多いといいます。

そんな誰にとっても身近な場である一方、95%の人が「薬を受け取るだけの場所」という印象を持っており、存在価値がよくわからない状況になってしまっているとも言えます。(出典:厚生労働省「患者のための薬局ビジョン実現のための実態調査報告」)

私自身も特に子どもを持って以来、小児科と薬局には数えきれないほどお世話になってきましたが、薬局に行くたび「今病院で相談した内容を、なぜもう一度話さなければいけないの?」と疑問に思い、時間がない時などは申し訳ないと思いつつもイライラしてしまうようなこともありました。

気軽に健康を相談できる場所だった「薬局」を変えてしまったもの

セミナーで登壇する株式会社カケハシ代表取締役社長の中尾豊さん。医療従事者の家系で生まれ育ち、武田薬品工業株式会社入社後MRとして活躍。日本の医療の質の高さを感じると共に、患者さんへのサービスインフラの不備や医療従事者との情報格差の現状に気づき、医療業界においてサービス面で充実を図ることが多くの医療従事者や患者さんに貢献できる方法だと考え2016年に株式会社カケハシを創業。

ドラッグストアやコンビニもない時代、薬局は駅前や商店街などに出店することが多く、化粧品や衛生雑貨など医薬品以外を買うために近所に住む人が気軽に立ち寄り、ちょっとした健康の相談をするようなよろず相談所として機能していたそうです。

この状況を変化させたのが、より質の高い医療サービスの提供などを目的に国が「医薬分業」を推進したこと。医薬分業とは、医療機関で処方箋を受けとり薬局で調剤してもらう分業制のことで、私が子育てを始め病院に通う機会が増えた7年前には既にほとんどがこの形だったと記憶しています。
病院の近辺にある薬局「門前薬局」が広がったことで薬局は調剤を主体とした保険薬局に変わっていったことで、薬局側は「いかに早く正確に薬を渡すか」、私たち患者は「病院と同じ質問を早く終わらせて薬をもらう」という場所になってしまったといいます。

法改正後、私達の生活は具体的にどう変化するの?

2020年4月、診療報酬が改定されたことにより「かかりつけ」として機能する診療所や歯医者、薬局が評価されるようになりました。

さらに9月に「服薬指導フォローアップ義務化」が開始されることで、薬剤師は「薬を渡せば終わり」ではなく、薬を処方した患者さんに対して薬剤師が適切なタイミングでフォローの連絡を行い、継続的に支えていくことが義務化されます。

がんや糖尿病などだけでなく、インフルエンザなど幅広い症状の患者さんに服薬の状況・副作用の有無や体調変化の確認をするそうで、例えば私達にも薬局からある日突然電話がかかってきて、薬をきちん飲んでいるかどうかや体調の変化について聞かれるようなことがあるかもしれません。

フォロー連絡をしないことで患者さんに健康被害が出た場合は民事訴訟の可能性などもあるため、薬剤師としては慎重に対応する必要があるそうで、年代や症状に関係なく多くの人にとって薬局との接点が増えることになると考えられます。

お話を伺う中で印象的だったのが、このような制度が開始されることはおそらく大きく報じられることはないのではということ。
私達としては背景も理解できていないまま薬剤師さんから急に連絡がきたとしても、これまで「薬を受けとるだけの窓口」のように認識している薬剤師に対して何を相談すべきか分からず、戸惑うだけの事態になってしまうのではということでした。

では、一体どんなふうに薬局を活用すれば良いのでしょうか?



6割の人が知らない?!お得な薬局活用術

◆「かかりつけ薬局・薬剤師」を作るべし!

これまで私は、通院した病院の近辺にある薬局から薬をもらわなければならないと思い込んでおり、行く病院によって薬局を変えていましたが、薬をもらう薬局・薬剤師は自分で選んで良いそうです。

かかりつけ薬局・薬剤師を持つ一番のメリットは、質の高い薬学的なアドバイスを安価に受けることができることだといいます。

セミナーでは、例として4つの具体的なメリットが挙げられていました。

1.常に同じ薬剤師が、自分や家族の薬についてまとめて把握してくれるので安心できる
2.薬による体調変化の確認や、自宅での管理アドバイス(冷蔵庫に入れるかどうかなど)もしてくれる
3.副作用の症状や急な発熱など健康状態によっては、処方箋がない場合でも夜間・休日含め24時間相談することができる
4.子どもへの薬の飲ませ方や、発育に関する相談も可能
※2~4はかかりつけ薬剤師を持っていなくても誰でも無料で薬剤師に相談ができるそう。ただし、混雑具合や担当薬剤師によって対応してもらえる時間や内容は異なります。

一人の患者の服薬状況をまとめて一か所(かかりつけ薬局)で把握し、薬の重複や飲み合わせ、副作用などを継続的に確認してくれる健康のパートナーとして、2016年に「かかりつけ薬剤師」という制度が開始しているそうですが、認知度は4割にとどまり、かかりつけを持っている人は16%に過ぎないそうです(2018年日本薬剤師会調べ)。

かかりつけ薬局が決まっている方が、顔見知りで患者本人としても気軽に相談しやすい上、自分や家族の健康状態や薬歴もなどを把握してくれているのでスムーズに話が進む。また仮に電話でなど非対面の相談でも適切なアドバイスが期待でき、例えば症状を伝えて病院に行くべきかの判断を相談したり、おすすめの市販薬を聞いたりといった相談もできるというお話を聞き、そんな関係性のある薬局ができたらとても安心できるだろうなと感じました。

◆金銭的にもメリットが

また、かかりつけを持った方が金銭的にもお得になるということも初めて知りました。

4月の診療報酬改定を機に患者インセンティブというものが発生するそうで、同じ薬局に3か月以内に処方箋を持っていくだけで1回あたりの管理指導料が、また同時に複数医療機関の処方箋を持っていくと2枚目以降は調剤基本料がお得になるなど、ひとつの薬局を決めて活用するだけで合計数十円お得になるのだとか。

かかりつけ薬剤師にかかるコストは1回の服薬指導でたったの100円未満。負担割合や通う頻度によって異なるものの、つまり年間数百円程度でいつでも気軽に健康相談できる心強いパートナーを持つことが可能だということ。特にお子さんや高齢の方、持病をお持ちの方がご家族にいる場合などは、非常に心強いのではないかと感じました。

忙しいママこそ、もっと薬局を活用してほしい!

◆子どもへの服薬アドバイスや、薬を届けてもらうことも

また今回薬局や薬剤師について知る中で特に印象に残っていることのひとつが、ママ薬剤師さんから伺った「小さなお子さんがいらっしゃる親御さんこそ、もっと気軽に薬局を活用してほしい」という言葉でした。

例えば、お子さんが嫌がらない薬の飲ませ方や点眼法。
飲み方の調整ができない子どもに薬を飲ませる際に苦労した経験のあるママは少なくないと思いますが、アイスクリームやジュースに混ぜるといった方法を始め、オムツかぶれ緩和法や中耳炎などの痛みを和らげる方法など、しっかりと知識を持つプロの目線で適したアドバイスをいただけることは、とても心強いと思います。
その他、地域の保育園や幼稚園で流行している季節性ウイルスなどの予防法や、調剤の際に身長や体重を伝えることで、子どもが正常発育しているか確認してもらえることも。

更に、各薬局の状況などによって差はあると思いますが、例えば先に処方箋を渡しておいて忙しいから後で薬を取りに行く、自宅まで届けてもらうなどの相談もできるといいます。

◆我が家も、通う薬局をひとつに絞ってみた!

前述の通り、これまで私はその時々で診察を受けた病院の近くの薬局に行っていましたが、今回の取材を機に、一番行くことが多かった薬局ひとつに絞ってお世話になることにしました。

幸いまだ自分にも家族にも大きな体調不良などはありませんが、先日、私が包丁で軽く指を切ってしまいその手当をするため大き目の絆創膏やガーゼなどを探しにいったところ、怪我の様子を確認し、おすすめの対処法を教えてくださいました。さらに、お店になかった大き目のテープに関しては、近所の大型ドラッグストアにならば置いてあるはずと、道まで教えてくださいました。

たまたま他のお客様がいらっしゃらず空いているタイミングだったこともあると思いますが、これまであまりゆっくりお話をしたことがなかったため、セミナーで伺ったお話そのものと言えるような親切さに感動してしまいました。

我が家の子ども達は小2・年長にまで成長し、特にこの1、2年は病院のお世話になる回数がぐっと減りましたが、赤ちゃん時代は体調を崩すたび、病院に行くべきか、どう対処すべきか真剣に悩んでいました。
子育てに仕事に毎日忙しいからこそ、身近にある薬局が自分や家族の健康管理を応援するサポーターになってくれたらとても心強いのではないでしょうか。

新型コロナウィルスの問題もあり健康に関する不安が多い世の中だからこそ、体調に関する困りごとや気になることを気軽に相談できる「かかりつけ薬局」の存在は、今後ますます貴重になってくるかもしれません。
次に薬局へ行かれる際は、今回の記事のことをちょっとでも思い浮かべていただけたら嬉しいです!

株式会社カケハシ

 

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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