当サイトでは当社の提携先等がお客様のニーズ等について調査・分析したり、お客様にお勧めの広告を表示する目的で Cookie を使用する場合があります。詳しくはこちら

LIFE

新時代のオンラインコンテンツ

子どもと一緒にアートに舞台!オンラインだからこそ楽しめる、新エンターテイメントを発見!

  • 佐々木はる菜

2020.06.19

この記事をクリップする

外出自粛の中で次々と生まれている「オンラインだからこそできる、新たな価値を生み出しているサービス」。その中から私が実際に体験してワクワクした取り組みを数回に渡ってご紹介しています。

前回の 【子どもが教える学校】に続く第2回目は、子どもから大人まで楽しむことのできる、オンラインの芸術とエンターテイメントについてお送りします。

親子で美術館を楽しむイベント

最初にご紹介するのは 「ミカエラ・カーロとめぐる仮想美術館」
主宰されているのは、普段は街歩きツアーガイドとして、独自の視点を生かした面白いツアーを企画運営されている田中美薫江(みかえ)さん。
外出自粛で「街歩き」ができない中、これまでもオンラインで様々な「仮想ツアー」を企画されており、私たち親子が参加したこちらのイベントは「親子で一緒に美術館へ行く」というものでした。

通常の街歩き(左下写真)とは違い、仮想美術館では毎回「ミカエラ・カーロ」という名前の芸術家という設定で登場する田中さん。美術にも造詣が深く、この姿から語られる面白い切り口のお話には、参加者全員がぐいぐいひっぱられていました!

この回のテーマは昭和の写真家、土門拳(どもん・けん)さん。
リアリズムを極めた巨匠が撮った「昭和のこどもたち」を令和の子ども達と一緒に鑑賞しました。最後には、事前に子ども達にテーマを与えて撮影してもらった写真をそれぞれが発表する場もある参加型イベントだったことも、親子一緒に楽しむことができた大きな理由だったと感じています。

”静かに一人で楽しむ”イメージの美術館とは正反対の魅力

◇愉快な切り口で、 その芸術の背景について学ぶことができる

今回のツアーはまず、土門拳記念館のある山形県酒田市に向かうところから始まりました。現地まで乗り継ぐ人気の新幹線や駅弁、記念館の建築についてなどの説明もあり、まるで本当にみんなでツアー旅行に行ったかのような感覚を味わうことができました。

私は恥ずかしながら土門拳さんについて、お名前は聞いたことがあるものの作品をじっくり見たことはありませんでした。また正直なところ内心では子どもにとっては難しすぎるテーマなのではないかという不安もありましたが、田中さんの説明はとてもわかりやすく、私自身もどんどん土門拳さんへの興味が膨らんでいきました。

「撮りたい『もの』をじーーーっと観察して、その『もの』と心で喋って、それから撮る。今のスマホの撮影の仕方とは逆だね」

生前、「『もの』にも『この角度から撮ってほしい』という角度がある」と話していたという土門さんの作品の良さを、子どもでもわかる表現で温かく語ってくださいました。

◇子どもも含めて大勢でワイワイ写真を見る経験が新鮮!

土門さんが撮影していたのは、ちょうど子どもたちの祖父母世代が生まれた頃の時代の写真で、いわば自分たちともかろうじて繋がりがある時代。でも今とは全く違う風景に、みんな目が釘付けになっていました。

「ベーゴマ見たことある人~?」という質問に元気よく手を挙げる子ども達。 昭和の時代は、まだ小さい子がもっと小さい子をおんぶしていたり、あたりに転がっている石や道の穴など何でもおもちゃにしていたり…子ども達は昔の様子に興味津々。見たことのない”はらがけ”という昔の肌着を「今で言うキャミだね!」と 説明していた田中さんの言葉に思わず笑ってしまいました。

また田中さんは、色々な写真を見ながら毎回必ず子どもたちに感想を聞いてくれました。
基本的に美術館は静かにしなければいけない場所ですが、赤ちゃんが泣いても、子どもが大きな声を出しても、途中でうろうろしても心配ないのがオンライン。 賑やかな子ども達のユニークな感想に盛り上がりながら、参加者皆でワイワイと写真を見る経験は大変楽しいひと時で、参加された多くの方もその点がすごく楽しかったと話していました。

リアリズムということで、事前に「ありのままのママ」というテーマで子どもたちに写真を撮ってもらっていた今回のイベント。最後にどうしてこの写真を撮ったか、どこが好きかなどを皆の前で一人一人発表しました。長男は思ったほどうまく説明できずちょっと悔しがっていましたが(笑)、それも含め良い経験となりました!

お客さん全員が、舞台間近の「特等席」から観劇!

次にご紹介するのは、独自の芸術「語り劇」を行う 「小河知夏劇場」です。

「小河知夏劇場」を主宰する、”語り師”小河知夏さん。

◇「オンライン語り劇」って何?

一人の語り師が、登場人物からナレーションまで何役も演じ分けて、物語が進行していく「語り劇」。一番近いイメージは「落語」ですが、古典が多い落語と違い、現代劇や海外のお話など多くの方に馴染みのある作品を扱うことが多いといいます。
また、本をそのまま読む「朗読」や「読み聞かせ」とも違い、耳から聴いてより想像が膨らむように、脚色、演出を加えながら役を演じ分けて表現していくそうです。
語り師とお客さんのスペースさえあればどこでもできるため、普段はお店や会社、学校やイベント会場、時にはお寺など、様々なスペースで上演されています。そして、新型コロナの外出自粛をきっかけに、それらをオンライン用にプロデュースし直して作られたのが「オンライン語り劇」です。

まだまだ知らない方も多い「語り劇」の魅力を伝え、そして1日の終わりに物語を聴いてリラックスしてほしいという想いのもと、毎週火曜夜9時にYouTube小河知夏劇場「物語の時間」でグリム童話や宮沢賢治などのショートストーリー無料生配信も行っているそう。

◇時代背景が今と似ている!「走れメロス」を上演

私が観劇したのは、教科書などにも載っており、誰でも一度は読んだことのあるであろう太宰治の「走れメロス」です。
実はこの作品が書かれたのは、昨年大河ドラマでも取り上げられた幻の東京オリンピックの年。コロナでオリンピックが延期となった今と似た時代背景でもあり、「コロナより怖いのは人が人を信じられなくなること。こんな時代だからこそ人を信じ、愛し、感謝し暮らしていきたい」という想いを込めて作った作品だというお話も非常に心に残りました。



その距離10cm!涙も見える間近で、舞台を堪能

◇画面から溢れる迫力と、憑依したような演技

何よりも印象的だったのは小河さんの七変化! メロス、王様、おじいさん、山賊…。もともとの小河さんは、お姿も話し方も可愛らしい雰囲気なのですが、演じる役柄ごとに表情が全然違い、全く異なる人物に見えました。
特に忘れられないのが「王様」の演技で、画面越しとはいえ至近距離から蔑んだような目でじっとこっちを見られると背筋がゾッとしてしまいました。またメロスが走り、葛藤し、そしてまた立ち上がるという佳境のシーンでは、気づいたら私まで息を止めて観ていました。一瞬も目が話すことができず、画面の向こうにいる小河さんと一体化して私まで走っているかのような感覚がありました。
終演後に参加者の方の話を聞いていると、この臨場感にはまってしまい毎回欠かさずオンライン語り劇に参加していると話すファンの方も多くいらっしゃいました。

◇演技者とお客さんの、オンラインならではの相乗効果!

今回の劇で使っていた小道具はたった二つだけ!でも目の前にメロスの話の風景が広がり、約1時間の舞台はあっという間に過ぎて行きました。
女優さんの演技力とオンラインを活かした演出によって、自分の想像力がここまでかきたてられたことに驚き、これまで味わったことのない新しい感覚を楽しむことができました。

またオンライン語り劇では、観客側にもなるべく顔を出してもらうように事前にアナウンスがあります。これは小河さん側にもお客さんの顔が見えるようにするためで、彼女のまるで役柄が憑依したかのような鬼気迫る演技の”秘密”でもあるのだとか。

「オンライン語り劇ではZOOMを使っていますが、一番良い点はお客様がどんな風にこちらを見て、どういう表情をしているかがわかることです。お客様の表情や呼吸や目の動きがこちらから見ることができ、それを受け取って演技をしています。本番までに何度も練習をしますが、練習でお客さんがいない状態では、やはりあそこまで役柄に入り込むことはできません。私の最後のスイッチを入れてくれるのは、間近で見守ってくださっているお客様の存在です!」

そんな小河さんの言葉を伺い、演じる側と観客の距離が近いからこそ影響を与えあう、リアルの観劇にはない良さを感じました。

「表現」への熱い情熱に、オンラインをフル活用

今回ご紹介したふたつのエンターテイメントは、形は違えど多くの共通点があると感じました。

まずはどちらも外出自粛をきっかけに生まれた新しいスタイルだということです。
制限の多い状況の中で、もともとのご活動を活かして何からできるか考えた結果、単に今までやっていたことをオンライン配信するのではなく、オンラインの良さを生かした内容を考えて形にしている点に、とても心を動かされました。

そしてその根っこにあるのは、表現への愛なのではないかなと思います。
自分が発信したいことをより良い形でお客さんに届けるためにはどうすればいいか、その試行錯誤が垣間見え、作品やアーティストの方への尊敬と愛が伝わってきました。

もちろんリアルの世界で触れる芸術は素晴らしいものですが、その「代替品」ではなくオンラインだからこそ楽しめる新たな選択肢が増えていることはとても喜ばしく、未来の可能性を感じます 。

少しずつ日常を取り戻しつつありますが、季節は梅雨。
おうちで楽しめる新たな形のオンラインエンターテイメント、気になった方は是非チェックされてみてくださいね!

みかえやJAPAN

6月27日(土)仮想美術館(土門拳)開催予定

小河知夏-オガワチナツ-劇場
6月20日(土)オンライン語り劇 夏目漱石 作「 吾輩は猫である 」
6月21日(日)オンライン語り劇 太宰治 作「 走れメロス 」 上演予定

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

LEE公式SNSをフォローする

閉じる

閉じる