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LIFE

相馬由子

才能より努力が大事らしい…子どもに身につけさせたい力「GRIT」とは?

  • 相馬由子

2018.04.16

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日本では昔から「継続は力なり」って言いますよね。私自身が小学校を卒業するとき(いったい何十年前の話だ!)、校長先生から「継続は力なり」と書いた色紙をもらい、高校を卒業するまで自分の学習机に飾っていました。

でもそんな考え方って古臭いと思ってしまう人もいるのではないでしょうか? しかし、今、「継続は力なり」が心理学的に証明され、世界的に注目を集めています。1年半ほど前に日本でも『GRIT やり抜く力』という本が出版されベストセラーとなりました。これを書いたのは、アメリカのペンシルベニア大学心理学教授のアンジェラ・ダックワース。ダックワース教授の主張によれば、才能やIQの高さよりも、情熱を持って粘り強く努力し続けることが、成功に繋がるのだそうです。

成功した人の共通点は、情熱と粘り強さ

ダックワース教授は、様々な分野で大きな功績を収めた人々にインタビューを行い、また、学校などでのアンケート調査を通じて、成功の秘訣が何なのかを解明しようとしました。そして、「情熱」と「粘り強さ」を持つ人が結果を出すことを突き止めたのです。

要するにどんな分野であれ、大きな成功を収めた人たちには断固たる強い決意があり、それが二つの形となって表れていた。第一に、このような模範となる人たちは、並外れて粘り強く、努力家だった。第二に、自分が何を求めているのかをよく理解していた。決意だけでなく、方向性も定まっていたということだ。

 このように、みごとに結果を出した人たちの特徴は、「情熱」と「粘り強さ」をあわせ持っていることだった。つまり「グリット」(やり抜く力)が強かったのだ。

(『GRIT やり抜く力』より引用)

ダックワース教授は、もともとマッキンゼーでコンサルタントの仕事をし、その後、ニューヨークの公立中学の数学の先生になり、そこから研究者になった人物。先生をやっていた時の経験を振り返り、以下のようにも語っています。

ところが、最初の学期の成績評価を行ったところ、驚いたことに、能力の高い生徒たちの成績は思っていたほどよくなかった。もちろん、よい成績の生徒もいたが、クラスでもとくに能力の高い生徒たちに限って、なぜかぱっとせず、なかには成績の悪い生徒もいた。

 それとは逆に、最初はなかなか問題が解けずに苦労していた生徒たちのなかには、予想以上によい成績を取った生徒が何人もいた。このようによく伸びた生徒たちは、決まって欠席もせず、忘れ物もしなかった。

(『GRIT やり抜く力』より引用)

挫折しても諦めず、自分が目指すところに向かって、少しずつでも進み続けること。シンプルなことではありますが、実践するのは難しいです。ましてや子育てにおいて、どのようにしてその粘り強さと情熱を子どもに身につけさせたらいいのか、ある意味、知性や教養を身につけさせること以上に難しいことなのではないかと思ってしまいます。

子どもの「GRIT」を伸ばすポイントは「褒め方」

この本の中では、子どもの「GRIT」の伸ばし方にも触れられていて、ポイントは「褒め方」。才能があることではなく、「努力をしたこと」「頑張ったこと」を褒めることが大切なのだそうです。

また、それだけではなく、周囲の大人が手本を見せることも大切だと、ダックワース教授は言っています。周りの大人が「人間はその気になれば、何でも学んで身につけることができる」と心から信じて、それを行動によって示すことが、さらに大事なのだとか。「子どもは親の背中を見て育つ」とよく言われますが、本当にそうなのですね。

楽しく努力できる習い事も効果的

また、GRITを伸ばすためには、もう1つ、「大変だけど楽しい」と思える、スポーツや音楽などの習い事や課外活動を何か1つでも続けることが、効果的だとも書かれています。

普段、私たちママ同士の会話でも、習い事を子どもにさせる理由の1つとして、努力することの大切さを知ってほしいから、といったことはよく聞きますよね。しかし、そこで私が難しいなと思ったのが、楽しみながら長く続けられる習い事を、どうやって探すのかということ。



熱中できる習い事の探し方

ちょっと話が脱線しますが、教育評論家の親野智可等先生が書いた記事で、次のような話を読みました。

親野先生によると、幼児期の子どもには「熱中体験」が大切で、自分がやりたいことを、思う存分やることの楽しさを味わうことができた子は、「自分がやりたいことを自分で見つけて自分でどんどんやっていける子」になるというのです。

そして、親が子どもを日頃からよく観察して、どんなことに熱中しているのかがわかると、子どものやる気の方向性が見つかる。それに合わせて、習い事を始めたり、教材を与えたりすればいいとのこと。

ママノート『親がやってほしいことをやる力は子どもの将来に必要?』より

確かに、子どもって、大人から見ると「なぜ?」と思うようなことを繰り返しやっていることってありますよね。うちの娘も、先日、大好きなプリキュアのエンディングテーマを録画した映像を何十回も見ながら踊りを覚えようとしていて、よくそんなにやって飽きないなとちょっと呆れましたが、そういうことが大事なんですね。

以上のような親野先生からのお話も踏まえた上で、子どもにGRITを身につけさせる方法を4つにまとめてみると

  1. 子どもが熱中して何かをやっていたら、よく観察し、やる気の方向性を探る。
  2. やる気の方向性、好きなことが見えたら、もう1歩進めて、教材を買ってあげたり、レッスンに通わせたりして、楽しく努力していける習い事や課外活動を始める。
  3. それを続けていく過程で、頑張っていること、努力していることを褒める。
  4. 自分自身も前向きに努力していく姿を見せる。

という4つを実践していくことが効果的なのではないでしょうか。

「好きなことを見つけて、それを頑張ってほしい」というのは、親として共通の願いだと思います。そのためにはやはり「GRIT」を身につけることが大事なのではないかと、改めて感じました。

相馬由子 Yuko Soma

ライター

1976年、埼玉県生まれ。夫と7歳の娘との3人暮らし。編集プロダクション、広告系出版社を経て独立。ウェブ、雑誌、書籍などで編集、執筆を手がける。最近では、子育て、アウトドア、旅、食などのテーマを担当することが多い。合同会社ディライトフル代表。

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