テーブルまわりのスタイリストとしてスタートし、多岐に渡る活躍をされている伊藤まさこさん。進化し続けるテーブルに今、欠かせないエッセンスは「旅で出会った器」。
「自分の台所を持ったときに、まずはじめに揃えたのが、北欧のプロダクトの器でした。
シンプルなデザインは飽きがこず、重なって収納したその様子さえも美しく、見るたびにさすがだなあと深くうなずくばかりでした。
プロダクトの器が揃って少したつと、次に気になり始めたのが作家の手によって作られた器です。肌合い、焼きの具合、手に持ったときの感触。
どれひとつとして同じものはないそれらの器は、今までにない新鮮さをテーブルの上にもたらしてくれました」(by伊藤まさこさん)
プロダクトに作家の器。自分のベースとなる器に加えて、少しずつ彩りを添えるようにして増えているのが、旅をする中で出会った器。買ったばかりでも、すぐに自分の料理になじんでくれるところが魅力。第1回目は器選びを大公開!
マーケットで掘り出す楽しみも
海外で見つけた器
絵柄のお皿
Printed dish
可憐さと落ち着きが共存した、食卓の新顔
「昨年スウェーデンのダーラナ地方を旅したとき、現地の方の絵皿を使ったテーブルコーディネートが素敵で、影響され手にするようになりました」。華やかに見えて、実は料理をしっかり引き立ててくれる懐の深さも新鮮なのだとか。
写真はどれも直径23~24cmほど。ヴィンテージならではのやわらかな質感と甘くなりすぎない色使いが魅力。「マーケットで10枚まとめて20ユーロなんて掘り出し物も!」
茶色の耐熱皿
Brown heat-resistant dish
こっくりとした釉薬が食卓のアクセントに
「白いお皿が並ぶ中に加えると、テーブルがぐっと引き締まる」と、気になり始めた茶色い器。ヨーロッパでは主に耐熱皿にこの色合いが多く、グラタン皿やテリーヌ型も「そういう形の器」として、用途を限定せず自由な発想で楽しむのが伊藤さん流。
パリの蚤の市や北欧のヴィンテージマーケットでの戦利品たち。「器の形は現地の食文化と密接につながっているもの。特にテリーヌ型は日本ではいいものが見つかりにくいので、旅で探し甲斐があります」
エッグスタンド
Egg stand
コレクションアイテムに新しく仲間入り
スウェーデンのホテルの朝食で、かご盛りにされている様子が印象的だったというエッグスタンド。「サイズが小さいので、日本における豆皿感覚で持ち帰られるのがうれしい。旅に出るごとに少しずつ集めていこうかな……なんて考えています」
複数ある黒い釉薬のものはアラビア、左手前の白はグスタフスベリのヴィンテージ。柄物も多く出回っているけど、シンプルなデザインをチョイス。「あえてばらばらな形を組み合わせて使っても楽しそう」
ティーカップ
Tea cup
少しきゃしゃな形が今の気分
「ティーマ」や「パラティッシ」シリーズのカップ&ソーサーを長年にわたり愛用していた伊藤さん。最近は娘の胡春ちゃんが紅茶をよく飲むようになり、「飲み口がより繊細なものを」と探していたところ、旅先でめぐり合ったのがこちらの2タイプ。
どちらもスウェーデンのマーケットで掘り出したアラビアのヴィンテージ。機能的な現行品とはまた違う優美なフォルムと、飾り気のない白無地のバランスが絶妙で、それぞれ4脚・6脚をセットで購入。
白い大きな器
Big white dish
どんな料理も受け止めてくれる安心感
「大きく深さのある器は割れやすく、アンティーク市場になかなか出にくいそう。だからこそ旅先で見つけたら自分が気合いで(笑)持ち帰る価値があると思います」。食卓の上で大きな面積を取る大皿も、白ならいろんな器と合わせやすく安心。古い器はそれぞれ色みが少しずつ違うのも魅力。
右中の片口はアラビア、それ以外はグスタフスベリのヴィンテージ。右手前の器は、持ち手が割れてしまったけれど、金継ぎで直してもらったもの。シンプルな白磁は、インテリア雑貨としても活用可。
「テーブルはどうしても丸形が集まりがちなので、角皿やオーバル皿があると変化がつきます」。右奥がグスタフスベリで、それ以外はアラビアのもの。「アラビアの白磁は長年使い続けているので、見たことのない形のヴィンテージを見ると、条件反射のように買ってしまいます」
シルバーとウッドのスプーン&トレイ
Spoon & Tray
食卓に欠かせないコーディネートアイテム
器の引き立て役として頻繁に登場するトレイとカトラリー類も、海外旅でよく探してくるアイテム。トレイは「一人分のごはん」「一人分のおやつ」というふうに、空間の区切り役として重宝。カトラリーは、形は違えど素材を同じにすれば組み合わせやすくなり、揃えていくのが楽しみになるそう。
右は古いクリストフル、左のオーバルはホテルで使われていた業務用。「ピカピカした新品だと使うのが少し気恥ずかしいけど、古いものならわが家にもすぐなじむ。時々シルバー用クロスで磨くのも、いい気分転換になります」
およそ30年前から、海外に行くたびにこつこつ集めたシルバーのカトラリーは、長年使い続けても決して古びない定番。主にフランスとイギリスから持ち帰ったもので、クラシックなフォルムと、手に伝わるほどよい重みが魅力。
「平らなのでスーツケースにも入れやすいから、海外みやげに絶対おすすめ」と太鼓判のトレイ。「家に人を招いたとき、カトラリーやナプキン、グラス類などを『ご自由にどうぞ』と、まとめて置いておくときなどにも便利です」
長年買い続けているシルバーに対し、ここ数年注目しているのが持ち手がチーク材のカトラリー。北欧でよく見かけるタイプで、遊び心があるフォルムが豊富。「やはり出所が同じなので、私が好きなアラビアの器ともよく合います」
LEEweb『伊藤まさこさん、素敵のルーツを教えてください!「旅で出会った器たち」』、いかがでしたか?
次回は、『伊藤まさこさんがシーンごとにレクチャー!「テーブルコーディネートのバランス術」』をお届けします。
詳しい内容はLEE3月号に掲載中です。ぜひあわせてご覧くださいね!
撮影/広瀬貴子 取材・文/田中のり子
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七海