東日本はしっかりとした味つけ、西日本はあっさりとした味つけが好まれるとは、よく知られたこと。西日本出身のため地元にいた頃はすき焼きに砂糖を入れるのも嫌なくらいだったのに、上京して18年。関東の濃い味に慣れたのか、食生活の乱れなのか、確実に濃厚な味が好きになっています。
親が濃い味つけが好みだったら子供にもよくないんじゃないの?
そう思って美養フードクリエイターの岩田麻奈未さんによる味覚を知るセミナーを受けに行ってきました。
人間の味覚はどのくらいあてにならないのか
セミナー最初のお題は3つのヨーグルトの食べ比べ。
木のスプーンのものが酸味も少なく、おいしいと思ったのですが、実は3つとも同じヨーグルト。人間の舌はカトラリーの素材やその他の条件次第で味を錯覚してしまうほど、不確定なもの。
見極めのできなさっぷりに落胆しながらも、舌をだますって簡単なんじゃないの?と思ったところで2問目。
同じ塩分量で、同じようにローストした2片の鶏肉。 ん? 左の方が薄味に感じます。
左の長方形は塩をまぶしてから6時間寝かせているのに対し、右の四角い方はロースト直前に塩を振っただけ。四角形の調理法だとダイレクトに塩分を感じることができるため、少量でも満足感のある塩味になり、減塩になります。
最後は形状を変えた同じトマトの食べ比べ。
カットしただけの方はシャクシャクした食感に気を取られることもあり、ペーストの方が断然甘い。これはペーストすることで食物の細胞壁が壊れ、風味が変わるからだそう。離乳食って理にかなっているんですね。
調理法を工夫すれば、調味料控えめでも充分おいしく料理ができることがわかりました。
止まらない甘味、うま味、油味への執着を断ち切るには?
人間がおいしさを感じるのは2パターンあります。
甘味、うま味、苦味、酸味、塩味の五味のバランスが取れた味をおいしく感じるのは味覚。
一方で甘味、うま味、油味は、“快楽としてのおいしさ”があり、満足感を得ているのは味覚ではなく脳。
この3つには依存性があるため、なかなか止められない。確かにスウィーツ→スナックを繰り返すと無限に食べられそうで怖い……。
ただしこの依存を断ち切る方法があります。それは白砂糖絶ちをすること。
舌の細胞は約10日で入れ替わると言われており、例えば10日間、白砂糖を止めるだけで味覚は変えられるそう。10日間も無理なら3日止めてみれば、それまでおいしく食べていた料理の味つけが濃く感じられるのだとか。
でも絶対甘いもの、食べたくなるよな……と思っていたところ、アガペシロップを使った「アボカドチョコレートクリーム」の作り方を教えてもらったので、スウィーツを欲した時に作ってみてください。
「アボカドチョコレートクリーム」の作り方
<材料/2人分>
アボカド 2個
カカウパウダー(ココアパウダーでも可) 50g
アガペシロップ 30g
ココナッツミルク 50cc
<作り方>
(1)アボカドの皮を剥き、種を取って乱切りする。
(2)すべての材料をミキサーでなめらかになるまで撹拌する。
とっても簡単なのにバゲットなどに塗って食べれば、満足感があります。
しっかりとした甘味があるアガペシロップは食後に血糖値が急上昇しませんし、カカオポリフェノールは血管を広げる作用があるのでむくみや高血圧にも効果があるのだそう。
子供のため、自分の健康のため、本来の味覚に戻していきましょう。
お話をうかがったのは、岩田麻奈未さん
美養フードクリエイター、味覚カウンセラー。大学卒業後、4年間の会社勤務を経て「Manami”s Kichen」開校。美と健康と食の関係に注目し、おいしく食べて心も身体もキレイになる食スタイルを提案する。
「Manami”s Kichen」のサイトはこちら!
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津島千佳 Tica Tsushima
ライター
1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。