朝ごはん=クイックに食べられる手軽な料理というイメージを覆し、贅沢な気分に浸れる朝食メニューを多数揃える「サラベス」。多くの人に朝食の価値観を一変させ、「ニューヨークの朝食の女王」と呼ばれる「サラベス」オーナーのサラベス・レヴィーンさんにこれまでを紐解いてもらう前後編インタビューが実現。
前編は、なぜ朝食に力を入れるのか、ニューヨーク以外で初めて出店したのが日本だったのか、お店にまつわるお話をお届けします。
撮影:亀田亮
始まりはイートインコーナーを併設したベーカリー
津島 サラベスといえば朝食。でも日本人は外食といえばディナーなので、その感覚からすると朝食に特化したのが不思議です。
サラベス 今でこそアメリカでも「ゆっくりと、リッチな朝食を食べましょう」との風潮になりましたが、35年ほど前まではパンケーキとベーコンが主流でした。シフトしたきっかけは、うちが焼きたてのパンと秘伝のフルーツスプレッド、それに新鮮な卵を使った料理が食べられるベーカリーをオープンさせたから。
そういった意味ではリッチでファッショナブルな朝食ブームの火付け役はサラベスだと、自信を持って言えますね。
津島 朝食に革命を起こしたかったのですか?
サラベス 最初のお店はベーカリーで、その場でパンと軽食を食べられるように席を用意したら、ありがたいことに話題になりました。もっとバリエーションが食べたいとのリクエストが多くいただくようになって、ブレックファーストを提供するお店をオープンさせました。
。14席だけの小さな店でしたが、口コミで話題になって何時間も行列が絶えなかったほど。セレブリティと呼ばれるスターや著名人も足繁く通ってくれるようになったんですよ。
今までの朝食の通例を変えようと意図はしていませんでしたが、お客様がついてきてくださった結果、こうなりましたね。
津島 ニューヨークは都会なのに、ヘルシーな生活を送っている人が多いイメージがあります。健康に対する高い意識を持つ人たちに愛されているのが「サラベス」なんですね。
サラベス おっしゃるとおり、健康志向が強くてヘルシーな生活を心がけているニューヨーカーは多いです。ベジタリアンやビーガンというわけではなくても、どこで、誰が作った食材を使った料理なのかを大切にしていますね。 私は早くから彼らのそういった意識を感じ取っていて、自分のレストランではこだわりの食材で作った料理を出していました。そういった料理を提供していた結果として、たくさんのお客さんがついてきてくださったのでしょう。
「あなたが食べたものがあなたを作る」。この考え方を強く信じていますし、その理念のもとに今までやってきました。
料理は日々試行錯誤しながらブラッシュアップさせている
津島 サラベスさんの料理に憧れるLEE読者も多いです。サラベスさんの料理が今の形になるまで、こだわってきたことを教えてください。
サラベス 最高の材料を使うこと。そして毎日テイスティングして試行錯誤しながらブラッシュアップすること。
日本のお店で提供しているレモンリコッタ パンケーキは、ニューヨークのレシピに従い、最高の小麦粉を探し出して使っています。でも「もうちょっとよくできるんじゃないか」と、来日するたびに改善しています。それは常にいいものを出したい思いからです。
津島 料理をする際に気をつけていることを教えてください。
サラベス 豪快なアメリカンフードではなく、シンプルさを大切にしています。良質な食材を選び、塩を使いすぎず素材のおいしさを引き出す味付けをすること。食事系にはハーブをたっぷりと。もちろん見た目の美しさにも気を配っています。
うちはフラッフィーフレンチトーストやクラシック エッグベネディクトなどの定番以外に、季節ごとのメニューも料理も開発しています。
津島 新メニューのインピレーションは何から得ますか?
サラベス 日常的に見ているものから。頭の中では常に料理のことでいっぱい。定番をアップデートして新たな味を生み出しています。
世界の「サラベス」の中でも東京店のロケーションは最高
津島 ニューヨーク以外で初の出店が東京でした。東京を選んだ理由は?
サラベス 当初、日本への出店は全く考えていませんでした。今、この場(サラベス 東京店)でインタビューを受けているのも信じられないくらい(笑)。
ニューヨークのお店には日本人観光客の方も多くいらっしゃっていて「日本にもサラベスを出店してほしい」とのポジティブなお声をたくさんいただいていました。「日本の方にも、うちの料理は受け入れてもらえるんだな」と、肌感覚ではわかっていましたが、現在パートナーシップを結んでいる会社がアプローチしてくれた当初は気乗りしませんでした。私の目の届かないところに店を出すのはリスキーですから、非常に悩みましたね。
でも結果的に日本にオープンしてよかった、今ならそう思えます。
津島 「サラベス」が日本に出店したことで、日本でも朝活がブームになっています。
サラベス 朝食文化を周知させたと言ってくださるのは光栄です。
繊細でパーフェクトを目指して100%以上の努力をされる日本人を非常に尊敬しますし、そこが日本を好きな理由の一つです。
津島 「サラベス 東京店」のロケーションはいかがですか?
サラベス 最もロケーションが好きな店舗の一つですね。ビジネス街で都会的だし、ユーザビリティもいい。これ以上の場所はないと思います。
それにここまで広く、独立したテラスがあるお店はニューヨークにはありません。テラスに座りたがるアメリカ人は羨ましがるでしょうね。このテラス席がニューヨークにあれば、連日行列でしょう(笑)。
<サラベス・レヴィーンさんプロフィール>
1943年ニューヨーク市生まれ。サラベス家に伝わるフルーツスプレッドを販売し、大きな反響を得る。1981年にベーカリーレストランをオープンし、以後順調に店舗数を増やしている。自身もキッチンに立ち、毎日精力的に料理を作っている。
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津島千佳 Tica Tsushima
ライター
1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。