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LIFE

藤原千秋

ユニクロMY FIRST OUTFITを体験!〜子どもが、子どもの意思で、服を選ぶということ〜

  • 藤原千秋

2017.08.13

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「着たい服を着ることができる」ということ

唐突ですけど、着たい服を、着られることって、「幸せ」の一種じゃないでしょうか?

暑さ寒さをしのぐとか、隠すべきものを隠すとかいう衣服の目的に合致しているだけじゃなく、色とか、肌触りとか、デザインとか、模様とか……総べて「私が」着たい、と思う服を、思いのままに身につけることのできる、自由。その幸せ。

大人になってもうだいぶ長い時間が経ち、そんな「自由」のなかった頃のことなんて、私自身はすっかり忘れかけていました。

 

MY FIRST OUTFIT

さて、この夏休み。「ひとりで服を選ぶ体験」を通じ、子どもの自己成長を促すユニクロ流「服育」サービス「はじめてのコーディネート体験 」MY FIRST OUTFIT。この春にローンチしたこのイベントを、わが家の三女(6歳)も体験する機会をいただきました。

サービスは無料ですが、同意書を交わします。伝染する病気に罹っていないか、走り回ったりして怪我をしたりしないように、などなど、当たり前の内容ばかりです。

とはいえ、ユニクロの店舗には子どもが生まれてからそれこそ数え切れないほど足を運び、ベビー服から小学生に至る今まで、これまた数え切れないほどのお洋服を購入してきた身。

その間、子どもにお洋服を選ばせたことがなかった? いや、そんなことない、これまでも自分で選びなさいと言って幾度も「本人に選ばせた服」を買ってきたはず。子どもには、まあ、それは楽しそうなイベントだけど、親が改めて何か感じるところはあるのかな?

正直そんな思いというか自負のようなものが、親の方には体験前までは確かにあったんです。が……。

ホントのホントに「本人」がその服を選んできたかと言ったら、そうじゃなかったです。そうじゃなかったんですよね……。

自分の意見なんてちゃんとあるのかしら?

サービスが開始し、親と離れて店舗スタッフさんと売り場をめぐる子ども。その体のサイズの割には大きなカゴを下げて、行ったり来たり。

おそらく「生まれて初めて」自分の意思で店内を行き来する子ども。

初めて会った大人の人と、あの子、ちゃんと意思疎通できているのかな? そわそわ気になりますが、親は小一時間の我慢!

何を話しているのかな〜?(親は気配を消して様子を伺っております)

程なく、「選び終わりました〜!」との声がかかり、いざフィッティングルームへ。子どもはここでも「生まれて初めて一人で試着」。イベント専用のエリアが設けてあって、忙しないこともなくありがたかったです。

 

「白が着たかったの?」「うん」

どうやら、お洋服を選ぶ最中、「これ」というものを取っていただきながら、「さっきのこれと合うかな?」「どう組みわせようかな?」というようなことを、いちいち思案していたとスタッフさん。

逆にこれは? と提案しても、「好きなものがちゃんとわかってらっしゃるんですよね。違う、というものは、即答で違うって。その代わり、これがいい! っていうものを選ぶときは、しっかり意思表示されていました」。ガウチョ、ショートパンツ、パンツ類には見向きもしなかったとのこと。はい、そこまでは想定内です。

でも「100%子どもチョイス」のお洋服を眺め……なんだか「うわーっ」っていう気持ちになってしまいました。この子はわが家の三姉妹の末っ子で、お下がり服も多くて。衣装持ちではあるけれど、ちょっと古びたものを着ることが当たり前で。

それから、ずっとちっちゃいコ扱いだったから、新しく服を買うときは「汚すから白の服だけはやめてね」なんて、ずっとずっと言ってきたんですよね……。なのに本人が選んでカゴに入れたお洋服たちが、もう、白、白、白のオンパレード!!!

「白が着たかったんだ?」「うんそう」

そうかあ……。この子自身は、「白いお洋服」が着たかったんだ、ずっと……。

白いシャツに、シルバーグレーのチュールスカート。今日のベストチョイス、「一番好き」な組み合わせだそうです。へえ……。

子どもがひとり奮闘しているフィッティングルームのカーテンの外で、私はちょっと泣きそうになってしまっていました。知らなかった、知らなかったなあ……。

赤ちゃんだとばかり思っていた子どもが、子ども自身の考えで選んだお洋服たちは、とてもシックで、大人っぽいものばかりでした。

 



「じぶんで」選ぶ、ということの価値

これまで、どれほど、それとなく(というより、あからさまに)親が子どもの選択を「誘導」してしまってきたことでしょうか。それはまあ実利の点で、また社会的な要請(と言うと大げさですけど、保育園などではお洋服のきまりもありましたし)がないわけでもなく、致し方なく……でもそれが子ども自身の「自由」や「幸せ」を、阻害してきた側面が、もしかすると、あるのかも知れません。

洋服箪笥の前で、玄関先で、「じぶんで」。と、子どもが言い出したとき。その成長を喜びながらも、かすかに「面倒臭くなったなぁ」などと思ったりしたことはありませんか。

最後に、おねえさん(店舗スタッフさん)に写真撮影していただきました。

自分で選びなさい、と選ばせたその服は、「柄on柄」なんて当たり前で、ええ?! その格好で外を歩くの? みっともないからちょっと待って……なんて、そのせっかくのコーディネートを止めさせてしまったりしたことはないでしょうか。私はあります。いや、それはもう数え切れないほど、あります。

たかがお洋服ひとつ、あなどるなかれ。このほんの一時間ほどの体験のなかで、こんなにも親の私のほうが深—い気づきを与えられるなんて、思ってもみませんでした。

「おかあさん、これとこれはね、こう重ねると、かわいいんだよ!」「おねえさん(スタッフさん)がね、このワンピースはお袖ないから、下着みたいな感じで、うえにTシャツを着てもいいんだって」「これはぜったい、学校で、着たい!」

体験後、目を輝かせてあれこれ教えてくれる子ども……。はい。オチとしては、別に購入する義務はないそのお洋服たち(7着!)の入ったカゴを、ほぼそのままレジに運んでしまったおかあさんでありました……。

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住宅アドバイザー・コラムニスト

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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